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宜保愛子とロンドン塔

2018.10.31 (Wed)
地味な話題の続きです。今回はヨーロッパにおける塔の話をしたいと思います。
また、昭和の最大の霊能者であったと言われる宜保愛子氏も登場します。
さて、ヨーロッパの塔は、教会や城などの建物に付属したものが多いですね。
その他、広場の時計塔などもありますが、
もちろんこれは、機械時計が発明されて以降のものです。

ロンドン塔
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で、お城などの塔には、幽霊が出ると言われることが多いですよね。
これは、塔が、ともすれば囚人を幽閉する監獄の役割を果たしていた場合が
あるからです。塔の最上階に囚人を閉じ込め、
その下の階に見張りを配置すれば、出ることができません。

監獄の塔として有名なものには、フランス・パリ3区にあった修道院に付属する
タンブル塔があります。フランス革命時、ルイ16世一家が監禁され、
以後、監獄として使われるようになりました。あとはもちろん、
イギリスにあるロンドン塔ですね。ここは、数々の不幸な囚人を収監しており、
たくさんの幽霊話が今でも残っています。

テムズ川の岸辺に建てられた城砦で、正式名称は「女王陛下の宮殿にして要塞」。
ロンドン塔は、たんに監獄として使われるだけではなく、拷問や処刑も
行われました。現在の展示物には、甲冑や武器の他に拷問具もあります。
たくさんの王族や貴族がここで処刑されていますが、

ヘンリー8世
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よく知られているのはヘンリー8世の妻たちです。16世紀のイングランド王、
ヘンリー8世は計6人の妻を持ちましたが、
当時、カトリック教会では離婚は禁止でした。そのため、
王は、妻のうちの2人をこの塔で斬首刑にしています。えーと、
2番目の王妃のアン・ブーリンと、5番目のキャサリン・ハワードだったかな。

どちらも、密通の罪だったんですが、これは王が離婚したいための、
でっちあげの冤罪だったと現在では考えられています。
ロンドン塔には、そのアン・ブーリンの首のない幽霊が出ると言われますね。
結局、離婚をめぐってヘンリー8世はローマ法王から破門され、
しかたなく、独自に英国国教会をうちたてているんです。

アン・ブーリン 処刑してしまうには もったいない美人に思えます
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ずいぶん身勝手な話ですよね。こういう歴史があるので、
イギリスではキリスト教はあまり盛んではありません。その分、魔法や幽霊などの
オカルト話を、他のヨーロッパの国々よりも信じる(というか面白がる)傾向が
強いんですね。J・K・ローリングの『ハリーポッター』シリーズも、
そういう下地のもとに書かれているんです。

あとは、15世紀、12歳で王位についたエドワード5世。
叔父によって王位を簒奪され、弟のリチャードとともにロンドン塔に幽閉されて、
いつのまにか行方不明になってしまいました。まあ、殺されたとしか考えられませんよね。
事実、17世紀の塔の改修時、木箱に入った子どもと考えられる遺骨が発見されています。
この2人とみられる子どもの幽霊の話も、ロンドン塔にはあります。

さて、宜保愛子氏はご存知でしょう。1980年代、テレビで稀代の霊能者として
取り上げられ、たくさんのレギュラー番組を持ち、
著書も多数出版されてベストセラーになっています。4歳のとき、
左目に火箸が落ち失明寸前となり、1年ほど闘病生活を送った後、
霊能力に目覚め、霊や、過去、未来のシーンが見えるようになったということです。

宜保愛子氏
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ただし、その能力について、懐疑的な噂もつねにつきまとっていました。
この宜保愛子氏が1993年、日本テレビで放映された『新たなる挑戦II』
において、ロンドン塔におもむき、ブラディ・タワーの最上階で、
天蓋つきのベッドに座った2人の男児を霊視しています。
これが、上記したエドワードとリチャードの2人だったとされます。

ですが、じつは、2人の子どもが幽閉された当時には、その階はなく、
後年に増築された場所だったんです。さらに、宜保愛子氏の霊視内容は、
夏目漱石がイギリス留学時の体験をもとに書いた小説、
『倫敦塔』の描写に酷似していることが指摘されています。

