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聞いた話3題 (バス編)

2016.03.24 (Thu)
これは自分がよく熱帯魚ショップでいっしょになる、
大型バスの運転手をしているYさんから聞いた話です。
最初の2つはよく似た内容ですが、一つ目はYさん自身、もう一つはYさんの同僚の方の話で、
最後の話も元同僚の方のものなんですが、これがちょっと考えられないような内容で。
自分も長く怖い話の収集をしているものの、こんなのは類例がありません。
何か薬物を使用したときの幻覚に似ているの気がするんですが、
また聞きで信用度は落ちますし、判断は読まれる方におまかせしたと思います。

Yさん自身の体験

Yさんは現在、大阪市内の路線バスを運転されていますが、
若い頃は貸切バスの運転を主にしていたそうです。貸切バスは団体旅行用で、
泊まりがけになることが多く、結婚してから路線バスに配置転換になったそうです。
で、Yさんが2泊3日のツアー旅行で、北陸方面に行ったときのことです。
コースはもちろん有名観光地を回るのですが、
その中に自殺の名所となっている断崖絶壁が含まれていました。
自殺予防のための電話ボックスがあるところと言えば、おわかりの方もいるでしょう。
その日の朝早く会社に出て、集合場所にバスを回そうとしたところ、
早出をしていた支社長から「これ持って行きなさい」と、変なものを渡されました。
腕ぬきでした。腕ぬきって知ってますか?あの田舎の学校のコントなんかに出てくる、
上腕にはめる黒い布、ワイシャツがインク等で汚れないようにするためのものです。

それを片方だけ渡されたんですが、裏側にびっしり、
各種神社のお守りが縫い付けられていたんです。Yさんが「???」となっていると、
支社長は「君ね、◯◯へ行くんだろ。じゃこれをね、右手につけてその上に背広着てって。
 絶対必要なものだから」 これは意味がわかりませんよね。
「どう必要なんですか? どうやって使用するっていうか」
「バス降りて自由行動1時間とかあるだろ。あのときにバスの中でつければいいから。
 でね、時間が終わってみながバスに乗り込んでくるじゃない。
 そのときに変なのが乗ろうとしたら、それはめた腕でストップをかけるの」
「変なの??」 「亡くなった人だよ」 「えー幽霊ってことですか?」
「早い話がそう」 「マジっすかー」 
「マジもマジ、大マジ。変なの乗せたら事故もあるからね」

こんなやりとりになりました。「それ、幽霊が乗ってくる場合、一目でわかるんですか?」
「わかるよ。そのときに、それつけた腕で遮れば乗らないで戻ってくから」
ということでお客さんの団体を乗せて出発しまして、
1日目の昼食後、問題の自殺の名所に着いたんです。お客さんが出ている間に、
Yさんは簡単な食事をとり、渡された腕貫をつけました。
強行軍でしたので自由時間は45分、お年寄りの多いお客さんたちは、
時間を守って戻ってきまして、ツアーガイドさんが点呼を始めたときです。
バスのステップに薄い影が立ったんだそうです。色がなくほとんど白黒で、
しかも背景が透けて見える若い女性。髪は濡れていて、しずくがたってるようにも見えました。
ぎょっとしたYさんですが、入り口を遮るように腕を伸ばして金属の支柱をつかみ、
影に向かって首を振ると、影は無表情のままスッと消えたそうです。

同僚のHさんの話

前の話は腕ぬきにつけたお守りでしたが、お守りフィルムというのもあるそうです。
これはバスの中で使うんじゃなく、バス停でです。Hさんは大阪ではなく、
京都の路線バスを運転していましたが、府庁近くの路線を回ることが多かったそうです。
そのあたりに、屋根のついたバス停がありまして、
これは大勢の人が乗る人出の多いところに設置されています。
で、正月のことです。3が日中は運行の本数は減るものの、まったく運転しないわけではなく、
Hさんも1月3日に運転に出ることになっていました。
そしたら年末、上司に黒いビニールフィルムを渡されたそうです。
これ下敷きを2枚重ねたようなもので、中に薄い書類なんかを入れる。
「初詣に行くだろう。そのときにできたら◯◯神社に行ってくれないか。
 それでお守りを4つほどいただいてきて。もちろんお金はこっちで出すから」

「かまいませんが、どういうことですか」これ、◯◯神社は伏見の有名なところです。
「お守りをそれに入れて、□□のバス停のベンチあるじゃない。
 その下に去年のお守りがあるからとっかえてきてくれればいいんだ。
 お客さんは少ないはずだから停車中に」
ということで、人でごったがえす初詣でお守りをいただき、
フィルムに入れてバスに乗せ、仕事に出かけたわけです。
確かに初売りの翌日でしたから人では少なく、言われたバス停で降りてベンチの下を探ると、
確かにほぼ同じ大きさのフィルムが貼り付けられてあったんです。
それを回収して、手早くガムテープで新しいのをセットしまして、
会社に戻ってきました。「ご苦労さん」と上司が来て、前のフィルムを手に取りました。
「どういうことなんですか?」まだ若かったHさんが勢い込んで聞くと、上司は、

