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スペースデブリと黒騎士衛星

2019.02.22 (Fri)
地球の周りをグルグル飛んでいる、スペースデブリ問題が人類の
悩みのタネとなっている昨今。とある小さな人工衛星が、
先端にかえしの付いた銛を使い、疑似宇宙ゴミの破片を捉えました。

宇宙ゴミ除去のための様々な方法を試す衛星プロジェクトの名は「RemoveDEBRIS」。
重さ100kgの衛星で、地球の低軌道を飛んでいます。声明によれば、
これはイギリスにあるサリー大学が主導し、宇宙企業と研究機関の組合から成り、
一部の資金はEUから来ているとのことです。
(ギズモード・ジャパン)

スペースデブリのイメージ
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今回は、科学ニュースからこういうお題でいきたいと思います。
ただ、これだけだとつまらないので、少々オカルト的な話題も混ぜます。
上記のニュースは、「スペースデブリ space debris」を除去するために、
人工衛星が銛を発射して捕らえ、回収するという内容です。

これだけ見れば、たいへんいいことのように思えますが、
ただ、この方法でどのくらいのデブリが回収できるかどうか、
費用対効果の問題もあります。現在、地球の衛星軌道には、すごい数の
スペースデブリが存在しているからです。

デブリ回収用の銛
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まず、スペースデブリとは何か? Wikiによれば、「なんらかの意味がある
活動を行うことなく、地球の衛星軌道上を周回している人工物体のこと」と
なっています。地球軌道上にはもちろん、隕石片などの自然の物体もあるんですが、
それらは、「流星物質」と呼ばれて区別されています。

では、スペースデブリはどうやってできるのか? 衛星打ち上げに
使われた多段ロケット、人工衛星からはがれ落ちた破片、
宇宙飛行士が船外活動で落とした手袋や工具、そしてデブリ同士が衝突して
できる2次的な破片などなど。そういうもので成り立っています。

次に、スペースデブリはどのくらいあるのか? NASAやEUの研究所などが
試算を出していますが、1993年時に、地上のレーダー観測で、
地球軌道上に10cm以上のスペースデブリが約8000個確認されていました。
それが2017年には、約20000個に増え、
全長1m以上のものも5000個以上あると考えられています。

現在観測されているスペースデブリ
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年々増加しているんですね。ですから、引用ニュースのように、
銛を使って1個1個回収していくのが、はたして効率がいいかはかなりの疑問です。
ただ、上記のサリー大学では、以前にも網を使ってデブリの回収を試みており、
回収方法の開発に研究の主眼がおかれているようです。

網でデブリを回収する計画
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ところで、スペースデブリってどうして危険なんでしょうか?
これはデブリがただ浮いてるのではなく、高速で移動しているからです。
低軌道のものは秒速8kmほど、高軌道でも秒速3kmほどの速度を持っています。
ですから、10cm程度のものでも、宇宙船や人工衛星が衝突すれば、
完全に破壊されてしまいます。小さいものも、戦車用ライフルなみの威力があります。

デブリの中には、大型バスほどの大きさを持つものもあり、
このまま放置しておけば、早ければ30年後には人工衛星が使われなくなる、
とする意見もあるんです。気象衛星や通信衛星が使えなくなっては一大事。
ですから、世界の各国で、スペースデブリの回収が急務である
とする考えは統一されています。

これを受けて、現在、国連では宇宙空間で人工衛星を破壊することを禁じる決議が
採択されていますし、各国とも宇宙ロケット発射時に、できるだけデブリを
出さないような研究をしています。国際宇宙ステーションでも、
宇宙飛行士のウンコなどを船外に排出することをせず、
リサイクルして、すべて地上に持ち帰るようにしてるんですね。

さて、ここからはオカルトの内容に入ります。みなさんは「黒騎士の衛星」
あるいは「ブラックナイト(Black knight)衛星」という言葉を聞かれたことが
あるでしょうか。黒騎士とは、全身の鎧を黒く塗り、本来は紋章がついているはずの
盾も黒塗りにしている正体不明の騎士のことで、アーサー王伝説にも登場します。