漱石の作品のその部分を引用すると、「石壁の横には、大きな寝台が横わる。
この寝台の端に二人の小児が見えて来た。一人は十三・四、
一人は十歳くらいと思われる。幼なき方は床に腰をかけて、
寝台の柱に半ば身を倚たせ、力なき両足をぶらりと
下げている。右の肱を、傾けたる顔と共に前に出して年嵩なる人の肩に懸ける。

年上なるは幼なき人の膝の上に金にて飾れる大きな書物を開げて、
そのあけてある頁の上に右の手を置く。
象牙を揉んで柔かにしたるごとく美しい手である。」 こんな感じですが、
そもそも、この漱石の描写は、フランスの画家、ポール・ドラローシュの
「塔の中の王子」という絵画から影響を受けていると言われてるんです。

下に作品を掲載しますので、比較されてみて下さい。
ただし、何もこれは、漱石が盗作しているということではなく、
絵画をモチーフに小説化したということでしょう。
宜保氏の人気はずっと続いていましたが、1995年オウム真理教事件が起こり、
それ以降テレビ出演は激減し、2003年、胃がんのため71歳で死去しています。

ポール・ドラローシュ「塔の中の王子」
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さてさて、ということで「塔シリーズ、第2回目」でした。
あと、今回登場した宜保愛子氏については、自分はいろいろと裏の事情を
知ってますので、機会があれば書きたいと思います。
塔シリーズもまだ続けます。では、今回はこのへんで。

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「世界5分前仮説」と創造論

2018.10.24 (Wed)
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今回はこういうお題でいきますが、これ、あんまり面白い内容になりそうも
ないので、スルー推奨かもしれません。まず、「創造論」とは何か?
当ブログでは何度もとり上げていますが。簡単に言うと「キリスト教やイスラム教
にいう全知全能の創造主が、この世界のすべてをつくった」という説のことです。

ちなみに、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の創造主は、基本的に同じ神、
と考えられています。よく「キリスト教世界とイスラム教世界の対立」
なんて言いますが、これじつは、同じ神をいただいた上での、
神学的な解釈上の対立と見ることができるんですね。

アララット山系の「ノアの方舟」地形
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さて、何から話しましょうか。みなさんは思考実験の一つとして、
「世界5分前仮説」というのをご存知でしょうか?
「今みなさんが生きている世界は、つい5分前に始まった」とするものです。
こう聞けば「えー、そんな馬鹿な、ありえない」と思いますよね。

「だって、自分には5分よりも以前の記憶がある。2時間前、昼飯にそば定食を食べた」
こんな感じで反論されると思います。しかし、世界5分前仮説では、
みなさんはそれらの記憶を持った状態で、5分前にいきなり発生した
ということになります。すると、ここでまた反論したくなりますよね。

「だって、うちには自分が小さい頃の写真がある。子どもの頃に背比べをした 
柱の傷もある」とか。でも、世界5分前仮説では、それらのものも5分前に一気に
できあがったことになるんです。ここまで聞くと、たいていの人は、
「えー、バカバカしい。そんな議論は時間のムダだ」と言うと思います。

なぜなら、世界5分前仮説には、否定する材料もないかわり、
肯定する材料もないからです。こういうのを「反証可能性がない」と言います。
反証可能性がないものは科学的な議論にはなりえない、いわば反則なんですね。
では、この仮説、誰が、何のために言い出したのか、
知ってる方はおられるでしょうか。

バートランド・ラッセル
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まず、初めに提唱したのは、20世紀のイギリス人哲学者で、
ノーベル文学賞を受賞したバートランド・ラッセルです。
彼は、懐疑論的な立場からこの仮説を持ち出したわけですが、
もともとはキリスト教の創造論から影響を受けたものだ、と聞くと驚かれる方も
いるんじゃないかと思います。ラッセルは徹底した無神論者でした。

