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見てしまう 3題

2016.01.24 (Sun)
専門学校生のTさんから聞いた話

Tさんはアクアリスト(生物の水槽飼育)養成という珍しい専門学校に通っている若い男性で、
自分とはある雑誌の編集部で知り合いました。そこに配本のバイトに来ていたんです。
このTさんが昨年の4月に体験した話です。
その日Tさんは、バイトが終わった夜中の12時少し過ぎたあたりに、
自転車でアパートに帰ろうと車道の端を走っていました。
そしたら20mほど先に、ジュースの缶が立った形で置かれているのが目に入りました。
「これはいい」と思いました。自転車で通り抜けざまに、
カキーンと蹴っ飛ばしたら気持ちいいだろうなと思ったんですね。
ただ、夜中といっても車通はないわけじゃないので、
左足で左側の茂みのほうへ飛ばしたい。そう考えて自転車の進路を、
やや道路の内側のほうにとりました。だんだんジュース缶が近づいてきて、

ペダルから足を離し、自転車の勢いも合わせてスカーンと・・・
ところが、振り出した足は確かに缶にあたったと思われたのに、
まったく手(足)ごたえがなかったんです。「!?」そのとき、対向車線に急に大型バイクが現れ、
Tさんの30mほど手前で転倒して、そのままアスファルトを擦りながら、
運転者もろともTさんのほうへと向かってきたんです。後になって考えると、
このときにバイクがこける音や地面をこする音はしなかったように思う、
と言っていました。みるみるバイクはTさんの目の前へと迫ってきて、
Tさんは急ブレーキをかけました。ところが、もう少しで自転車の前輪にぶつかるというところで、
そのバイクはふっと消えてしまったんですね。
「え、え、え?」気がつくとTさんは自転車にまたがったまま道路に両足をついていて、
左足の前にジュースの缶が立っていました。

そして、Tさんが缶を蹴り込もうと思った茂みの前に、さっきまでなかったはずの、
真新しい花束が2つ置かれていたんです。よく見ると、
道路には細かなプラスチック部品の破片が散らばっているのもわかりました。
前夜もその場所を通ったときはなかったんで、
その1日の間に死亡事故があったのだろうと思いました。
それは今さっき見えたと思ったバイクの転倒事故なんじゃないか・・・
自転車を停めて缶を拾い上げると、中身が入っていることがわかりました。
「ああ、これは花束といっしょにお供えされていたものだ」
そう思ったので、花束の前まで歩いて缶を起き、
しばらく手を合わせてから家に戻ったそうです。その後は特に、
何かおかしなことがあったということもなかったそうです。

夜店でチョコバナナ売りをしているKさんから聞いた話。

Kさんは20代で、テキ屋業をやっています。自分が前にお祭りに関する取材をしたとき、
知り合いになりました。別に強面の人ということではなく、まあ普通の青年です。
このKさんが中学校2年のときの話です。
Kさんは部活動には入っておらず、毎日早く帰宅していました。
スポーツが嫌いというわけではなく、お金の事情でやる余裕がなかったんですね。
それがあるとき、何か先生に仕事を頼まれて遅くなった日がありました。
といっても帰ろうとしたときは6時過ぎで、運動部ならまだ活動している時間ですね。
昇降口にいると同じクラスの美術部員の男子がやってきて、Kさんを見ると、
「あ、いいとこにいた。俺も今帰るんだけど、美術室に忘れ物してきちゃったんだ。
 取りに行くのつき合ってくれないか」こう言われたんですね。
別に難しい話ではないので、「ああ、いいよ」と気軽に答え、