「ああ、これねえ、もちろん厄除け、魔除けだよ。あそこの停留所、どういうわけか、
 女の人の服着てない腕が、ベンチの下から出てきたって苦情があってね」
「うわ、本当ですか」 「うんそれで、驚いて飛びのくと消えてる。けどね、あるとき、
 勇気のあるお客さんが腕をつかんだんだって。そしたら、女の細腕に見えたのが、
 急にムクムクと太くなって、皮膚にブワッと針金みたいな剛毛が生えたんだそうだよ。
 その人は驚いて腕を振りほどこうとしたんだが、すごい力で。
 足で蹴ったら離れたけど、指を何本か骨折したんだって」
「うわ、それ会社で補償したんでしょうか」 「古いことだからそこまで伝わってない。
 けどね、ほら京都だから、そういうことがあっても不思議じゃないねえ」
「不思議ないですかあ? それ何なんでしょうか?」
「鬼の腕じゃないかってことになってる。それ以来ね、お守りは毎年取り替えているんだ」

別のバス会社のOさんの話

これねえ、不可思議な話で、あまり変わってるので、
自分はそれが起きた旅館はどこか聞いたくらいです。
残念ながら、もうつぶれてしまっていました。
今から30年以上前ですね。修学旅行なんか、今はすっかりホテル泊が増えて、
旅館の大部屋で枕投げなんてできなくなってしまったそうですが、
その当時は京都方面には、そういう修学旅行客専門の旅館があったんです。
で、生徒、引率教師が泊まる部屋の他に、旅行者の添乗員やOさんみたいな
運転手が泊まる専用の部屋もあったんです。もちろん粗末かつせまい部屋なんですが、
運転手は団体客にくつろいでいる姿は見せられませんから、
食事をして寝られればいいわけです。風呂には入りますが、
何か緊急のことがあるといけないので、浴衣に着替えることもしなかったそうです。

で、Oさんが泊まったのは、規模は大きいけれど内装は貧相なそういう専門の旅館で、
初めてのところでした。案内されたのは、1階の細い廊下をずっといった
6畳ほどの奥まった部屋で、なぜかテーブルのかわりにコタツがあったそうです。
驚いたというほどでもありません。布団部屋みたいなところを
あてがわれたこともありましたから。ただ、入口を入って右側が、
壁ではなくフスマになってたんだそうです。これはさすがに気になりますよね。
それで、中居さんに「このフスマ、隣の部屋とつながってるの?」と尋ねたところ、
「それは開かないようにしてありますので、ご心配いりません。
 隣は部屋ですけど、人は入っていませんので」こう言われまして、
そのときは、旅館の事情で一つの部屋をフスマで仕切ってあるのだと思ったそうです。
で、風呂から戻って缶ビールを何本か空けて寝たんです。

翌日の出発は早い時間でしたし、運転手は睡眠が重要ですから。
コタツをよせて敷いた布団に横になっていると、足の方にあるフスマがパーンと音を立てた。
寝入りばなせしたが、目をあけるとフスマが半分ほど開いて、
薄ぼんやり隣の部屋の様子が見えまして、やはり布団を敷いて寝ている人がいるようでした。
「何だよ、誰もいないって言ったじゃないか」とにかくそのままにはしておけないので、
布団から出てフスマを閉めようとしたんです。そしたら・・・
今いる部屋とまったく同じつくりで、向こうにもフスマが見え、その模様も同んなじ。
立って見下ろすと、布団に向こうを向いて寝ているのはOさんだったんです。
「ええっ!」と思いましたが、間違いなく自分でよく寝ている様子。
呆然としていると、また奥のフスマがパンと音を立てて開き、
暗くてよくわからないものの、そこにも布団があるらしく見えて・・・

これは怖いですよね。自分のいる部屋が無限に続いてるかもってことですから。
でもね、さすがに信じられない。勇気を出して次の間に入ろうとしたそうです。
そのときに、部屋にあった内線の黒電話が鳴りまして。
そっちを取ったとたん、やはりパンと音を立ててフスマが閉まった。
電話のほうは耳にあてても「ツーツー」音がするばかり。フスマを開けて
確認しようともしましたが、これが釘ででも打ちつけられたように開かなかったんだそうです。
しかし、さすがに気味悪いですよね。もう部屋で寝る気になれず、
ロビーに行ってそこのソファで朝までうとうとしていたそうです。
それで夜が明けまして、部屋に荷物を取りにいき、そのときに一つ向こうの、
昨夜もう一人のOさんが寝ていたはずの部屋をのぞいてみました。戸を開けて中を見ると、
びっしり寝具が詰め込まれていて、とても人がいられる状態ではなかったということでした。






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