さて、前に「進化論と心霊主義の時代」という記事で、
「ダーウインが進化論を発表したことで、キリスト教的な宇宙観が揺らいだ」
と書きましたが、まあ、それ以前から、キリスト教的宇宙観に
疑問を持っていたインテリ層は多かったと思います。それが、
ダーウイン以降は、おおっぴらに意見を主張できるようになったんですね。

関連記事 『進化論と心霊主義の時代』

聖書の記述を解釈すると、この世界は6000年くらい前にできた、
とみることができますが、地質学から、地球はもっと古いものである
という意見が出されました。現在では、地球の年齢は約46億年と考えられています。
ちなみに、宇宙の年齢は138億年くらいのようです。



また、古生物学からは恐竜などの化石、人類学からはネアンデルタール人等の
化石が提示され、これらに対して、キリスト教側は防戦一方になったんですが、
このときにいろいろな珍説が出されたんですね。一つ目が、
「若い地球論」これは、地球ができてからせいぜい1万年もたってないという、
地質年代や科学的年代測定を全否定するものです。

もう一つは、ある程度まで地質学的年代観を認める「古い地球論」。
三つ目は「断絶論」。『旧約聖書』の創世記1章の1節と2節の間に、
じつは、書かれていない数十億年?の長い断絶があるとする議論です。
この他にも、聖書にある1日は5億年くらいのことだ、なんて説もあるんですが、
上記の世界5分前仮説のもとになったのは、「オムファロス仮説」と呼ばれるものです。

1857年、当時はまだ聖書派の勢いも強く、
「アダムは神が創り、その肋骨からイヴを創った。では、人間の胎内から
産まれたのではないアダムとイヴには、へそがあるのか、ないのか?」
なんてことが、知識人の間では真面目に議論されていたんですね。
今から思えば信じられませんが、それだけキリスト教の影響は強かったんです。

ここで、イギリスの自然学者フィリップ・ヘンリー・ゴスという人物が、
「アダムとイヴは最初からへそがあるように神が創った。さらに、地層や化石なども、
わざと古く見えるように神が創った」こう主張したんですね。
ゴスの主張は徹底していて、「アダムとイヴの腸の中には創造された初めから
排泄物があっただろうが、それも神がすべて創ったのだ」こんな内容なんです。

アメリカ「創造博物館」のアダムとイブ
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これはゴスなりに、原因があるから結果があるという因果論と、
聖書の記述をすり合わせようとしたもので、「アダムの血管に血が流れているなら、
それは摂取した食物からできたものだ。食物を摂取したなら、
腸にもウンコが詰まっているのも自然なこと」こんな感じの理論だったんですね。
ですが、残念ながらこの説、聖書派にも自然科学派にも相手にされませんでした。

それはそうですよね。神がわざわざ、なんでそんなムダことをしなければならないのか。
ただまあ、この論を聞いて面白がった知識人はかなりいたようで、
20世紀になって、ラッセルの世界5分前仮説につながっていくわけです。
ただもちろん、ラッセルの意図は、「疑うつもりなら、何でも、
いくらでも疑うことができるんだよ」みたいな主張なんです。

さてさて、ローマ・カトリックは進化論を大筋で認め、神の世界創造は、
宇宙論におけるビッグバンのことだ、みたいに柔軟に変化してきていますが、
アメリカには、今も頑なに創造論を信じる原理主義的な人が、
かなりの数いるんですよね。では、今回はこのへんで。

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「終末論」と大本教

2018.10.18 (Thu)
最後の審判 ミケランジェロ
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今回はこういうお題でいきます。カテゴリはオカルト論ですね。
終末論は終末思想とも言いますが、Wikiで引いてみると、
「歴史には終わりがあり、それが歴史そのものの目的でもあるという考え方」
と出てきます。これを見ると、哲学的な概念なんですね。

ただ、終末論は宗教で用いられることが多いですよね。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教などの一神教には終末論がありますし、
北欧神話などの多神教でも終末論は言われます。あるいは、哲学に近い内容の
仏教にも終末論はありました。末法思想というやつです。

