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ミギワさんの話

2016.05.07 (Sat)
えー、自分はMと言います。何でも屋のライターをしてますが、
旅行雑誌に書くことが多いです。よろしくお願いします。
それで自分、趣味で怪談を集めてるんですよ。
いろんな知人に怖い体験ないか聞いて回って。
いや、別に実話怪談書こうとかではないです。まあ趣味ですね。
ここ4年くらいやってるんですが、500話くらいにはなったと思います。
ええ、自分が怪談集めてるのを知ってる人が、体験者を紹介してくれるんです。
でね、これはそんな中の、Aさんっていう20代後半の女性からお聞きしたものです。
Aさんは大きな宝石店に勤務してて、そこわりと自分のマンションの近くだったんで、
連絡して退社時に喫茶店で待ち合わせて伺いました。
でねえ、最初に聞いたときはそんなに怖い話じゃないと思ったんですよ。

今からお話します。こんな内容でした。・・・Aさんがまだ小学校高学年で、
実家のある県に住んでたころ、法事があって、
親戚一同がお寺さんに集まることがちょくちょくあったということでした。
お葬式ではなくて法事なんですが、その1年だけで5回くらいあって、
午前中に集まってきて本堂で法要をし、お寺の一室で仕出しの精進料理を食べ、
夕方まで四方山話をして解散する。そういう集まりだったそうです。
ただ、来てる子どもは、Aさん以外は中学生の男子か小さい子ばかりで、
Aさんは退屈して持ってきた本を読んでることが多かった。
そのときに、ミギワさんという和服の喪装の女性がよく話しかけてくれた。
ええ、ミギワというのはAさんの名字とは違ってましたが、
遠い親戚の人だと思ってたそうです。

ミギワさんは当時、30代前半くらいでとても色が白かったことを覚えてると
言ってました。話をする内容は、「学校楽しい?」
みたいなありふれたことだったそうですが、その法事の最後の1回に、
ミギワさんと一緒にお寺の外に出たんだそうです。昼食後に手を引かれ、
お寺の前の停留所からバスに乗りまして、片道1時間くらいかかったそうですから、
けっこう遠くまで出たわけですね。で、着いた先が境内の広い大きな神社。
たくさん参詣者がいて、Aさんは神社の参道に出ていた屋台で、
ミギワさんに串団子を買ってもらって食べた記憶があるそうです。
それから玉砂利を踏んでいくと、大きな金属の狛犬があったんです。
ミギワさんは、その片方の口を開いてるほうの前までAさんはさんを連れてきて、
「これは大事なことだから」そう言って、

Aさんを、顔が狛犬の口の前にくるようにして抱き上げました。
ええ、Aさんは今も小柄なんですが、小学生時代はいつも背の順で1番前だったそうです。
「この中を覗いて、見えるものを教えて」でも、そう言われても、
たぶん銅製の狛犬の口ですから、中は真っ暗のはずですよね。
実際真っ暗だったんですが、「何も見えませんよ」とAさんが言ったとたん、
急にふっと目の前が明るくなり、玉砂利の上で人形を抱いている和服の女の子が
見えたそうです。4、5歳くらいかと思ったそうですが、
なんとなく顔に見覚えがある気がしました。女の子はすごくつまらなそうな顔をして、
振り向いて後ろのほうに歩いていったんですが、
そこに、Aさんが覗いてるのと同じ狛犬があったんだそうです。
だから同じ神社だと思いました。「もういいかな」ミギワさんがAさんを下ろし、

Aさんは狛犬の後ろに回ってみましたが、首の後に穴が開いてるわけでもなく、
また狛犬の後ろに同じものがあるわけでもなくて、そこは社殿の杜になってました。
首をひねりながら見たことを言うと、ミギワさんはその女の子の着物の柄なんかを
細かく聞いてきて、「ありがとうね」とAさんの頭をなでたそうです。
それからまたバスに乗って帰ってきた・・・
こういう話だったんですね。その後法事に出ることはなく、
ミギワさんとは1回も会ってないそうです。で、中学生になってから、
Aさんがそのときのことを思い出して、お母さんにミギワさんのことを尋ねると、
お母さんは首をひねって、「ミギワさんねえ、親戚のだれかなんだろうけど、
 ちょっとわからない」こう答えたんですね。高校生になってから、
「あれほど大きな神社だし、狛犬もまだあるかも」

