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宇宙の形が揺らいでる?

2019.11.21 (Thu)
ある科学者グループが、消滅した衛星のデータを分析していたんですが、
その中で、「もしかして、宇宙ってまるいんじゃない?」
という説が出てきました。もしそうなら、ちょっとヤバいことに
なるかも、と彼らは最新の論文に詳細を記しています。

現在、宇宙の年齢やサイズ、進化の過程などにまつわる定説は
いくつもありますが、それを構築する前提になっているのが、
「宇宙は平面時空」と考え。しかし最新の論文では、
「人工衛星プランクが収集したデータは、宇宙がまるいと考えた方が
つじつまが合う」と何度もくり返されています。

もちろんこの見解には賛否両論ありますが、この論文の著者は、
「もし宇宙が本当はまるいなら、平面であると仮定することで
悲惨な結果を招く恐れがある」と記しています。
(GIZMODO)

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インフレーション・ビッグバン理論

今回は科学ニュースから、こういうお題でいきます。うーん。
まず、今回この説を出したグループですが、欧州宇宙機関(ESA)が
打ち上げた、宇宙背景放射の観測に特化した人工衛星「プランク」の
計画にたずさわる研究者たちのようですね。

では、宇宙の形について少し一般論を書いてみたいと思います。
古代において、地球は平面と考えられた時期がありました。
平らな地面がどこまでも続いて、端が崖のようになっていて、
そっから海の水が流れ落ちている。地球そのものは宇宙に
浮いてるんです。これを「地球平面説」といいます。

「地球平面説」のイメージ


ですが、時代が進むにつれて、例えば港に近づいてくる船は、
マストの先端から見えてくることなどから、地球は球体であると
考えられるようになりました。これ、よく誤解されるんですが、
地動説、天動説とは関係ありません。天動説が盛んな頃でも、
知識人は地球が球体であることを知っていました。

やがて近代になり、宇宙についての知識が深まるにつれ、
われわれの宇宙はどんな形なんだろうと考えられるようになります。
そこで使われたのが、ドイツの天才数学者ガウスによる
曲面上の幾何学での「曲率」の考え方です。

人工衛星「プランク」
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みなさんは平面上に書いた三角形の内角の和が180°になることは
ご存知でしょうが、曲面上では必ずしもそうはなりません。
内角の和は180°以上にも180°以下にもなりえるんです。
この曲率を利用して、3つの宇宙の形の候補がつくられました。
こっからは一つずつ説明していきます。

まずは、三角形の内角の和=180°のモデル。「平坦な宇宙」です。
平らな紙がどこまでも広がってるイメージですが、もちろん2次元
ではなく3次元です。これだと、宇宙には端があるので、
どこまでも広がっていくことができます。つまり、いつまでも膨張が続く。

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次が、「開いた宇宙」です。この場合、三角形の内角の和<180°。
よく「馬の鞍のような形」と形容されます。この場合も宇宙には
端があるので膨張は続くものの、空間のゆがみも大きくなります。
で、この2つのモデルですが、もし宇宙空間内にある物質の量が一定だと、
宇宙は「熱的死」を迎えるという予測があります。

それはそうですよね。中の物の量が一定で、空間だけが広がって
スカスカになっていくわけですから、どんどん温度が下がり、
最終的には光が消え、何も動くものがなくなってしまうでしょう。
怖い未来ですが、それははるか遠い先のことで、人類はその前に
とっくに絶滅してるでしょうから、心配はいりません。

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3番めのモデルが、「閉じた宇宙」で、三角形の内角の和>180°。
ちょうど地球の表面のような球面状の宇宙です。上の2つとの大きな違いは、
空間が閉じているので、宇宙をずっと進んでいくと、いつかは出発点に
戻ってくることができます。なんかよさそうなモデルに見えますが、

球面ということは端がありません。つまり膨張はいつまでも続かない。
いつかは膨張が収縮に転じる(ビッグクランチ)という予測があります。
SF小説だと、ビッグクランチになれば時間が逆向きに流れるなどという
作品もありますが、実際にはどんなことが起きるのかはよくわかりません。
われわれの想像がおよばないんですね。