ですが、一口に終末論と言っても、その内容はさまざまです。
例えば、キリスト教では「最後の審判」において、すべての死者がよみがえり、
イエス・キリストが復活して裁きを与えます。これは世界の救済と考えられており、
この世が一度終わることによって、より高次の段階に引き上げられるということです。
ですから、世の終末は必ずしも悪いものではないんですね。

仏教の末法思想もこれに似ています。お釈迦様の入滅後、
世は正・像・末と三つの時期に分かれ、その最後を末法の世と言います。
これは、「正しい法が隠れ行われなくなる時代」という意味です。平安末期から
鎌倉初期にかけて、世の乱れとともに末法思想が流行しました。ただし、
末法の果ての未来に弥勒菩薩が現れて、すべての人を救うとされていたんです。

末法思想
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さて、現代の新興宗教でも、終末論を唱えるものは多いですよね。
あのオウム真理教もそうでした。ですが、その終末論は本来の意味から変化して、
「この世はもうすぐ終わるが、わが宗教を信じる者だけは救われる」といった、
信者獲得のための手段に変質してしまってる場合が多いんです。
この手の論法を用いるのは、はっきり言って、底の浅いインチキ宗教です。

日本の近代の歴史で、最も大きく終末論を唱えたのは「大本教」でしょうか。
大本教は、教派神道「金光教」の熱心な信者であった出口なおに、1892年、
「艮の金神 うしとらのこんじん」という神が降臨し、なおは、「お筆先」と呼ばれる
自動筆記によって、大量の神の言葉をつむぎ出したんですね。

出口なお
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艮の金神は、後に、日本神話における国常立大神とされました。それと、
なおはもともと文盲であったのに、自在に文章を書けるようになったことが、
真に神が降りた証拠と言われましたが、そのあたりの真偽はわかりません。
この出口なおに近づき、娘婿に入って2代目の教祖になったのが、近代日本最大の
霊的指導者とも言われる、出口王仁三郎(でぐち おにさぶろう)です。

出口王仁三郎
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王仁三郎の思想について、ここでは詳しくふれませんが、
数々の予言をして驚異的な的中率を誇ったとされます。出口の予言は、
神道の「雛形思想」が基本になっていました。これは、大本教内で起こったことが
日本でも起こり、さらに世界でも起きるとする考え方で、「3段の型」と言います。

つまり、大本教が弾圧されたりすれば、日本にも悪いことが起きるわけですね。
それから終末思想ですが、大本教の根本は、出口なおが最初にお筆先で書いた内容、
「三千世界一度に開く梅の花、艮の金神の世になりたぞよ。
神が表に現れて三千世界の立替え、立直しを致すぞよ」に集約されます。

ここから、明治55年に「世の中の立替え」が起きる、と喧伝されました。
明治55年は、大正10年(11年説もあり)にあたりますが、
世の中立て直しの神が登場し、地上世界が新たに立て替えられるというわけです。
大本教なりの終末思想と言ってもいいでしょう。王仁三郎は、
大阪の中堅新聞社だった「大正日日新聞」を買収して、言論活動を強めていきました。

さて、ここで少し余談。昔の新聞社って、どこもすごい いい加減だったんです。
「藤田小女姫 ふじたこととめ」という女性占い師をご存知でしょうか。
この人物が小学6年生の1950年、「奇跡の少女現る」と社会面のトップで
報じたのが「産業経済新聞」。現在 保守を自称して偉そうなことを
書いている「産経新聞」だったんです。

藤田小女姫
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藤田小女姫は、産経新聞社内に一室を与えられて社長らに可愛がられ、
その予言を聞きに、小佐野賢治、岸信介、福田赳夫、田中角栄、
財界の大物らが次々と訪れたと言われます。藤田小女姫は、1994年、
北朝鮮の贋金づくりにからんでハワイで殺害されます。

当時、産経新聞のやってたことは、現在からすれば、とうてい考えられない
話ですよね。ただ、この手のいい加減さは、産経だけでなく、
朝日や毎日でも同じで、国家機密漏洩や虚偽報道、違法な取材などが
普通にまかり通っていました。朝日新聞は、慰安婦問題などを捏造しましたが、
もともと、大新聞とは名ばかりの低俗な体質のものだったんです。

