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とびとびの世界

2016.03.11 (Fri)
『時間は流れる川のごとく、とぎれることのない連続したものだと
当たり前のように我々は考えている。秒針が次に進むのに止まっているからといって
時間が停止しているとは誰も考えないだろう。しかし、
最近の研究によって時間というものが「パラパラ漫画のように不連続なもの」
だという新説が物理学者の間で話題になり、
しかもその時間が考えられていたよりも長い可能性があると、
イギリスのニュース誌「DailyMail」は伝えている。』
(楽天ニュース)

今日はこの話題でいきます。これ、やや誤解を招きかねないんですが、
時間が不連続であるという可能性はだいぶ昔から言われてきています。
それが今回、カナダのウォータールー大学とレスブリッジ大学の共同研究によって、
最小単位がもっと長くなる可能性が発表されたということですね。

では「アキレスと亀」の話からいきましょうか。
これはご存知の方も多いと思いますが、詭弁の代名詞のように言われていますね。
アキレスと亀がいて、走り比べをすることになりましたが、
亀が遅いのはわかりきっているのでハンデを与えることにしました。
アキレスよりある距離分前からスタートするのです。そうすれば、
アキレスが亀のスタート地点まで走ったときに、亀は遅いながらもその先に進んでいる。
やはり亀がアキレスの前にいることに変わりはない。

アキレスがさらに走って亀のいた地点に追いついても、亀はまた少し先を進んでいる。
ということでアキレスはいつまでたっても亀には追いつけない・・・
わけはないですよね。これはわざと人を惑わせるように作ったパラドクスです。
下図を見ればわかると思いますが、このパラドクスは、
亀の進む距離をどんどん短くしていくという話でもあるのです。



では、距離というのはどんどん短くしていくことができるのでしょうか。
ある長さを半分にして、そのまた半分にしてまた半分に・・・
これは数学であればできるでしょう。
しかし、物理学ではどうやらそうではないようなのです。
この世界にはそれ以上半分にすることができない最小の長さというものがある。
アキレスと亀の話は、距離だけではなく走る時間という点から見れば、
時間の話でもあります。そしてどうやら、時間にも最小単位があるみたいなのですね。

これを発見したのはマックス・プランクという人です。鉄を熱するとしましょう。
すると鉄の色、つまり出てくる光は赤色→橙色→黄色→白色と次第に変化していきます。
プランクがこの変化の量、飛び出してくる光のエネルギーを詳細に調べた結果、
これが連続的なものではなく、とびとびの量になっていることがわかったのです。
ある比例定数が存在し、階段のように輻射エネルギーが変化してしまう。
この比例定数をプランク定数といいます。このプランク定数を用いた式を数学的に変形すると、
プランク長さ、プランク時間というものが出てきます。
この世に存在する最小の長さ、最小の時間です。もしかしたら、
その中には何かがあるかもしれませんが、原理的に中を見ることは不可能なんですね。
「超弦理論」では、このプランク長さ以下に余剰次元が丸め込まれているとします。

世界はとびとびになっている


なかなかわかりにくいと思われますが、まだしも長さのほうがわかりやすいでしょうか。
みなさんが画像加工ソフトを持っていれば、ある写真をどんどん拡大していくと、
画面が最後は同じ色の1つのピクセル(色情報を持つ最小単位)
になってしまうことをご存知でしょう。それ以上は拡大しても意味がありません。
時間もまた同じで、例えばビデオ撮影だと1秒間に30コマくらいでしょうか。
昔のフィルム映画だと1秒間に24コマ。
コマ一つひとつがとびとびに独立しているのですが、
つなげてみれば、スクリーンの中の登場人物は普通に動いていて、
特に不自然さは感じませんよね。

これがじつは映画の中だけではなく、
現実の世界もそういう仕組みになっているかもしれないのです。
ただし現実世界は映画よりもずっと短い時間に区切られていて、
プランク時間は1秒を10の43乗に分割したものなのですが、今回の研究では、
時間の最小単位が1秒を10の17乗に分けたものである可能性を指摘しています。
ずいぶん長くなったわけですね。

プランク定数が発見されたのは量子力学が確立される前の話で、
最初は意味がよくわかってないなかったのですが、
だんだんにその重要性が理解されてくると、
「お父さんはもしかしたら大変なものを発見したのかもしれない」
マックス・プランクは子どもにそう話したそうです。

なぜこのように世界が不連続、とびとびになっているのかはわかりませんが、
不連続のほうが急激な変化に強い、安定しているとは言えるでしょう。
ステレオのボリュームのスイッチが指で回す方式であれば、
ちょっと触っただけで大きく変わってしまいますが、テレビのリモコンスイッチのように、
指で押すと1,2,3と変化していくタイプなら、
間違えて急に大きくなる可能性は低いでしょう。

ニュースは、『そして、もし時間が不連続なもので、かつそれぞれが
さほど短いものでないとなれば、将来的にタイムトラベルが可能になることも示唆している。
パラパラ漫画のようにたくさん並んだ「静止した時間」から、
好きな時間のカードを取り出すことにより、違う時間に移動できることになるのだ。』

と続いていますが、さすがにこれはいきすぎだと思われます。
フィルムを巻き戻すように時間を戻して、その中を一コマを取り出すことが、
はたしてできるのでしょうか?時間の方向性(過去に戻れるかどうか)に関しては、
まだ何もわかっていないのです。

さてさて、前に「超弦理論(超ひも理論)」をご紹介しましたが、
現状はやや進展が滞っています。超弦理論は量子論と重力理論を統合する試みでしたが、
この有力な対抗馬として、「ループ量子重力理論」というのがあります。
ネットワーク宇宙論などとも言われますが、これはこの世界が、
最小の時間、最小の長さの単位で織り込まれた網のようなものであるとする理論です。
最近は超弦理論の行き詰まりにより見直しがされてきています。
考えのきっかけをつくったのはロジャー・ペンローズという天才的かつユニークな物理学者で、
幾何学的タイル模様の特許を持っていたり、「ペンローズ階段」という不思議画像を考案し、
版画家のエッシャーに影響を与えたりしています。

ペンローズ階段






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