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黄金の林檎

2016.04.06 (Wed)
『国立科学博物館などは4日、2013年11月から2年以上噴火を続ける
小笠原諸島・西之島(東京都小笠原村)で採取した火山灰の分析から、
地下3~6キロに今回の噴火を起こしたマグマ溜まりがあるとする推定結果を明らかにした。
同博物館地学研究部の佐野貴司鉱物科学研究グループ長らの研究チームは
14年6月、火山灰を採取し、含まれる鉱物や元素などの組成を解析した。
その結果、輝石と呼ばれる鉱物に含まれる鉄やマグネシウムの比率などから、
今回のマグマ溜まりが地下約3~6キロにあり、
温度は970~990度と分かった。』
(時事通信)

今回はこのお話でいきます。地学関係の記事を取り上げるの珍しいんですが、
自分なんかはこれを読んで、「地下マグマ発電」に使えないのかな、
などと考えてしまいました。地下マグマ発電というのは、
地熱発電が大規模化したもので、直接、地下にあるマグマの熱を利用するわけですね。
これでお湯を沸かして蒸気をつくり、タービンを回して発電します。
現状では、エネルギーは電気の形に直して供給する以外の道はないでしょう。

マグマ溜まりは地下数十kmにある場合が多いので、そっから熱を取り出すのが難しい。
しかし、この西之島の場合のように、もし地下の低所にあれば、
それだけ技術的な困難は少なくなります。この場合、火山近くで危険ではありますが。
将来的には有望なエネルギーなのですが、これで採算がとれるようになるまでには、
あと50年はかかると言われていますね。もちろん、
火山国である日本はこの点では有利で、マグマ資源を効率的に活用できるのなら、
日本全体で必要な電力用の何倍もあるはずです。

さて、福島原発事故以来、原発の是非については多くの議論がありました。
原発は1度事故が起きてしまえば、その影響は甚大ですよね。
それは、放射能の漏洩は止められない、いったん出てしまった放射能は除去できない、
というところから来ています。実際、現在行われている除染は、
単に汚染した物質を他の場所に移すだけのことで、根本的な解決にはつながりません。
これまでは安全神話によって、原発の事故はありえないとされてきましたが、
人間のやることですから必ずミスはありますし、
何よりも、千年に1度レベルの自然災害に耐えることができるわけはないのです。

では、どうすればいいのでしょう。資源のない国日本は、
他国からずっと石油や石炭を輸入し続けなくてはならないのでしょうか。
それらが枯渇した場合には、シェールガスやメタンハイドレートなどを。
これもねえ、けしていいことではないですよね。
石油・石炭を燃やすと、どうしても2酸化炭素が発生してしまいます。
中国のスモッグの大きな原因は、官民で石炭を大量に燃やしていることでしょう。
それに、化石燃料というのは地球の膨大な時間がつくりだしてくれた
人類の資産なのですが、次から次へと使いきっていくのは、
なんだか、貯金を取り崩して生活してる家庭みたいです。

ですから、代替えエネルギー開発の必要性が叫ばれているわけですね。
この代替えエネルギーですが、
さらに再生可能エネルギーと、そうでないものとに分けられます。
再生可能エネルギーというのは、簡単に言えばいくらでもあるもの、
使う以上の量が自然界によってつねに補給され続けているもののことです。
具体的には、太陽光、風力、波力・潮力、流水・潮汐、地熱、バイオマスなどです。

バイオマスは、生物を利用してアルコールなどをつくることで、
植物や微生物などが利用されます。簡単に言えば、
焼酎やウイスキー、ラム酒をつくるのと変わりはありません。
これらは元々は太陽光エネルギーで、燃やしても、
その植物が光合成によって大気中から摂取した2酸化炭素が元にもどるだけで、
全体として見れば大気中の2酸化炭素量を増加させていないと考えられます。
あと、再生可能とは言えない代替えエネルギーとしては、
廃棄物発電(ゴミを燃やす)、燃料電池も今のところはそうですよね。

では、日本は原発をやめてこれらの代替えエネルギーに
切り替えていけばいいのでしょうか。
ここは難しいところです。長期的にはそれが望ましいのでしょうが、
さまざまな問題点はあります。まず、自然エネルギーの利用であっても、
必ずしもすべての人を幸せにするわけではありません。

例えば、波力・潮力発電は漁業に影響が出るでしょうし、
地熱発電は温泉を利用した観光業と現在でも競合が見られます。
風力や太陽光も広い面積が必要で、そこには利権も生じるでしょう。
トウモロコシなどからアルコールをつくるバイオエタノールは、
穀物価格の高騰を招いたり、全地球に食物が行き渡らないなどの問題を引き起こします。

それと、もし日本が原発を完全にやめてしまって、
すべて再生可能エネルギーに切り替えていくとすれば、
急激にやるとガクンと経済が落ちるのは間違いありません。
今でもほとんど稼働してないじゃないかと思われるでしょうが、
長期的には、企業製品の製造コストは上がり、設備投資や基礎技術の研究は滞り、
世界のライバルに遅れをとってしまう可能性はあります。新エネルギーを、
新たな産業にしていくといっても、そう簡単なことではないのですね。
これらのこととバランスをとりながら進めていく必要があるんでしょうね。

日本と同じ工業国であるドイツは、脱原発へとエネルギー政策の舵を切りましたが、
日本と単純に比較するのは難しいと思われます。向こうは大陸ですので、
石油やガスの輸送も簡単ですし、いざとなればEU諸国から電力を買うこともできます。
その点、島国である日本とは違います。また、ドイツ一国が脱原発でも、
フランスやロシアで大規模事故が起きてしまえば、
どうしてもその影響は受けざるをえないわけです。
フランスは原発大国ですが、ISなどによる原発テロの危険性はつねにあります。

さてさて、当ブログでは政治的な内容は取り上げないようにしているので、
本項も、反原発や原発擁護の意図があるわけではありません。
「塞翁が馬」という言葉がありますが、世の物事というのは複雑にからみ合っていて、
なかなかすべてがうまくいくという解決策は存在しないのです。
どこかがよければ、必ず別の場所に痛みはきます。ですから、
感情論に陥らず、短絡的に判断しないということが重要だと思いますね。

本項の題名「黄金の林檎」というのは、SF作家レイ・ブラッドベリの短編、
『太陽の黄金(きん)の林檎』からとっています。
核が冷えてしまった未来の地球で、太陽に向かってエネルギーを取りに行く、
決死の宇宙船の話でした。太陽が燃えるのは核融合の力によるものですが、
現在研究が進められている核融合発電は、最初に書いた地下マグマ発電同様、
安定的な電力供給までには、あと50年はかかりそうだということです。

はなかいしえいえい「




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