さて、話をもとに戻して、まさに世の立替えが起きるとされた大正10年
(1921)に「第一次大本事件」、昭和10年(1935)に「第二次大本事件」
が起こり、最盛期には信者数300万人と言われた大本教は、
公安により徹底的に弾圧されて、ほぼ壊滅します。第二次大本事件では、
教団幹部61人が起訴され、特高警察の拷問によって16人が死亡しています。

大本教の弾圧
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王仁三郎は、死を免れて1942年に保釈され、故郷の京都府に戻って家族と暮らし、
1948年に76歳で亡くなっています。大本教の言う「世の立替え」は
起きませんでしたが、第2次世界大戦の敗戦により、
日本が大きく変わったのは、ご存知のとおりです。

さてさて、ということで、大本教は終末思想を利用して信者を集めましたが、
オウム真理教のような凶悪な暴力事件は起こしませんでした。
現在でも、終末をうたう新興宗教はいくつもありますので、
注意されたほうがいいと思いますね。では、今回はこのへんで。





「怖いもの」アンケート

2018.10.15 (Mon)
今回はこういうお題でいきます。「あなたが怖いと思うものは何ですか?」
というアンケートがあるとして、これ、設問のしかたによって、
だいぶ結果が違ってくるんじゃないかと思います。自分が怖いと思うものを
自由に書くのか、それとも、あらかじめ決められた項目から選ぶのか。

また、一つだけ答えるのか、複数回答可なのか。
あと、子どもと老人、男女でも、回答結果には当然違いが出てくるでしょう。
ですから、あくまでも一般的な傾向しか読み取ることができないのかなと思います。
それでも、当ブログは「恐怖」ということが裏テーマになってるので、
こういうアンケートは興味深いですね。

次の表は、インターネットを利用した市場調査として「ネットリサーチDIMSDRIVE」
という会社が実施したアンケートの一部です。調査年度は2005年と、
やや古いですが、調査人数は11865人と、かなりの数です。
アンケートの方法は、自分が怖いものを自由回答で一つだけ答え、
それを調査スタッフが分類するという形のようです。



ただ、ネットでの匿名調査なので、面白半分に答えてる人もいるかもしれません。
ネットでの調査って、特にバイアスがかかりやすいんです。例えば、
「幽霊は いる・いない のどちらだと思いますか?」こういう質問内容が
あったとして、これは必ず、「いる」と答える人が多くなります。

どうしてかというと、「幽霊がいる」ほうが世の中が面白いからです。
「わからない」の項目がない場合、本来ならわからないと答える人の多くが、
「いる」のほうに回答するんですね。ネットで生真面目に答えてもしかたがないので、
どうせ、幽霊がいるもいないも確たる証拠もないんだから、面白いほうを答える。

さて、本題に戻って、怖いものの第1位は男女とも「地震」。
これはそうでしょうねえ、bigbossmanも同じです。自分は東日本大震災のとき、
茨城に住んでいまして、津波被害こそ遭いませんでしたが、
ずいぶんと怖ろしい思いをしましたし、惨状を目のあたりにしました。

で、大阪に引っ越してきたんです。あの地震は、自分の人生を変えました。
第2位が、やはり男女とも「人間」です。これもそうだろうと思います。
よく、「幽霊よりも生きた人間のほうが怖ろしい」なんて言いますが、
悪意を持って陥れようとする人間から逃れるのは難しいです。

3位のところで、始めて男女が分かれます。男性の3位が「自分や家族の死」
女性は「霊」です。ちょうど男女の3位と4位が入れ替わっています。
男性よりも女性のほうが霊を怖がる傾向が強いことは、
他の調査でもはっきり表れています。あとはだいたい似たような回答ですが、
男性のほうに「お金」という回答があり、女性には「戦争」という回答があります。  