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さて、この3つの候補のうち、現在は、最初に出てきた「平坦な宇宙」が、
われわれの宇宙と考えられるようになりました。いつからですかねえ、     
COBE(コービー)衛星が宇宙背景放射を観測した1980年代の
終わり頃からでしょうか。で、平坦な宇宙を前提として、
いろんな理論が立てられるようになっています。

宇宙が平坦になった理由は、1981年に発表された
「インフレーション仮説」で説明されます。ビッグバンが起きた最初期に、
宇宙は指数関数的な急速膨張をとげた。これがあまりに爆発的だったので、
宇宙はひきのばされて凸凹のない平坦な形になった。

宇宙背景放射
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ですから、もし今回のニュースにある「宇宙は閉じている(球形)」
という観測結果が正しいとすると、たいへん困った事態になってしまいます。
インフレーション仮説も見直しになるかもしれません。
しかし、この観測結果、ほんとうに正しいんでしょうか。

これまでにも、2011年だったかな、ニュートリノが光よりも速い、
という実験結果が世界をかけ巡りましたが、間違いとわかって撤回されたり
してますよね。あのときはたしか、光ケーブルの接触不良という
ひじょうにお粗末な理由でした。今回もその可能性はあるように思います。

宇宙背景放射から宇宙の曲率を割り出す方法
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というのは、人工衛星プランクも宇宙背景放射の測定から
宇宙の曲率を割り出していて、これまでの測定と基本的に同じ方法を
とっているからです。どのように観測しているかは、
上の図をごらんいただければわかると思いますが、
これはかなり測定誤差の出やすい方法です。

さてさて、ということで、あれこれみてきましたが、自分は
インフレーション仮説はたいへんなスグレモノで、まず間違いないだろうと
考えています。ですから、もし今回宇宙の曲率に多少の新事実が
発見されたとしても、大勢は崩れないんじゃないかと思いますね。
では、今回はこのへんで。

開いた宇宙と閉じた宇宙の行く末
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精子トレーニングって何?

2019.11.12 (Tue)
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今回はこういうお題でいきます。生物学の内容ですね。
自分は、ダーウインの進化論は大筋で正しいと思ってますし、
世界の趨勢もそうだと思います。キリスト教の聖書原理主義団体の
中には、進化論に対抗する勢力もありますが、
ローマ・カトリックは進化論をほぼ認めています。

進化論は多面的な考え方なので、ひとことで言うのは難しいですが、
「生物の進化は突然変異と適者生存によって起こる」としても、
そう大きな異論は出ないのではないかと思います。
進化論以前には、ジャン・バティスト・ラマルクによる、
「獲得形質の遺伝」という考え方が存在しました。

これは過去記事で書いていますが、「キリンが高い場所の葉を
食べようと首を伸ばす動作を続けているうちに長くなり、
その長い首は子孫にも遺伝する」というものです。
これに対し、ダーウインは「突然変異で首の長いキリンが生まれ、
それが環境に適合していたので生き残った」と説明します。

精子の構造
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近年、遺伝子DNA配列の解析が進み、ダーウインの論が正しいことは
立証されたと考えてよいでしょう。遺伝子のDNA塩基配列が
勝手に変わることはありえないからですね。
ですが、「獲得形質の遺伝」が完全に否定されたかというと、
必ずしもそうとは言えないようなんです。

「DNAスイッチ」という言葉を聞かれたことがあるでしょうか。
NHKのテレビ番組、『NHKスペシャル 人体』で使用されて有名になり
ましたが、学術的には「エピジェネティクス epigenetics]と
言うようです。一般的には、「DNA塩基配列の変化を伴わない

ジャン・バティスト・ラマルク
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細胞分裂後も継承される遺伝子発現あるいは細胞表現型の変化」
を研究する学問分野です。この説明は言葉が難しいですね。
人間の体は、遺伝子情報をもとにさまざまなタンパク質をつくり、
体内の各部でそれらが働いて生命活動を行っています。

ところが遺伝子の中には、ふだんは眠っていて、スイッチが入って
初めて動き出すものがあることがわかってきました。
そのしくみを研究するのがエピジェネティクスと考えていいでしょう。
現在、このような遺伝子のスイッチングのメカニズムを
調べる研究が、世界中で進められています。

