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英国怪談をめぐる3人の人物

2013.08.14 (Wed)
 なぜイギリスが他のヨーロッパのキリスト教国に比べて幽霊の話題が多く出るのか。
かの宜保愛子氏も訪れたロンドン塔の幽霊なんかが有名ですよね。
一般にヨーロッパにはケルトをはじめとする古い土着的な民間信仰があります。
『グリム童話』などに出てくる残酷な小人や妖精、
文化的には、ああいったものを底流としてキリスト教が上書きされていると自分はとらえています。
ドイツなどは国民性もあるのでしょうが、怪談を楽しむという文化は希薄です。
これはドイツ在住の方に聞いたのですが、心霊写真という概念がなく、
もし自分の寝室に亡くなった人が現れたとしても、それを見た人は、
「この人が亡くなったというのは間違いだったんだな。でもどうやって入れたんだろう」
と考えるのだそうです。

 これに比べると英国には幽霊城などがあり、怪談を文化として楽しむ風潮が強い。
まあこれは日本と同じ島国というせいもあるんでしょうが、それはおいといて、
一つにはキリスト教の縛りが弱いという理由があると思います。
イギリスはご存知のように国教会制をとっています。
イングランド王ヘンリー8世は6人の妻を迎えましたが(うち2人を刑死させる)
この妻らとの離婚をめぐる問題でローマ・カトリック世界から離脱し(後に破門)
英国教会を設立しました。このあたりからキリスト教の束縛がかなりゆるみます。
 なお当ブログのテーマとは関係ありませんが、キーボード奏者リック・ウェイクマンの
『ヘンリー8世と6人の妻』はなかなかの佳作です。

 次にシェークスピアです。キリスト教の教義的には、人間の霊魂は全能の神の支配下にあり、
さまよえる幽霊などは存在し得ないことになっているのですが、彼は『ハムレット』で、
父王の幽霊を作品に登場させるためにアクロバチックなことを考えました。
父王の魂は煉獄(地獄よりややましな、救済のための苦しみを受ける場所)にいるのですが、
煉獄では夜の間は責め苦もお休みになるので、その間に現世に出歩いてもよいとするものです。
これによって父の亡霊は出てきてもよいことになりました。
ただし朝の一番鶏が鳴くと帰っていくというのは土着的なものからきているのでしょう。

 こういった下地があって、
英国ではスピリチュアリズムの『シルバーバーチの霊訓』なども生まれたのだと思います。
この英独2国と比較するとフランスは中間的な感じでしょう。幽霊屋敷のようなものもあります。
アラン・カルデックなどが活躍したスピリチュアリズムの影響をやはり受けていますし。

 さて今回登場する3人目は、英国怪奇作家のジョン・ブラックバーン。
2006年から3冊『闇に葬れ』などが論創社から翻訳され、なかなかの評判ですが、
やはり代表作は『小人たちがこわいので』になると思います。
長編としては短めの作品ですが、スリラータッチでテンポがよく話の展開が早い。
公害による魚の大量死といった社会派風の出だしから、
ウエールズに古くから伝わる恐怖の小人族が登場し、
さらに驚くべき結末を迎えます。中学生のときに呼んだのですが大変印象深い作品です。

『Six wives of henry viii 』Rick Wakeman


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