黒騎士の衛星は、約13000年前から地球軌道に存在しているとされるもので、
宇宙人が太古に、地球文明の監視のために設置したものが、
まだ動いていると言われることが多いですね。1954年、アメリカ合衆国の日刊紙が、
「アメリカ空軍が、地球を周回する、謎の衛星の目撃報告を行った」
という記事を掲載したのがことの発端です。

UFO研究家 ドナルド・キーホー


これに飛びついたのが、UFO研究家として有名なアメリカのドナルド・キーホー
という人物です。キーホーは、以前からあった、冥王星発見者である
クライド・トンボーの自然衛星の研究とこれを結びつけて、「黒騎士の衛星」伝説を
作り上げたわけです。はじめから実体のないものなんですね。

下の画像は、インターネット上に出回っている「黒騎士の衛星」の画像ですが、
じつはこの正体は判明しています。1998年に打ち上げられたアメリカの
スペースシャトルから、誤って船外に発射されてしまった
サーマルブランケット(熱遮断用の布)で、その宇宙空間への放出の経緯も
詳しくわかっています。このブランケットは燃え尽きてしまったと考えられます。

「黒騎士の衛星」とされる画像
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さてさて、ということで、黒騎士の衛星自体は たわいのない話なんですが、
では、宇宙空間に正体不明の人工衛星がないかというと、これがあるんです。
日本のアマチュア天文家が2002年、赤道上の軌道で、
直径50m以上もある巨大な静止衛星を発見しました。

軍事偵察衛星
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これほど大きいのに、どこにも情報はない。推測では、これはアメリカの極秘
偵察衛星と考えられています。NASAおよびアメリカ軍は、この件について
ノーコメント。今後は中国も対抗して、存在の明らかにされない軍事衛星を
打ち上げてくる可能性もあります。宇宙空間における情報戦争はすでに
始まっているわけですね。では、今回はこのへんで。

関連記事 『地球発、宇宙汚染』




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進化に抗う難しさ

2019.02.19 (Tue)
厚生労働省の専門部会は18日、iPS細胞で脊髄損傷の患者を治療する世界初の
臨床研究の計画を了承した。脊髄損傷になると、脳からの命令を
神経に伝えることができなくなり、手足や体がまひして動かせなくなったりするが、
これまで有効な治療法はなかった。国内では毎年5000人が新たに脊髄損傷に
なっていて、患者は延べ10万人以上いるとされている。
(テレ朝ニュース)

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今回はこういうお題でいきます。これも自分の手にあまる難しい内容です。
さて、上記のニュースは、iPS細胞を用いて損傷した脊髄を再生させるための
治験です。ご存知のように、脊髄は首の部分で損傷すれば、体のそれ以下の
部分が動かなくなりますし、腰で損傷すれば下半身不随になります。
この場合、上半身は動くので車イスバスケなどもできます。

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で、上記の治験ですが、大きく3つの問題点があると考えられます。
まず1つめは、今回は他人の細胞からつくったiPS細胞を使うので、
臓器移植の場合と同様に、拒絶反応が起きます。
そのため、そうとうの長期間にわたって免疫抑制剤を使用する必要がありますが、
細菌感染などの危険性が大きくなります。

2つめは、iPS細胞は他人のでも自分のでも、癌化するリスクが大きいことです。
後述しますが、そもそもiPS細胞と癌細胞はひじょうによく似たものなんです。
3つめは、中枢神経が再生したとして、他の神経とのネットワークがうまく
つながるかどうか。これも、新たなネットワークを構築するため、
長期間の苦しいリハビリが必要になると考えられます。

さて、では、どうして脊髄は自然に再生しないんでしょう。
みなさんが事故で指先をかなり深くけずられてしまったとしても、皮膚、血管や
末梢神経をふくめて再生します。ですが、指の骨の関節も切れてしまった場合、
それは再生することはありません。なぜそうなっているのか?

