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病院の花子さん

2016.02.27 (Sat)
これだいぶ前の話になるんですけど、まだ20代のころ、
膵臓の病気で大きな医科大付属の病院に入院したことがあるんです。
手術はできず、投薬治療で治したんですけど、5ヶ月ちかく入院したんです。
そんときの話ですね。病室は最初の症状が重かったときは2人部屋でした。
軽減してからは大部屋に移りましたけど。
その2人部屋のときの相部屋が、三田君っていう11歳の男の子だったんです、
小学5年生。子どもは小児科だと思うでしょうけど、
その子は大学側の研究の都合で、内科においておきたかったらしくて。
でも、小児病棟で行われる出張授業みたいなのは車イスで参加してましたね。
いや、自分としては相部屋が子どもなんで気は楽でした。
病院側としても、自分がまだ若いんでいっしょにしたのかもしれません。

でね、それまで自分はかなり忙しい仕事をしてたんで、
病院に入るともうヒマでしょうがなくなりまして。痛みはお腹に鈍痛があったけど、
それも薬でおさまりましたし。ずっと24時間点滴はしてましたけど、
1ヶ月目あたりからは、点滴車をかかえてうろうろしてましたね。
これは自分がタバコを吸ってたことも関係があります。
まあね、医師からは止められてはいたんですが、当時はまだ全館禁煙じゃなく、
1階には喫煙所があったんですよ。だから日に数回はそこで吸って、
あと売店で雑誌買ってきたり。その子ともいろいろ話しましたよ。
あんまり共通の話題はなかったですけど、ゲームのこととか。
でね、あるとき、「この病院に花子さんがいるみたいだよ」って話が出たんです。
「え、花子さん? 何それ、トイレにいる幽霊のこと?」

「うん、でもねトイレにだけいるわけじゃなくて、病院内を夜になるとうろうろしてるって」
「はー、誰に聞いたん」 「小児病棟の子たちに噂が広まってる」
「うーん、見たって子はいるの?」 「いるよ、山崎君ていう6年生の人、一人だけ」
「どういう姿してるん、髪の長い小学生の女子なんかな」
「それが、大人の女の人だって。口に大きなマスクしてるみたいだよ」
「じゃあ、花子さんより、口裂け女というのに近いのかな。でも、ここは病院だから、
 マスクしてる人は普通だよね」
「そうだけど、赤いマスクで、しかも上に模様が書いてあったって」
「それは気味悪いな。どんなの?」 「それが、◯☓ゲームってわかる?」
「あの線の中に◯☓を書き込んで、3つ並べば勝ちってやつのこと?」
「うんそう。あれの最初の縦横の線だけのやつ」 「??」

イメージがわかなかったけど、ま、子どもの言うことだと思ってたんです。
それから2週間ほどしてですね。夜眠れなくて、
ずっとラジオの深夜放送をイヤホンで聞いてたんです。
それでタバコを吸いたくなって、音立てないように点滴車を引いて病室外に出たんです。
ああ、ナースステーションの前は通りますし、当直は必ずいますけど、
その頃にはタバコ吸いに行くってわかってたので、
見咎められることはなかったです。それでもね、コソコソして。
あと、総合病院だから、救急指定で時間外診療やってましたから、
1階はけっこう人がいるんです。インフルエンザが流行ってた時期なんかは特に、
熱出した赤ちゃんを抱えた母親とかが10数人もいたりして、
怖いなんてことはなかったです。喫煙所にくる人もけっこういました。

一服して、自販機で水を買ってエレベーターのほうに戻ろうとしたときに、
ふっと横の暗い廊下から女の人が出てきました。
白衣のようなのを着てたんですが、その人のマスクが赤く見えたんです。
「うっ!」と思いました。そのマスクに縦横の線が黒で引いてあったんです。
三田君の言ってたとおりなんですよ。
それも驚いたし、なんていうか、その人のまとってる雰囲気がね、
病院の人って感じじゃなかったんです。うーん、年ですか。
目と前髪しか見えませんでしたが、自分より上、30代だと思いました。
でもね、幽霊とか口裂け女っていうのはさすがにねえ。そういうのを信じる年じゃないし。
目が合ったときにこっちに目礼をしたんで、やっぱ病院の関係者なんだろうって思いました。
自分の前をしずしずと歩いてったんです。