さて、次は世代別の怖いものを見てみましょう。子どもを含む「20歳未満男性」と
「60歳以上男性」の結果を並べてみました。若い世代の第1位が「死」
第2位が「霊」。高齢世代の第1位が「地震」、第2位が「人間」。
若い世代は調査数が少ないですが、回答はバラけています。

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まあこれは、齢をとるにつれて死が身近なものになっていくので、 
自分の死を現実的に見つめ、覚悟ができてくるということなのかもしれません。
若い人はあまり死に接する機会がないでしょうが、年配の人は、
肉親や友人の死からさまざまなことを学んで、
子どもほどには怖れなくなるのかもしれないですね。

あと、子どもは「霊」を怖がりますが、齢をとるにつれて、
「霊はいない」あるいは「霊がいるとしても直接自分に被害をもたらすわけではない」
と思うようになってくるんじゃないでしょうか。あと、高齢男性のほうで、
「妻」という回答が7位にきてるのが面白いですね。これくらいの齢になると、
奥さんに頭の上がらない人も多いのかもしれません。

さて、次はまた別のアンケート結果を見てみましょう。
「niftyニュース編集部」が2013年に行ったアンケートで、複数回答が可に
なっています。ここで男女とも1位は、やはり「地震、雷、火事などの災害」です。
ですが、この3つ、まとめてもいいものでしょうか?



雷を怖いという人は多いでしょうが、命にかかわるケースは少ないですよね。
あと、「ジェットコースター」が6位にきていますが、これも変な回答です。
地震に遭うことは避けられませんが、ジェットコースターは、
拷問で無理やり乗せられるなんてことはないわけですし、1度体験して
怖かったなら、あとは一生乗らなきゃいい話じゃないですか(笑)。

「蛇などの爬虫類」 「虫」は、やはり男性よりも女性のほうが怖がる人が多い。
それから「お化け、幽霊、ホラー映画」が一つの項目にまとめられていますが、
当ブログ的には、「幽霊」と「ホラー映画」の怖さは違うものだと考えてます。
あとは「歯医者」ですか。たしかにこれは怖い。

さてさて、ということで、一口に「怖いもの」といっても、
アンケートのとり方、また性別や世代によって違ってくることがおわかり
いただけたと思います。ただまあ、自分もこういうのはできるだけ参考にして、
怖い話を書いていきたいですね。では、今回はこのへんで。



                      

「外法」って何?

2018.10.13 (Sat)
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今回はこういうお題でいきます。カテゴリはオカルト論ですね。
「外法(げほう)」というのは、簡単にいうと「外道」が使う法術のことです。
じゃあ、外道って何でしょうか。これは仏教用語です。
悟りを得るためにお釈迦様が定めた方法を「内道」と言いますが、
その道に外れたやり方、また、それを使うものが外道です。

現代でも外道という言葉は生き残っていて、「腐れ外道」などと使いますが、
「卑劣な者、人の道や道徳から外れた者」という意味です。
で、外法は外道が使う妖術なんですが、仏教以外の術って、神道とか陰陽道とか、
日本にはいろいろありますね。しかし、それらは外法とは言いません。

日本は仏教国として分類されることが多いですが、神道も仏教と並行して、
長い年月、信じられてきました。それは、多くの神社が仏教と習合しながらも、
古くから存続していることでわかると思います。
ですから、神道系の力を外法と呼ぶことはできません。

じゃあ、外法とは何かというと、基本的には、「天狗が使う力」なんです。
天狗の別名を「外法様」と言います。ここで、天狗って何かというと、
これは前に一度考察したことがありますが、いろいろな概念が混じり合った
すごく複雑で難しいものなんです。

言葉自体は中国から来たものです。ですが、中国でいう「天狗」は、
「天を疾る狗(いぬ)」つまり、流星のことを指しています。
中国の古書『山海経』に出てくる天狗は、犬とも猫ともつかない獣が、
口から蛇を吐いている姿で描かれています。