これは発生のメカニズムと関係があります。受精卵は細胞分裂して、
外胚葉、中胚葉、内胚葉の3つが形成されますが、このうち、神経外胚葉が
分化してできる中枢神経や脳神経は基本的に再生することができないんです。
ただし、末梢神経は再生できます。

クリックで拡大できます
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人間をふくむ哺乳類の成体では、イモリなどのように手足の再生ができないことは、
古くから知られていました。20世紀になって、この方面の研究が盛んになり、
中枢神経などには、もともと再生する能力がないわけではないことが、
だんだんにわかってきたんです。中枢神経自体は再生しようとしてるんですが、
さまざまな要因でそれにじゃまが入ります。

まず、損傷した組織から、再生阻害因子と呼ばれる物質が出て、
のびようとする中枢神経をじゃまします。また、神経の切断面にグリア瘢痕という
カサブタのようなものができて、やはり神経の成長を妨げます。つまり、
人間の体それ自体が、外側から中枢神経の再生を拒んでいるようなんですね。

なぜこういうことが起きるのか? 大ざっぱな回答になってしまいますが、
人間は進化の過程で、中枢神経を含んだ手足の再生能力を捨てたんだと
みられます。これは自分が勝手に考えたのではなく、
iPS細胞の生みの親である山中伸弥教授が言ってることなんです。

山中教授は、立花隆氏のインタビューで「再生能力というのは癌になるのと紙一重、
人間が進化の過程でイモリのような再生能力を捨てたのは、
手足を再生できるようになるか、それとも癌になりにくくなるのかの究極の選択、
そこで哺乳類は、生殖して子孫が生まれるまでは癌になりにくいほうを選んだ
のではないか」このような内容を述べています。

イモリの再生能力
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ですから、再生医療というのは、極言すれば、人間の進化に抗う形のもの
なんですね。それが簡単にいくはずはありません。
また、山中教授はあえて触れていませんが、イモリなどは、再生ができる上に、
きわめて癌にもなりにくい体質も合わせ持った、優れた生き物なんです。
進化上で獲得した能力は、ひょっとすると人間より上なのかもしれません。

また、山中教授はこのインタビューで、「iPS細胞と癌細胞は紙一重、
同じものを裏と表から見ているようなものだ」とも述べています。
さて、ここで話変わって、近藤 誠医師はご存知でしょうか。
「癌放置療法」をかかげて、数々のベストセラー本がありますよね。

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自分も近藤氏の本はたくさん読んだんですが、「がんもどき理論」は
はっきり言って詭弁というか、癌放置をした患者のまとまったデータがないのを
いいことに、読者を煙に巻く仮説です。ただ、近藤氏の書く内容から見えてくるのは、
氏が「癌は人間が死ぬための一つのプロセス」と考えていることです。ある程度まで
齢をとったら、癌になるように進化上プログラミングされている。

人間の癌は50歳を過ぎた頃から増えてきますよね。
これはちょうど子育てが終わって一段落ついた時期です。仕事から引退した人も多い。
そこで、生殖が終わった人間を「死なせるためのシステム」の一つとして癌がある。
近藤氏は上記の山中教授の談話も著書に引用していますし、
これは、けっして自分の深読みではありません。

昔、「姥捨て山」があったと言われますよね。それと比べるのは変かもしれませんが、
癌も、老化した個体を終了させるためのもの、近藤氏はそう考えているようです。
ですから「癌と戦うな」なんですね。痛みや機能障害をとるための
治療に専念すればよく、手術や抗癌剤は苦しむ上に、かえって寿命を縮める
ケースが多い。まあ、こういう論旨なんだと思います。

さてさて、ということで、「癌と闘う」 「中枢神経を再生させる」などは、
人間の進化の歴史に逆らうというか、立ち向かうための研究です。
もちろん、それは多くの個人の幸福につながるでしょうが、人類全体として
どうなのかは何とも言えません。進化に抗う研究には、題名に書いたように、
大きな困難が予想されます。みなさんはどうお考えでしょうか。では、このへんで。

関連記事 『癌にならないしくみ』

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海洋生物へのあこがれ

2019.02.12 (Tue)
今回はこういうお題でいきます。自分の趣味の話なので、興味のない方は
スルーでお願いします。自分は15年ほど前から海水魚を飼育していまして、
大阪に来る前は茨城に住んでいたんですが、そのときはサンゴ水槽をやってたんです。
それが、あの東日本大震災とその後の停電でサンゴは全滅、
魚のほうは石油ストーブや電池式エアポンプでなんとか救えました。

bigbossman家の水槽
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で、その後大阪に移ってきたんですが、アクアリウムはやめられず、
ただ、サンゴの飼育については考えるところがあって、
現在は魚だけの水槽になっています。上の画像は自宅の水槽ですが、
値段の安い魚しかいません。サンゴをやめると照明やカルシウム添加がいらなくなるし、
夏も水温をそんなに低くしなくてもいいので、ランニングコストは減りましたね。