この考え方が学会の主流でしたが・・・
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そして、癌化や老化など、遺伝子の配列の変化を伴わない
後天的な現象の多くが、この遺伝子のスイッチングに関係している
ことが明らかになってきたんです。かなりのことが解明していますが、
では、DNAスイッチングは、世代を超えて受け継がれるんでしょうか。

これについての結論はまだ出ていません。ただ、
もし立証されるようなら、ノーベル賞級の成果になると思われます。
さて、精子トレーニングの話にうつります。この研究を行っているのは、
世界の名門、ノーベル賞学者を10人以上輩出している
デンマークのコペンハーゲン大学。

生理学のロマン・バレス教授は、「メタボの予防」が研究テーマで、
近々子どもをもうける予定の若い男性を募集し、
毎日1時間の有酸素運動(バイクを漕ぐなど)を6週間にわたって
続けてもらう。まあ、メタボは完全に解消しなくてもいいんですが、
DNAスイッチが入ることが重要です。

「精子トレーニング」をする男性
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精子の遺伝子に含まれる「メタボに関連するDNAスイッチ」。これが
入ったままの状態にして受精させる。では、はたして生まれてくる
子どもは、メタボになりにくい体質になっているのかどうか。
大変興味深いですよね。みなさんはどう思われますか。

最初の話に戻って、「獲得形質の遺伝」という学説は、西欧の
学会での激しい対立の後に葬り去られました。過去記事に
書いているとおり、資料の捏造や研究者の自殺などがあったんです。
ですから、この分野に手を出すのは研究者にとっては危険で、
経歴に傷がつきかねません。

これまでは、受精に備えて、精子の中の遺伝子スイッチはすべて
リセットされると考えられてきましたが、もしそうではなかったとしたら?
バレス教授は、通常体型の男性10名、メタボ男性10名から
精子を採取し、詳しく分析した結果、リセットされてないと
見られるDNAスイッチが2つ見つかったと報告しています。

ただし、そのことが即、獲得形質の遺伝につながるかはわかりません。
また、もし彼らの赤ちゃんのDNAスイッチが生まれつきオンだった
としても、それだけでは仮説の証明にはならないでしょう。
かなり長期的スパンの研究になると思われます。

DNAスイッチが入るしくみ
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あと、ここでは、精子のことだけを取り上げていますが、
卵子はどうかというと、女性の卵子は生まれたときからすでに
ほとんどできています。それが毎月、規則正しく排卵される。
ですから、トレーニングのしようがないんです。

さてさて、面白い話だなあと思います。自分はもう精子トレーニングを
しようとしても、子づくりの時期は終わっているので
どうしようもないんですが、これを読まれてやってみようと
考えられた方もいるかもしれませんね。では、今回はこのへんで。

関連記事 『ラマルクの子孫たち』

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アインシュタインの敗北

2019.11.06 (Wed)
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今回は昨日に引き続いて物理学のお話にします。アインシュタインは
当然、みなさんご存知ですよね。相対性理論を提唱したことで
有名であり、アメリカでは頭のいい人の代表のような形で
ジョークに出てきます。そうですね、一つだけご紹介しましょう。

天国へアインシュタインとピカソがやってきた。天国の門番は2人に、
入るためには本人であることを証明しろと言います。
そこで、アインシュタインは黒板に相対性理論の数式を書き、
ピカソはあのキュピズムの絵を描いて本人と認められます。

アルベルト・アインシュタイン
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それを見ていたのが、ジョージ・ブッシュ元アメリカ大統領(父親のほう)。
天国の門番が証明を求めると「私は大統領だ、見ればわかるだろう。
それより変な落書きしてた今の2人は何者なんだ?」と逆に聞かれます。
門番はにっこりと笑って、「ああ、間違いなくご本人ですね、どうぞ」
と、ブッシュ大統領を天国に入れてやるんです。

