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不定期連載BLホラー 

2014.08.31 (Sun)
BL系のホラー短編です。趣味でない方はスルーしてください。
ぼちぼち書いていきますが、途中でやめる可能性もけっこうありますので、
生暖かい目で見てやってください。

渡海1

2004年7月25日
堤防にのぼると、海は凪いでもやがかっていた。
今日も暑くなるだろう、と豪司は思った。
といっても、ここらで気温30度を超えることはめったにない。
浜には人の姿は見えない。まだ朝の7時過ぎだから当然だ。
砂浜の海水浴場なので漁船はないし、漁師もいない。
長くせまいコンクリの階段をバケツを持ったまま浜に降りた。
夏休みに入ったというのに何故こんな早起きをしているかというと、漂着物を拾うためだ。
「ビーチ・コーミング」というらしい。
コームは櫛のことで、砂浜を櫛で梳くようにして漂着物を拾うことからこの名がついたと、
合宿にきているボート部の大学生に教わったばかりだった。
珍しい貝殻、椰子の実、カラカラに乾いたヒトデ、外国のコイン、
日本では使われていない漢字の書かれた空き缶・・・

それとビーチグラス、これは瓶の破片の角がとれ、
波に磨かれて磨りガラス状になったもので、薄緑が多いが他にも様々な色がある。
豪司は夏休みの自由研究として、ビーチグラスの分類整理をやろうと考えていたので、
今日は短パンのポケットにメジャーを入れてきてある。
1平方メートルで何個見つかるか、ただ拾うだけでなく、
それを確かめてみようと思ったのだ。
さらに集めたグラスは瞬間接着剤でくっつけ、何か作品を作ろうと計画もしていた。
砂を踏みながら波打ち際までいくと、
人の入らない海水は透明に澄んで、サンダルの足にひんやりとした感触を残した。
さて、とポケットからメジャーを取り出したとき、
堤防際に置かれているボートのあたりから「おーい」と呼ぶ声がした。
竹内さん・・・合宿で来ているボート部の大学生の一人・・・の声だ。

そちらに歩み寄ると、のそっと姿を現した。
背が高く腕の筋肉が盛り上がっている。同じように日に焼けてはいても、
運動が苦手で部活に入っていない自分とは大違いだと豪司は思った。
「やあ、早いね。今日もコーミングかい?」竹内さんがバケツを見て言った。
「ええ、これ宿題で研究しようと思ってるんです。竹内さんこそ早いですね」
豪司が答えると竹内さんは笑って、
「何言ってんだ、こっちは朝のトレーニングもう済ませてるんだぜ。
 朝食になるまで休んでたんだ」
竹内さんがボートの横板に腰をかけたので、豪司もその横に並んで座った。
「何かスゴイ収穫があったかい?」
「今来て始めたとこなんです」
「そうか・・・今までで、一番面白いというか、意外な漂着物ってどんなの?」

「ボーリングの球です」
「えっ、それってここの浜で誰かが遊んだやつなんだよね」
「いえ、学校に持ってったら、先生が外国製だって」
「信じられないな、それはないよ。海は数百から数千mの深さがあるんだから、
 鉄の球が渡ってこられるはずはない。外国製というのは信じるけど、
 やっぱり日本で使われたものじゃないかな」
「うーん、かもしれません」
「ご飯できたよー」上から女の人の声がした。
見ると、Tシャツにカーディガンの女の人がこちらに手を振っていた。
ボート部のマネージャーの人で、たしか横尾さんという名前だったはずだ。
「今行くー」竹内さんが答えて立ち上がった。
「こっちにいつまでいるんですか?」豪司が聞くと、
歩き出した竹内さんは振り返り「あと1週間はいるよ。それから大会だ」と答えた。
  



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