昇降口にバッグを置いて、いっしょに校内へ戻りました。
美術室は別の棟の2階にあったんですが、そっちに入っていくと人気はなかったものの、
廊下の電灯はついていました。で、階段を登りながら、その友人が奇妙なことを言い出したんです。
「いや、もう部の活動が終わってしばらくたってるから、先生も職員室に戻っちゃったろうし、
 かといって宿題の入ったバッグ忘れたから、どうでも取りに戻らなくちゃならないし、
 誰かいないかなーと思ってたんだよ」 「何だよ怖かったのか?」
「うんまあ・・・ 美術室の前に作品を入れるショーケースみたいなのがあるだろ。
 あん中に『ぼうだま』がいるときがあるんだ」
「ぼうだま・・・棒球??」 「美術部ではそう呼んでるんだよ。坊やの坊に魂って書いて坊魂、
 先生も知ってるんだ」 「なんだよそれ?」
美術室は多目的スペースという、3クラスほどが入れる広い場所の横にあって、

その壁面が、作品を入れるガラス戸の陳列棚みたいになってるんですね。
「なんていうか、男の子どもだよ。ときどき見えるやつがいる」
「お前は見たんか?」 「いや、だけど何人も見てるんだよ。先生も否定しないから、
 たぶん見てるんだよ」 「・・・・」
こんなことを言い合いながら多目的スペースまできました。
陳列棚も見えたんですが、3学年の作品がびっしり入っていて、
人が入れるスペースなんてなかったんです。「ちょっと待っててくれ」
友人はそう言って美術室に入っていき、Kさんは何気なく陳列棚の作品を見ていたんですが、
3段になっている棚の一番下で、動いたものがあったように思えました。
「え!」その細長いせまい空間に、横になって寝そべった男の子どもがいたんです。
小学校の低学年くらいに思えました。

半ズボンを履いていて、顔もズボンからのぞいている足も土のような色をしていたそうです。
目が大きく、ほとんどが白目で、じっとKさんのほうを見つめていました。
「うわわ」そう言って跳びさがったときに、友人がサブバッグを持って美術室から出てきました。
「おい、あれ!」Kさんは陳列棚のほうを指差したんですが、
そのときには、中には男の子の姿はなく、びっしりと雑多な作品が詰まっているだけでした。
友人は「あ、お前もしかして 坊魂 見たんだろ? どんな様子だった」
こう話しかけてきたんですが、怖くなったKさんは友人を置いて走って逃げ出し、
それにつられたのか、友人も息せき切って後を追いかけてきたそうです。
このことと関係があるかはわかりませんが、Kさんが3年になったときに、
急病で美術部の顧問の先生が亡くなり、新しい先生が来て、その陳列棚にあった生徒作品はとっぱらわれ、
棚も外されて美術展のポスターが展示されるようになったんだそうです。

先輩のライター、Uさんとの話

Uさんは50代のライターで、映画評論も書かれています。
ある試写会でお会いしたときに自分と話した内容です。
Uさん「お前オカルト関係に詳しいから聞くんだけど、目の端に変な物が見えたりするってあるんか?」
自分「ああ、最近そういう話が広まってますね。目の端って視界の隅ってことですよね。
 Uさん、何か見えるんですか?」
Uさん「うん、いやまあちょっとね。小さい黒いマッチ人間みたいなのが」
自分「マッチ人間?」
Uさん「ほら、絵の上手くないやつが人を描くと手足がマッチ棒みたくなるだろ。ああいうの」
自分「黒一色ってことですか。うーんそれね、病院に行ったほうがいいと思いますよ。
 ちょっと目の横を指で押してみてください。黒い枠みたいなのが見えたら普通です。
 だけど、それが動いたりってことはないですから、目の病気かもしれませんよ」

Uさん「まあ、そうだよなあ。小さい、顔のない影みたいなもんだから、
 これが幽霊ってわけじゃないだろうし、そうするよ」
こんな会話をしたんですね。それから2ヶ月ほどしてUさんと再会したんですが、
開口一番「お前のいうとおりだった、病院に行ってよかったよ。
 緑内障の初期症状ってことだったんだよ。今、治療中だ」
自分が「大事にいたらなくてよかったですね。お大事にしてください」
Uさん「ああ、目が見えなくなったらおマンマの食い上げだからねえ、洒落にならん」
とまあ、これだけの話なんです。心霊関係を期待した方には申しわけないですが、
失明したりするのは幽霊より怖いですから。





 
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