意味はわかりますよね。アインシュタインもピカソも知らないのなら、
ブッシュ本人で間違いないと、物理学も芸術も理解しない無教養を
バカにしてるわけです。まあそれでも、アメリカ人はブッシュ大統領が
天国に行けると思ってるんですね。もし天国があるとして、イラク戦争を
実行したブッシュ大統領が入れるか、自分は怪しい気もするんですが。

「テキサスの田舎者」のイメージが強いブッシュ大統領ですが、じつは英王室につらなる家柄
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さて、物理学の世界では「古典物理学 Physics in the Classical Limit」
という言葉があります。この言葉だけみれば、古代ギリシアの
アルキメデスあたりの物理学のことみたいですが、そうではなく、
量子論以前のものはすべて範疇に入ります。ですから、
アインシュタインの相対性理論も古典物理学なんです。

アインシュタインが量子論を懐疑的な目で見ていたのは有名な話で、
「神はサイコロをふらない」という過激な発言があります。
これは、量子力学が確率論を中心にすえていることを皮肉ってるんです。
量子論では、原子核のまわりの電子の位置は、
確率的にしか言えないとされています。

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電子は確率の雲のように広がって原子核を取りまいている。
その中には、存在する確率の濃い部分と薄い部分があるとされますが、
それがアインシュタインには気に入らない。確率ではない、           
もっとしっかりした法則があり、それが明らかになっていないため、
現状では確率論に頼らなくてはならないのだと考えたわけです。

まあね、アインシュタインの言うことはわからなくはありません。
この世界の法則はきちんと定まったものであると、どうしても考えたく
なります。このため、アインシュタインはことあるごとに当時の
量子論の研究者たちに難題をふっかけていきます。このあたり、
新しい考え方になじめない頑迷な老人という感じですね。

ニールス・ボーア
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量子論の中心となっていたのは、コペンハーゲンに住んでたくさんの
研究者を育てたニールス・ボーアです。ボーアは一般の人には
あまり知られていませんが、世界の物理学者に、
アインシュタインとボーアのどっちが偉大か聞くと、回答はかなり
わかれると思います。下手すればボーアのほうが多いかも。

ボーアは、先の「神はサイコロをふらない」という言葉に対し、   
「ミスターアインシュタイン、神が何をなさるかなど、
軽々しく語ってはいけません」とクールに切り返すんです。
アインシュタインがボーアのグループにぶつけた思考実験の一つに、
「EPRパラドックス」というのがあります。

ある粒子を2つに切り分けたとします。そこで粒子AとBができるんですが、
この2つは必ず逆向きのスピンを持っています。仮に上向きと
下向きにしましょうか。どちらがどの向きなのかは、観測してみるまで
決まりません。A・Bをそれぞれ観測せずに別の箱に入れ、
Aは地球、Bはロケットではるか遠くの星に持っていきます。

EPRパラドックス
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で、地球でAの箱を開けてスピンが上向きに決定される。その瞬間、
遠く遠く離れた星のBに情報が伝わり、Bのスピンが下向きになる。
あれ、変ですよね。相対性理論では、光速を超えて情報が伝わることは
禁じられていたはずです。アインシュタインはこのことを
「不気味な遠隔作用 spooky action at a distance」と表現しています。

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結論から言えば、この議論はアインシュタインの負け。
不気味な遠隔作用は実在したんです。ただし、地球とBの星にいる人間が
もう一方の情報を知るためには、電話をかけたりなど、
相対性理論で制限される手段をとるしかありません。

じつはこれ以外の論争も、ほぼすべてアインシュタインの敗北に
終わっています。アインシュタインが、ハイゼンベルグの不確定性原理に
いちゃもんをつけたときには、ボーアはなんとアインシュタインの
一般相対性理論を用いて、完膚なきまでに論破してるんですね。
これはアインシュタインにとっては屈辱だったでしょう。

上記のA・Bの粒子間に起きる現象を「量子もつれ quantum entanglement」
と言います。量子もつれは現在たいへんに研究されている分野で、
その理由はおわかりと思います。これを利用することで、
量子テレポーテーションが可能になるからですね。
最近のニュースとして、イギリスで量子もつれの様子が撮影されました。