さて、自分は海洋生物が好きで、カッコいいなあと思う生き物が多いんですが、
そのほとんどは、水槽では飼育できないものです。熱帯魚店では、
きれいなウミウシが売られたりしてるんですが、餌の問題が大きく、
長期飼育はまず無理です。今回は、そんな海洋生物を少し紹介してみたいと思います。

ウミウシの一種


たしか堀江謙一さんの『太平洋ひとりぼっち』だったと思いますが、奇妙な描写が
あるんですね。手元に本がないので正確ではありませんが、「ヨットのそばに、
透明で中がピカピカ光る、怪獣のオモチャそっくりのものがいる」
これがずっと印象に残ってまして、クラゲの一種なんだろうけど何だろうな?
と気になっていたんです。それが近年、面白い画像が出てきまして。

サルパ
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これがそうです。不思議な生き物だと思いませんか。サルパと言って、
ホヤの仲間なんだそうです。ただ、ホヤが海底に固着しているのに対し、
サルパは海の中を泳いで、植物プランクトンを捕食します。
全身がゼラチン質で、ほとんど水分なんでしょう。

で、サルパの面白いところは、個体でも生活できるし、群体にもなれることです。
群体は、無性生殖によって増殖した多数の個体が、
くっついたまま一つの個体のようになっている生態で、
クダクラゲが有名です。ちゃんと、一つ一つの個体の役割分担もあるんですね。

サルパの群体
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下の画像は、水深1000m以下の深海で撮影されたクダクラゲの一種で、
おそらく群体だろうと推測されています。花火みたいですよね。
動画もネット上にありますので、興味を持たれた方は検索してみてください。
複数の個体だとしたら、よくこれだけ統一した動きができると驚きます。
何か意思疎通?の方法があるんでしょうか。

クダクラゲの群体?
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さて、深海魚の中には、面白い形のものが多数あるのはご存知だと思います。
一般的な深海の定義は、水深200m以下とされることが多いんですが、
これは、植物の光合成に必要な太陽光が届かなくなるためで、
それより上と大きく生態系が異なっています。

で、深海魚と一口に言っても、水深300mにいるものと、2000m以下に
いるものでは、かなりの違いがあります。まだ太陽光がいくらか届く、
浅い深海(変な言葉ですが)にいるものは、目が大きくなる傾向があります。
わずかな太陽光を利用するためで、食用ではキンキ(キチジ)などの魚が
有名ですが、代表的なものに、ボウエンギョがあります。

下の画像がそれですが、まさに双眼鏡のような目です。また、深海魚の中には、
ヌタウナギなどのように、目でものを見ることをあきらめて退化させ、
それ以外の感覚を発達させたものもいます。
これらもすべて、突然変異による適者生存なんでしょうが、
自然って不思議だなあと思いますね。

ボウエンギョ
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さて、日本がほこる深海探査船「しんかい6500」、これができて最初のころの
探査の様子をテレビで放映したことがあるんですが、中にいる研究者が、
外の画面を見て「風船ブタ!」と言っているシーンがありました。
その正体はユメナマコという、ナマコの一種です。その形状から、
「首なしチキン」と言われたりもします。

ユメナマコ
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あとはそうですね。深海の熱水噴出口近くにいる生物。火山活動が活発な海底で、
高温の水がわき出る場所ですが、嫌気性で、硫化水素を利用する生物がいます。
この付近で地球最初の生命が誕生したのではないか、とする仮説も
よく知られています。下の画像は、水深2500mの熱水噴出孔で発見された、
ウロコフネタマガイという貝類で、硫化鉄でできた金属の足を持っています。

ウロコフネタマガイ
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この他、熱水で暮らす生物には、ゴエモンコシオリエビ
(釜ゆでにされた石川五右衛門)、オハラエビ(朝湯で身上をつぶした小原庄助)
など、洒落た名前がついています。あと、下の画像も有名になりました。
これも深海魚で、正式名ではありませんが、
ニュウドウカジカと言います。英語では「blobfish」。

