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植物の怪談

2016.05.08 (Sun)
『雄しべが赤い手のような形をしたデビルズハンドトゥリー(悪魔の手の木)が、
滋賀県草津市下物町の水生植物公園みずの森で開花し、
赤い奇抜な花が来園者をひきつけている。南メキシコやグアテマラ原産の常緑樹。
日本の植物園ではほとんど栽培事例がないという。
みずの森には2011年に愛好家から寄贈された。
ビニールハウス内で温度管理を工夫しながら、14年に初めて開花させた。』

(京都新聞)


今日はこの話題ですが、自分は植物は詳しくないので、どうなりますか。
話がまとまらないまま、あちこちに飛ぶんじゃないかと思います。
日本の怪談に、あまり植物系のものは多くない気がしますが、
祟る木というのはありますね。この木を伐ろうとすると人夫が怪我したり
死んだりするので、じゃまになるけど残しておいた、みたいな話です。

斧を入れると、真っ赤な血のような樹液が吹き出したとか。
そういう逸話を持つ木は全国にあるようです。
大木になれば、その寿命は人間の何倍にもなりますし、
長年地域と結びついてきたものなので、
自然に畏敬の念が生まれて、そういう話ができるのかもしれません。

有名なのは、東京競馬場の第3コーナーの大ケヤキ(実際はエノキだそうです)
このあたりに来ると、馬が故障したり落馬事故が起きたりする。
しかしこれ、木の下に墓があるんですよね。井田是政という
戦国時代の北条家の家臣のもので、子孫の方が移転に大反対したため、
木とともに史跡として残されているらしいです。

ですからもし本当に祟りがあるとしても、木によるというより、
その墓関係のものなんじゃないかと思います。
「是政特別」というレースもあります。中央競馬会が祟りをおそれ、
井田是政の名を冠したレースをわざわざつくった・・・
噂ではそういうことになっていますね。

昔はどうだったか気になって『今昔物語』を見てみましたが、
やはり植物の話は少ないです。「尼さんと木こりが山の中で舞を舞う話」
というのがありますが、たんに毒キノコにあたっただけのことです。
「胡桃酒を飲んで溶けうせる話」これは寸白男(すばくおとこ)、
寸白というのは人間の寄生虫、回虫などのことですが、
その化身である男が人間に混じって普通に生活していたが、
ある場所で胡桃をすりおろした酒をふるまわれ、胡桃には虫下し作用があるので、
溶けて消えうせてしまったという話。でもこの場合、怪異は寸白男のほうです。

やや興味深いのは「蕪と交わって子どもができる話」ある男が旅の途中、
畑に大きな蕪がなっているのを見つけたが、それがまるで人の股のような形。
見ているとムラムラと性欲が起こり、その蕪に穴を開けて交わった。
その後、蕪を収穫した地元の娘がそれを食べると、
まったく身に覚えがないのに子どもを身ごもってしまった。
やがて様々な偶然が重なり、その男と女は夫婦になった、というような内容です。
これ、次に書く西洋の植物怪談と、どこか関連があるような気もします。

西洋で植物怪談と言えば、『ハリー・ポッター』にも出てきた
「マンドレイク(マンドラゴラ)」が有名ですね。実際にあるナス科の植物で、
強い毒性があり、麻酔薬として使用されましたが、そのために死ぬ人もいたようです。
伝説の中のマンドレイクは、根が小人のような形をしていて、
引き抜かれるときに叫び声をあげ、それを聞いた人は死んでしまう。
これを抜く方法としては、犬を茎につないで遠くから呼びつけたり、
餌で釣ったりします。叫びを聞いた犬は死にますが、
マンドレイクは手に入り媚薬や不老不死薬の原料となります。

マンドレイクを抜く犬
ははかいいあそ

マンドレイクの亜種で「アルラウネ」というのもあります。『グリム童話』によれば、
盗賊の家系に生まれた者、妊婦なのに盗みをした女性から生まれた者、
実際には無実なのに拷問にかけられ、泥棒の自白をした者、
これらが縛り首にされたとき、彼らが童貞であって、
死に際に尿や精液を地にたらすと、そこからアルラウネが生えてくるとなっています。
抜く方法はマンドレイクと同じで犬が犠牲になります。
アルラウネの根は生きた小人で、質問をすると未来のことを教えてくれます。

錬金術士パラケルススがつくったとされる「ホムンクルス」
とも共通点がありますね。これは精液をガラス容器の中で培養してできる、
生まれながらにしてあらゆる知識を身につけた小人です。
昔の西洋医学では、精液の中には極小の人間が入っている、
と信じられていた面があった(これを前成説と言います)ので、
このような伝承ができたのかもしれません。

あと、上のアルラウネが生まれるための条件は極めて難しいですが、
魔術の原料となるものは、例えば、
「極悪人の血をなめた猫の舌」などのように、
まず普通の人が入手するのは不可能なものが多いんです。
簡単に集められるものだと、すぐインチキがバレてしまうからかもしれません。

さてさて、最後に、植物がテーマになった短編作品としては、
ナサニエル・ホーソーンの『ラパチーニの娘』が有名です。
毒草の研究家であるラパチーニ博士には一人娘ベアトリーチェがいましたが、
生まれたときから毒草を食事として与えられ、ついには、
そばを飛んだ蝶が、地面に落ちて死ぬほどの毒娘となってしまいました。
このベアトリーチェが恋をして・・・という悲しいお話。
しかしこれは、植物そのものの怪異とは違いますね。
ジョン・コリアの『みどりの想い』もよく知られています。
猫や人を食べる(というより同化してしまう)植物が出てきますが、
才人コリアが書いただけあって、なかなかの仕上がりです。

じゃかいsどあたた




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