そう考えて、バスで1時間圏を中心にそのときの神社を探し、
何ヶ所かは行ってもみたんですが、どこも小さいころの記憶とは違っていた・・・
どう思いますか? 特別に怖い所のある話じゃないですよね。
狛犬の口の中に女の子が見えたのは変と言えば変だけど、
それだって子どもの勘違いかもしれないですし。そう思ってたんですが。
で、自分は話を伺うとき、録音とかはしないんです。メモだけ。
録音をすると、どうしても体験者の方が緊張して話がぎこちなくなるんです。
それに保管も大変だし。A5の大きさのパッドに要所だけメモっといて、
これはと思う話だけパソコンでリライトします。Aさんの話の場合は、
そこまでのものではないので、ほっておいたんですが。2日後かな、
仕事から部屋に戻ったとき、机の下にメモパッドが落ちてたんですよ。

特に気にもせず拾い上げましたら、中から1枚、昔のフィルムカメラらしき
写真が落ちてきました。モノクロでしたから古いものだと思います。
で、写ってたのが、たぶん同じ女の人を前と後ろから屋外で撮ったもので。
ええ、つまり合成写真というか、2枚のものを1つにまとめて焼いてあるんです。
女の人は和装の礼服で、顔の色がハレーションを起こしたみたいに真っ白でした。
「これ、話に出てたミギワさんなのかな」って思いました。
ほら、色白だったって言ってたし、年格好も話のとおり。
でもね、Aさんからこんな写真を受け取った覚えはないし、そもそも、
Aさんは喫茶店のテーブルの上に何も出さなかったはずなんです。変ですよね。
それと、もう一つ奇妙なことがありました。写真の右半分は女性の後姿なんですが、
後頭部にあたる部分が焼け焦げていたんです。

そこだけマッチか何かであぶったようで、穴があきかけていたんです。
ともかく、「これは自分が記憶してないだけで、Aさんのものに違いないだろう、
 お返ししなきゃ」って考えました。じつを言うと、嫌な感じのする写真だったんです。
見てると背筋がぞくぞくっときました。でね、翌日Aさんに連絡しまして、
Aさんは写真のことは知らないと言ってましたが、ぜひ見たいということだったんで、
前回の喫茶店でまたお会いすることになりました。
写真を見せると、Aさんは「あっ! そうです。この人ミギワさんだと思います。
 記憶とピッタリ合ってますから。それにこの背景、下が玉砂利ですよね。
 私が連れてってもらったあの神社なんじゃないかな」続けて、
「この写真、帰省したときに母に見せたいんですが、お借りしてもいいですか」
こう聞かれたので、もともと自分のものではないし「どうぞ、返さなくてもいいですよ」

ってなったんです。まあ、自分としては厄介払いできたかなと思いましたし。
で、お母さんが写真を見たときの反応とか聞かせてもらいたいってお願いし、
その場はそれで終わりました。でも、これもきっとAさんのお母さんが、
「ああ、親戚の○○ちゃんだね」と答えて終わる話だと思っていました。
それが・・・今年の正月2日に、Aさんから衝撃的な電話がかかってきました。
「一昨日、母にあの写真を見せまして、そしたら神社の場所はわかりました。
 でもミギワさんが誰かは教えてくれなくて。それで昨日の朝です、
 母が台所で首を吊って、発見されたときにはもう手遅れで」
これだけで電話が切れ、それ以降は携帯もAさんの固定電話もつながらなくなったんです。
正月休みが終わっても東京に出てこないで、お店はやめちゃったみたいです。
これ、どうしたらいいんでしょう。実家のほうに訪ねていけばいいんでしょうか。






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コメント
こんにちは。

訪問&ポチは、ほぼ毎日行っていますが
読むのは土日のみです。
いつも楽しんで読んでいますが
この話は最後の写真(絵?)とマッチしていて
怖すぎです。
ゾクッとしました。
読後の怖い気分に
写真の女の人と目が合ったような気がしましたよ。
おばさん会社員 | 2016.05.15 10:12 | 編集
コメントありがとうございます
自分の占星術のお客さんはやや年配の女性の方が多く
実はコスメの話なんかはたいへん参考になるのです
今後ともよろしくお願いします
bigbossman | 2016.05.15 19:15 | 編集
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