エレベーターは同じ方向なんでついてったんですが、
この人何をするんだろうって興味がわきまして。エレベーターは何ヶ所もあるけど、
そっちは病棟でも診療室でもなく、通用口に向かうせまい廊下でした。
エレベーターは引っ込んだとこにあるんで、いったんそこに入ってから、
ボタン押してエレベーターの扉を開け、点滴車を握りしめてもう一度出たんです。
ええそう、上に行ったと思わせるために。でね、そーっと出てみたんです。
そしたらその人はむこう向きに立ち止まっていました。
でね、右手をそっち側の壁にあてたんです。廊下は最小限の黄色い照明しかなかったんですが、
そっち側の壁がぼうっと白く光りました。これが・・・うまく言えませんが、
自分には神々しい感じがしたんです。でも、電気人間でもあるまいし、
一瞬だけだけど、触っただけで壁が光るとかありえないでしょ。

けど、その後もっとありえないことが起きたんです。
女の人は左側にも寄って、そっちの壁も光らせました。それから、
ポケットから何か棒状のものを出したんです。うーん、アンテナというか指示棒というか、
あのほら黒板を指したりする。あの伸びるやつです。
それを伸ばして天井に障り・・・すると、天井もぼうっと光って、
そこに黒い影がいくつも浮かんだんです。うまく言えないんですが、
天井から下向きに生えている上半身とか、手だけとか、顔だけとか。
いや、表情はわかりません。黒い煙みたいな影ですけど、
両目の部分だけ少し白っぽくなってて顔だってわかるんです。天井は光り続けていて、
そいつらの影は苦しそうに伸び縮みし、渦を巻いて、
それからひと固まりで、シュンって、突き当りの中庭に通じるドアに吹っ飛んで消えました。

ドアにめり込んだ感じで、そのときには天井の光はもう消えてました。
女の人は指示棒を短く縮めると、振り返ってこっちを向いたんです。
いや、けっこうあせりましたよ。それから自分のほうを見て下にマスクをずらしました。
・・・普通の口でした。それが開いて、事務的な口調で、
「ただいま清掃中です。病室に戻られてはどうですか」こう言ったんですよ。
それで自分はしどろもどろになって、「あ、はい、どうもスミマセン」
って感じでエレベーターに乗りました。途中でいろいろ考えましたが、
これって霊を清掃してたってことですよね。そうとしか考えられませんよ。
あのマスクは魔除けかなんかで。よっぽど三田君や、病室付きの看護師に
見たことを話そうかと思ったんですが、病院にしても秘密のことだろうからと考えて、
やめといたんです。どうなんでしょう、今もやってるのかどうか・・・







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コメント
 こんばんは、野崎です。

 祖母が体調を崩して今週二、三回ほど病院に行ったのでちょっと「なんて偶然なんだ」と苦笑してしまいました。

 病院で死神系のモノに会うという話はよくありますが、祓っているところを目撃する話というのは割と少ない気がしますね。
 どこの病院もこっそりこういう人を雇っていたりして……。
野崎昭彦 | 2016.02.28 01:21 | 編集
コメントありがとうございます
御祖母さんは大事ないといいですね
これはネタ切れで、前に書いたのと同じネタでリライトしてみたものなんです
最近話を思いついても、どれも前と似たネタになってしまって・・・
bigbossman | 2016.02.28 03:05 | 編集
 心配ありがとうございます。
 総合病院の常で検査検査でタライ回しにされているだけで本人はもう回復しています。
 実は病院に行く前にほとんど回復してたのですが、症状も症状だったし、もう八十超えてるので一応診てもらおうということで連れて行ったんです。

 確信が無かったし、それらしい記事も見つけられなかったので黙っていたのですが、やはりリライトでしたか。
 新しいネタが浮かばないと辛いですよね。苦労お察しします。
野崎昭彦 | 2016.02.28 23:57 | 編集
コメントありがとうございます
もう記事数が1000を越えまして、怖い話のだいたいのパターンが
出尽くした感じが自分ではあります
今後は歴史記事、科学記事、妖怪記事が多くなるかもです
bigbossman | 2016.02.29 00:00 | 編集
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