さて、ボーアが偉大だったのは、「波の収縮」について積極的な解釈を
しなかったことです。観測がなされたときだけ、電子の雲が収縮して
位置が決まる。不思議ですが、それは人間の感覚で、この世はそういうふうに
できているので、無理に意味を解釈しようとしてはいけないというのが
ボーアの方針。(ボーアらの考え方をコペンハーゲン解釈と言います。)

世界初、画像にとらえられた量子もつれ(イギリス グラスゴー大学)
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ここで立ち止まらなかったため、量子論は大いに進展しました。
この理論を使って半導体などが開発され、現在使われているPC、
スマホ、その他、ほとんどの電気製品に量子力学が応用されて、
人間の暮らしはたいへんに進歩しましたが、これは、
ボーアがそのように方向づけしたためと見ることもできるんです。

さてさて、アインシュタインは相対論発表後、神の隠された数式を
見つけだすべく、相対論と量子論を結びつける研究を続けましたが、
成功することなく亡くなります。その後「超弦理論」なども出てきたものの、
現在でも明確な答えが出ないまま、量子論と相対論(重力理論)をつなぐ
研究は続いてるんですね。では、今回はこのへんで。




この世界はデジタル?

2019.11.05 (Tue)
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今回はこういうお題でいきます。物理学系のお話です。
さて、「この世界はデジタル的か、それともアナログ的か?」
こういう質問をされた場合、みなさんはどのように答えられるでしょうか。
うーん、これについての正しい答えはない気がします。

この世にはデジタルなものもアナログなものも、両方あるのは
時計を見ればすぐにわかりますよね。さらに、どっちが便利かというのも
難しいでしょう。デジタル時計は一瞬見ただけで時刻がわかりますが、
例えば、ある設定時間までの残り時間などは、頭の中で引き算をしなくては
なりません。互いに長所と短所があるんですね。

ちなみに自分は、腕時計はアナログ、自宅の部屋の壁時計もアナログ、
事務所の壁時計はデジタルで、機能でというよりデザインで選びました。
これは自分だけじゃなく、そういう人は多いんじゃないかな。
ではまず、デジタルとアナログ、それぞれの意味を
ネット辞書で確認してみたいと思います。

マックス・プランク
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デジタルは、「離散的である(とびとびの値しかない)」
アナログは、「連続的である(ずっとつながっている)」このように
記述されている場合が多いですね。で、当ブログでたびたび取り上げている
量子力学の世界、これについては、デジタル的であるとする研究者が
一般的には多数だと思われます。

量子力学の誕生が、鉄鋼業と深い関係があると言えば、意外に思われる
方もおられるかもしれません。「鉄血」という語をご存知でしょうか。
プロイセンの政治家ビスマルクは、その演説から鉄血宰相と呼ばれましたが、
鉄の生産量は、その国の国力を表す重要な指標でした。

鉄血宰相ビスマルク
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19世紀末のドイツでは、鉄鋼業の発展をうけて、溶鉱炉を効率的に
管理することが求められました。ですが、炉内の温度を正確に
測れる温度計は存在しません。ただ、熟練した製鉄職人は、
炉の中の炎(光)の色を見れば、だいたいの温度がわかりました。
当時から、光の色と温度には深い関係があることが知られていたんです。

現在の知識では、熱せられた物体は、加えられた熱エネルギーで
物体を構成する電子などが振動し、その振動に応じた波長の電磁波を
出しているということがわかっています。もし、物体の色から
温度を割り出す数式ができれば便利ですよね。しかし、当時の水準では、
物体の表面の光の反射がからんで、正確な式をつくるのが難しかった。

そこで、絶対に光を反射せず、すべて吸収する架空の物質「黒体」を
想定して、それから数学的に光と温度の計算をすればいいという
アイデアが出され、多くの科学者がこの問題に取り組みました。
その中の一人が、ベルリン大学教授のマックス・プランクです。

プランク定数の式
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プランクはすべての測定結果にあてはまる式を、どうにか考えだした
んですが、なぜ数字が合致するかの理由がわからない。しかもその式では、
物体が放射するエネルギーは、とびとびの離散的な値しか
とれなかったんです。この結果にはプランク自身がとまどいました。
彼は、この世界をアナログなものと考えていたからです。