ただ、この左の画像は、深海から水揚げされて重力でつぶれているためで、
実際はなかなかかわいい魚なんです。ニュウドウカジカは、
映画の『メン・イン・ブラックⅡ』の中華料理屋のシーンに、
エイリアン・フィッシュとして出てきていたはずです。

ニュウドウカジカ
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さてさて、そろそろ終わりにしますが、アクアリストの夢として、
シーラカンスの飼育、リュウグウのツカイの飼育をあげる人もいます。
ただ、どちらも、世界の国立水族館でも、長期飼育した例はないんですね。
短期でもありません。わずかに、死にかけた個体を数日 泳がせた記録があるのみ。

特にリュウグウノツカイは、最大10mを超えますし、
海の中では頭を上にした立ち泳ぎをしているようなので、飼うとしたら、
最低でも水量5000t以上の大水槽が必要になるでしょう。
一般家庭ではどうやっても不可能ですね。では、今回はこのへんで。

リュウグウノツカイ






癌の標準治療をめぐる話

2019.02.02 (Sat)
非営利の調査報道メディアとNPO法人(いずれも東京)が、
医師と製薬業界の関係を透明化しようと、製薬会社から個人として
金銭提供を受けた医師の氏名や金額、講演料などの名目を検索できる
データベースを作成しインターネット上で公開を始めた。

登録された医師は2016年度分で約9万8千人、
金額は計約264億円。九州の医師17人を含む114人が
1千万円以上を受け取っていた。
(西日本新聞)

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今回はこういうお題でいきます。医療関係のお話ですね。
自分は2年前に、死も覚悟するほどの大病をしまして、それから、
医療関係のニュースや、個人のブログなども積極的に見るようになりました。
そうすると、今の医学界の流れが見えてきたんです。

上記のニュースで、医師に対して製薬会社からお金が流れる名目は、
まず最も多いのが、製薬会社が開く会における講演料です。
これが全体約8割。次がコンサルティング料、それから、製薬会社が発行する
雑誌などへの執筆料でしょうか。ここで書かれているのは、
研究費等のことではないんですね。

まず、「標準治療」とは何か。国立がん研究センターのホームページから引くと、
「科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示され、
ある状態の一般的な患者さんに行われることが推奨される治療」
というように出てきます。標準治療は、基本的にはすべての病気に対して
あるんですが、昨今は癌治療に関連して耳にすることが多いですね。

当ブログでも、話をわかりやすくするために癌治療を中心に書いていきます。
例えば肺癌になったとします。肺癌と言っても種類がありますが、
肺腺癌のステージⅡaだった場合、医療ガイドラインに、
「このような治療が推奨される」と書かれているのが標準治療です。
ガイドラインは、肺癌であれば肺癌学会が作成します。

標準治療のメリットとしては、全国どこにいても同じ治療が受けられる、
つまり、医療格差がなくなるということでしょう。
それと、標準治療にはエビデンスがあるということになっています。
また、標準治療は一般的に、健康保険でまかなうことができ、目玉が飛び出るような
高額な医療費はかかりません。(といっても抗癌剤の自己負担は高いですが)

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では、標準治療には何の問題もないかというと、ここが難しい。
癌でも、手術で取ってしまえるステージの早期癌なら、自分は、
標準治療でやっていくのはいいと思ってます。ただ、日本は外科手術偏重と
言われていますので、患者は放射線治療も考慮に入れたほうがいいかもしれません。

問題は、転移・再発してしまった末期癌についてです。
白血病のような血液の癌、精巣癌など、一部の癌をのぞいて、現在の医学では
末期癌に対処する方法がありません。標準治療として抗癌剤を投与しても、
それで完治するのは奇跡レベルの確率です。多くは抗癌剤の副作用と引きかえに、
多少の期間、延命するだけです。このことが話を難しくしてるんです。

ある癌に対して、標準治療の抗癌剤を投与する。そのうち癌には耐性がつきますから、
次の抗癌剤を使う、そうやって3回くらい抗癌剤を変更して標準治療は終了。
「もう治療の方法はありません。緩和ケアに行ってください」
こうなることが多いんですが、でも、患者はその段階でも治りたいんですよね。
ですから、癌難民になって標準以外の治療を模索する人が出てくる。