『山海経』の「天狗」
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『日本書紀』の舒明天皇9年(637年)の記事に、都の空を巨大な星が雷のような
轟音を立てて東から西へ流れる物があり、人々はその音の正体について「流星の音だ」
と言ったが、遣唐使から帰国した学僧の旻が、「流星ではない、これは天狗である。
天狗の吠える声が雷に似ているのだ」と言った、と出てきています。

ここでは、中国本来の天狗の意味で使われているようです。
ただの流れ星ではなく、地上に落ちてく途中の隕石のことを天狗と言っていた
のかもしれません。しかし、天狗という言葉は、この記事から、
平安時代まで文献の中に出てこなくなるんですね。

役小角
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で、平安時代に出てきたときには、山伏の格好をして、顔が赤く、鼻が長い、
現在の天狗のイメージに変わっていたんです。これには、
山岳信仰の隆盛が関係しているのだと思います。山岳信仰は、7世紀の呪術者、
「役小角 えんのおづぬ 」が始めたとされます。
ただ、役小角が実在の人物かどうかはかなり疑わしいですね。

ともかく、その流れをくんで成立したのが「修験道」です。
山伏として高い山の中で修行をし、岩から岩へと飛び歩く中で心身を鍛えて
不思議な力を身に着けた者。このイメージが、天狗の外見として取り入れられたと
考えられることが多いんですね。それと、天狗の鼻が高いのは、
内面の高慢を表しているとされます。

現代でも、「天狗になる」 「鼻が高い」という言葉は、自慢をするときに使われます。
これは、里に下りてきた修験道の者たちが、驕り高ぶった言動をすることが
多かったところから来ているようです。まあこうして、
山の中に住む妖術使いとしての天狗のイメージが、できあがっていったわけです。

修験道
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なかなか外法にまで進まないですね。ここからは、『今昔物語』から、
外法の出てくる話をご紹介します。・・・あるところに、外法を使って人を集め、
見物料をとって暮らしている法師がいた。この法師の術は、下駄や草履を
子犬に変えたり、また立っている牛の口から入って尻から出てくるなど、
たいそう不思議なものばかりだった。

近くに住んでいる男がそれを見て、自分もやってみたいと思い、
法師に弟子入りを申し込むと、法師は「私は山の中で師匠からこれを習っているのだ。
もしお前が本気で習いたいなら、7日間精進潔斎してから、新しい桶を作って
その中に念入りに炊いたまぜご飯を入れ、もう一度訪ねてくるがよい」
男がそうすると、法師は「では、これから師匠に紹介するが、
けっして身に刃物を帯びていてはならない」こう言った。

男は承知し、飯が入った桶を背中に背負って、法師とともに山中深く入っていた。
すると、山の中とは思えない立派な僧坊があり、中にはまつげの長い、
いかにも徳の高そうな老僧がいた。法師が老僧に男を紹介すると、老僧は男を
じろりとにらみ、「まさか刃物は持っておらんだろうな」と言った。
じつは男は、何かあってはと思い、法師の言いつけに背いて、

密かに小刀を隠し持っていたので、内心あせった。
老僧は人を呼んで「この男が刃物を持ってないか調べよ」と命じ、男はこれは
見つかってしまうと思い、意を決して刀を抜き、老僧に斬りつけた。
すると老僧も、僧坊も一瞬にして消え失せてしまった。男を案内してきた法師は
「なんということをしてくれたのだ。これで私は一巻の終わりだ」と泣きわめいた。

大天狗と烏天狗


男は、法師に申しわけないことをしたと思いながら、法師は泣き泣き、
それぞれ家に戻ったが、法師は3日ほどして頓死してしまった。
男のほうには何の祟りもなかった。おそらく、この山の中にいた老僧は
天狗だったのだろう。また、天狗から術を習った法師のような者は、
「人狗 じんぐ」と言うのだ。・・・こんな話が載っています。

さてさて、現代の作家で、「外道」や「外法」という語をよく使われるのが、
夢枕獏氏です。「外法絵」とか「外法爺」なんて言葉が作品の中に出てきてますね。
ということで、だいたい外法のイメージがつかめましたでしょうか。
では、今回はこのへんで。

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