ですが、結果は結果です。数値がとびとびになるための比例定数
「プランク定数」が発見されたことになります。これはきわめて
小さい値で、現在、6.62607015×10-34J・s(ジュール秒)
とされています。この発見によって、量子力学の第一歩が
踏み出されたとする研究者が多いですね。

物体の出すエネルギーの値がとびとびになる理由
もちろんプランクが式を立てた当時はこのことはわからなかった

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プランク定数の式は簡単で、「E=hv」。Eはエネルギー、
vは、その物体の固有振動数(周波数)、hがプランク定数です。
その後、量子力学が大発展するのを見て、「もしかしたらパパは
たいへんなものを発見したのかもしれない」と、プランクは
自分の息子に語ったというエピソードが残っています。

さて、ここからはややSF的な話になります。プランクの黒体輻射の式を
変形すると、「プランク時間」5.391×10-44s(秒)、
「プランク長さ」1.616×10−35 m が求められます。
これはそれぞれ、この世にある最小の時間、最小の長さなんです。

この宇宙は一辺がプランク長さの格子でできているとする「ループ量子重力理論」
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わかりやすいので時間のほうで説明すると、これより短い時間は
この宇宙に存在しない。もしくは、存在したとしても原理的に
見ることができないことになります。映画のフィルムを
考えてみてください。1コマ1コマがつながって
一本の映画になっていますが、コマとコマの中間はありません。

まさにとびとびでデジタルなんですが、それと同じように、プランク時間が
連なってこの世界はできている。うーん不思議ですね。どうしてなんで
しょうか。説明の一つとして、アナログよりもデジタルのほうが
安定するため、宇宙の最初期にそうなったと言われます。
これも身近な例えで、テレビの音量調節のつまみで考えてみましょう。

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現在はリモコンで、11→12→13・・・とデジタルに音量が
変化していきますよね。11.7とかにはできません。それに対し、
昔のテレビは、つまみを回して無段階に音量を調節するアナログでした。
アナログのつまみは調節が難しく、回しすぎてうるさくなってしまったり、
偶然に手があたって音量が上がってしまうこともあり、不安定なんです。

さてさて、お時間がきてしまいました。最初に書いたように、
このことをもって、「この世界はデジタル的である」と言い切るのは
難しいんですが、少なくとも、「量子力学は離散的なものである」と
言うことはできると思います。では、今回はこのへんで。





糖質制限ってどうなの?

2019.10.30 (Wed)
キャプチャ

科学ニュースを見てましたら、今日(10月30日)の「YomiDR
ヨミドクター」に糖質制限についての議論が載ってました。
読んでみましたら、予想どおりというか、賛成派、反対派と称する
人たちが、互いに自分の主張を述べ立てるだけで、まったく話が
噛み合わない。日本人の議論って、こういうのが多いんですよね。

なぜ話が噛み合わないかというと、人間って、一人ひとりが個人的な
価値観で生きてるんですよね。ですから、ダイエット一つとっても、
その目的が違います。それをすべてひっくるめて論じようとするから、
わけがわからなくなっていくんだと思います。

どういうことかというと、例えば若い人だと、「とにかく痩せて
きれいになりたい、体重を落としたい。それで多少健康に影響が
あってもしかたがない」こう思ってる人もいるでしょう。
また年配者では、「健康で長生きしたい。そのためには少し
体重を落としたほうがいいのかも」程度の人もいます。

こういうふうに、人によって目的の違いがさまざまにあるので、
すべてひっくるめて論じると、焦点がボケていくだけです。
これ、ダイエットの話だけでなく、マスコミに出てる議論の
ほとんどがそうなんですよね。特に地上波テレビは低レベルだなあと
思いますし、新聞も例外ではありません。

さて、ということで、一つ一つのことを個別に考えていきます。
まず、ダイエットについて。体重を減らす方法は簡単で、
「総カロリー数を抑える」これだけです。成人男子でデスクワークの
人だと、1日の必要カロリーが2200Kcalくらいと言われます。
それを1500Kcal以下にすれば、必ず痩せます、間違いありません。