また、最初から標準治療と並行して、それ以外の治療を選択する人もいます。
で、最近、一部の抗癌剤治療を専門とする医師による、標準以外の治療を排除しよう
とする動きが強まってるんですね。例えば、クリニックレベルで行われている
免疫療法などに対してです。ここでいう免疫療法は、ノーベル賞を取った本庶博士の
オブジーボのことではなく、NKとか樹状細胞などの治療法です。

確かに、これらの治療には標準治療のようなエビデンスはありません。
基本的に自費診療になりますから、ひじょうに高額なお金がかかりますし、
実際、末期の病人からなけなしのお金をむしり取って、お金が尽きたり、
癌の病状が悪化したりすると、「他の大きな病院へ行ってください」
そういう詐欺まがいの悪質な免疫療法クリニックも存在しています。

一方、標準治療を進める医師についても、抗癌剤をどんどん使ってほしい製薬会社から
お金をもらって、標準以外の治療の排除に動いてるんじゃないか、
という疑惑が持たれてるんです。それと、癌放置療法で有名な近藤誠医師のように、
製薬会社のデータは捏造だから、抗癌剤だけはやめなさいと言う人までいます。

自分が医療関係のニュースを見ているかぎりでは、だいたいこんな構図ですね。
まあ、一番いいのは、転移のある末期癌でも治るようになることですが、
癌は研究すればするほど難敵で、治るようになるには、
あと何十年もかかるのではないかと自分は考えています。

これが外国だと、治らないとわかった時点であきらめるというか、
受け入れる人も多いんです。神が自分を天に召そうとしているんだから、
素直にそれに従おう、痛みや苦しみだけを取りのぞいてもらおう。
ですが、神を信じていない、ほとんど無宗教と言っていい日本では、
なかなかそういう心境に達するのは難しい。

そして、死を前にしてジタバタあがく患者は、健康食品やサプリメント、
代替治療や民間療法、食事療法などにすがろうとします。それは溺れる者が
藁をつかむのと同じですが、藁であってもないよりはマシに思えるでしょう。
さて、ここまでお読みになられて、みなさんはどうお考えになるでしょうか。

じゃあ、お前はどうするんだと言われそうですが、自分なら、標準治療を受けながら、
何か効果のありそうな別の療法も選択肢、並行して行うだろうと思います。
さすがに、手かざしや金の延べ棒で患部をなでるような療法はやりませんが。
それで、もうダメそうだと思ったら緩和ケアに移行するか、
外国で安楽死を受ける。スイスで安楽死を受けるには250万くらいですかね。

さてさて、何度か書いたように、日本人の2人に1人が癌になり、
3人に1人が癌が死因となる時代です。いざそのときになって混乱し、
多額の費用を使ったあげくに、望まない形の死に至る。そうならないよう、
今から考えておくことは必要なんじゃないでしょうか。では、今回はこのへんで。

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プロレスをやった話

2019.01.31 (Thu)
今回は、オカルトとはまったく関係ない、自分の昔の思い出話ですので、
プロレスに興味ない方はスルーされたほうがいいかと思います。
前に、「プロレスと移動カーニバル」という記事を書きまして、
その後、仲間から「お前なんでそんなに詳しいんだ」と聞かれたんですね。

関連記事 『プロレスと移動カーニバル』

これ、じつは、自分はアメリカにいたときに、アルバイトでプロレスラーを
やったことがあるからです。そのときの話をしようと思うんですが、
もしかしたら、いまだに何か差し障りがあるかもしれませんので、
時期と場所はボカして書かせていただきます。

自分が20代の半ば頃ですね。アメリカの中西部にいたんですが、
ずっと柔道をやっていたので、体を動かしたくなりまして。
でも、球技はできないし、柔道ができる道場とかは近くになかったんで、
ウエイトトレーニングを中心とした総合的なジムに通うことにしました。

そこにはリングやサンドバッグもあって、プロのボクサーやアマレスラーが
通ってきてました。自分はアマレスラーの人たちとスパーリングをやるように
なったんですが、オリンピックのルールとは違うアメリカ特有のルールでした。
柔道の支釣込足という技をかけると、相手は面白いように吹っ飛びましたが、
それは反則だと言われましたね。