べつに糖質をとろうがとるまいが、総カロリーを減らせば痩せる。
ただ、これって苦しいですよね。いつもお腹が減ってイライラするかも
しれません。少しでも楽して痩せたい。そこで、「○○ダイエット法」
なるものが出てくるんです。オレンジダイエットとか、納豆ダイエットとか
いろいろ流行りましたよね。糖質制限もそれと同じでしょう。

次、糖質制限すると痩せるのか? これは痩せますね。糖質制限をすすめる
本では、「糖質をとると急激に血糖値が上昇する。すると、人間の体は、
それを抑えるためにインシュリンを分泌する。インシュリンには
血液中の糖分を脂肪細胞に取り込むよううながす働きがあり、体脂肪が
蓄積されることになる」まあ、これ自体は科学的に間違ってはいません。

糖質制限ではなく菜食主義だったスティーブ・ジョブス氏


ただ、自分は、糖質制限で痩せるのはそれだけではないんじゃないかと
思うんです。糖質制限では、砂糖、米、パン、うどんなどの麺類、カボチャや
ジャガイモなどの根菜、本によっては豆腐などの大豆食品も制限されます。
そのかわり、肉や魚、乳製品、油脂はいくらとってもいいと説明されることが
多いんですが、日本人が毎日ステーキとかを食べるって大変じゃないですか。

毎食、焼肉、さしみ、葉物の野菜サラダ等々。これだけを食事にすると
自動的に総カロリー数も抑えられるんじゃないかと思います。だから痩せる。
次、糖質制限は体にいいのか? ここは難しいです。
日本人で、ほとんど米などの糖質を摂取しないという人は少ないので、
大規模かつ長期的なデータはありません。

それに、わざわざ莫大なお金をかけて、そういう調査や治験をしようとする
大学、製薬会社もありません。アメリカのデータでは、ハーバード大学が、
約4万人を対象に行った調査で、「低炭水化物・高タンパク質」の食生活を
送っていたグループは、そうでないグループに比べて心筋梗塞や脳卒中
などの発症リスクが1.6倍に高まったという結果が出ています。

急激な糖質制限を行うと、肝臓や筋肉の中にあるグリコーゲンが激減し、
体温が下がったり、スタミナがなくなったりすると言われますし、
グリコーゲンは同時に体内に水分を貯えるので、グリコーゲンが
なくなると、体内の水分も少なくなり、肌がかさつき、
シミやしわができやすくなるという話もあります。

また、世界的な統計で、体型と寿命の関係を調べると、最も寿命が
短いのが極端な痩せ型の人、次が極端な太り型の人、一番寿命が
長かったのが小太りの人という結果が出てます。ややメタボというのは、
総合的にみれば悪いわけではないんですね。特に、60歳を過ぎて健康に
生活したい場合、体型は気にせず、十分に栄養をとったほうがいいようです。

ということで、だいたいの結論が出ました。
糖質制限をすれば痩せるのか多くの人で痩せる効果があるとみられる。
糖質制限は健康によいのか短期間ではなんとも言えないが、長期間続けると
健康に害になる可能性がある。まあこんなところだと思いますが、
糖質制限を何十年も続けてるという人も、あまり聞かないですよね。

では、ダイエットそのものはどうか。これは最初に書いたように、
その人の価値観だと思います。どうしても痩せたいと思えば、やれば
いいんじゃないですかね。その結果、女性だと貧血になったり生理不順に
なったりするかもしれませんが、そのあたりは成人なら自己責任です。

危険性を十分承知の上で挑戦するのは、個人の勝手でしょう。
ダイエットにかぎったことじゃなく、濃い味つけが好きだとか、
毎日多めの晩酌をかかさない、油っこい食べ物を好むとか、そういう
生活習慣でも同じで、食べたいものも食べられず長生きしても
しょうがない・・・ それも一つの立派な価値観だと思うんですよね。

さてさて、日本人には健康神話があると言われます。もちろん
健康に生きるのはいいことですが、健康神話につけこんで、商売に
しようとする人たちがたくさんいます。その手の人たちは、自分らの
主張に都合のいいデータしか出しませんし、まさにオカルトまがいです。
十分にご注意ください。では、今回はこのへんで。

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