で、そのうち、夜の8時頃にジムで特別クラスをやっていて、
元プロレスラーの人が、ジム会費とは別にお金を取って、新人レスラーを
デビューさせるための、いわゆる「プロレス学校」を開いていることを聞いて、
がぜん興味を持ったんですね。ただ、月謝が高かったので、
最初のうちは、自分は見学させてくれと言って参加したんです。

そこで、まず最初に口止めをされまして、その後、受身とかロープワーク、
プロレスの基本的な動きを教えてもらいました。
自分は柔道歴が長いので、受身は簡単でしたが、ロープは上手にあたらないと、
かなり痛かったです。で、どうせ自分はプロレスラーにはならないんだから、
一通りやったら辞めようと思ってたのが、デビューしないかって話をされたんです。

面白そうなので、やりたいと言いましたが、無理だとも思いました。一番のネックは、
自分は学生ビザで滞在していて、州のコミッションからプロレスラーのライセンス
が下りないだろうと考えたんです。あと、自分は体が小さいし(当時90kgないくらい)
顔とかも特徴があるわけでもないし。ところが、2週間くらいして、
現地のプロモーターに紹介され、ライセンスは心配ないと言われ、

それから1月後に、地元開催の興行でデビューしたんです。
ただし、本物のプロレスラーではなく、あくまでもアルバイトレスラーです。
向こうの隠語でジョバー(jobber)と言うんですが、
そのテリトリーに初めて入ってきた選手を引きたたせるために、
一方的に負ける役目なんです。たしか30数戦やって、1回も勝ってません。

自分から技をかけることはほとんどなく、相手の攻撃を一方的に受けて、
3分ほどで負けるんですね。だから、相手が強く見えるよう、
体が小さいほうがいいわけです。ポジションはヒール(悪役)なんですが、
相手に塩をかけるとか、日本人悪役みたいなことはやらされませんでした。

たしか水曜日に、週1回、地元のホールでプロレス開催があり、
そのときだけ自分は出ていました。本物のプロレスラーは、あちこちの会場を
サーキットして回っていて、車で長距離を移動するので、
レスラーの交通事故ってすごく多いんです。
それで亡くなったり、大ケガをして引退になったレスラーも多数います。

あとは、TVマッチというのがありました。これは、日本の「新日本プロレス」
などの番組とはまったく違っていて、基本的には興行の宣伝です。
その興行に出るスター選手が、対戦相手をえんえんとののしるインタビューが中心で、
スタジオで観客なしでやる試合は、自分のようなジョバーが、
やはり一方的に負ける内容でしたね。

番組を見てるのは現地のプロレスマニアだけで、
面白そうだと思ったら、会場に足を運ぶわけです。あくまで興行が中心。
で、プロレスをやってみて最も難しかったのは、体の動きではなく、
声と表情ですね。ずっと声を出して動いてますし、やられたら痛そうな悲鳴を上げます。
柔道の試合では、そういうことはありません。

顔も、悲痛な表情や憎々しい表情をつくらなくてはならず、
これは鏡を見て練習しました(笑)。相手の腕をつかんだりしてるときでも、
力は全然入ってないんです。卵の殻をつかむようにそっと、と教えられました。
でも、顔はさも力を込めているようにこさえなくちゃならない。

あとそうですね、自分はどうせ負けるだけでしたが、
ごく簡単な打ち合わせはありました。「この技を出したら負けてくれ」みたいな。
細かいことはいろいろあります。チョップを打つときは寸前で手首を返して、
手のひらが相手の胸にあたって音を出すようにするとか、エルボーを打つときは、
同時にマットを足で踏み鳴らすとか。

ギャラは週に150ドルだったはずで、当時のレートで2万円くらい。
自分には貴重な収入で、実働時間は1日3分なので、いいバイトでした。
こう書いてみると懐かしいですね。そこのテリトリーは、WWEの攻勢のときに崩壊し、
今はないはずです。プロレス好きはペイパービューで見てるんでしょう。

さてさて、こんな話、面白いですかね。レスラーは8ヶ月くらいやりました。
で、このこととはまったく別の問題があって、自分はずっと、
アメリカに入国できなくなってるんです。もう一度、現地を訪れてみたいんですが、
いったんブラックリストに載ってしまうと、アメリカはすごく厳しいので、
一生無理かもしれません。では、今回はこのへんで。