FC2ブログ

空間の怪談

2016.05.23 (Mon)
今日は怪談論です。ネット小説だと「異世界」というのが流行ってるようですが、
異界、異世界、異空間、他世界、亜空間、異次元・・・いろんな言葉があって、
定義がはっきりしませんよね。ですので、本項ではいちおう
「空間」ということにしぼって書いていきたいと思いますが、
なかなかそうもいかないかもしれません。

空間に関する怖い話で、よくあるのが「本来あるはずのない空間に入る」
というものです。それと、建築の迷信的なこと、
日本だと4階、西洋だと13階が忌避されて設置されないというのを
組み合わせたホラー短編が思い浮かびます。
ウィリアム・テンの『13階』や、フランク・グルーバーの『13階の女』が
有名です。ウィリアム・テンのほうは、いつもながらのとぼけた味わいでしたが、
グルーバーのほうは、ありえない内容を、なかなかシリアスに書いてました。
どちらの話も、最後は悲劇的な結末で終わります。

このどっちかを翻案したとされるのが、水木しげる先生の漫画『だるま』で、
塔のような建物のないはずの4階を、だるまに手足が生えたような妖怪?
たちが借りにきて、そんな階はないのに家賃が入ってくるので、
所有者は喜んで貸すものの、さまざまに奇妙なことが起こり始めて・・・
というお話でした。

あと、少し前、ネットでエレベーターの怖い話が広まりましたが、
これも空間に関連したもので、
『1.10階以上あるエレベーターに一人で乗る。
 2.エレベーターに乗ったまま、4階、2階、6階、2階、10階と移動する。
   この間に誰かが乗ってきたら失敗。
 3.10階にきたら、降りずに5階を押す。
 4.5階に着いたら若い女の人が乗ってくる。乗ってこなければ失敗。
 5.乗ってきたら、1階を押す。
 6.エレベーターはなぜか1階に降りず、10階に上がっていく。
   途中で降りるこれが最後のチャンス。
 7.10階に着いてしまったら、そこは別の世界。』


こんな内容だったと思います。かなり盛り上がって、
実際にやるところを実況するスレもできましたし、
youtubeにまだ動画もあると思います。この意味なく階を移動するところが、
呪術めいた手順でワクワク感があるんですね。
「ひとりかくれんぼ」というのもそうでしたが、
意味不明な面倒くさい方法ほど、何か起こりそうな気がするものです。

あとそうですね、ありがちなのは、
夜中に忘れ物を取りに教室へ行き、さて帰ろうと階段を降りるが、
いくら降りても1階に着かず、そのまま行方不明になってしまう。
3階建ての建物のはずが、なぜか4階に続く階段がある。
4階に行ってしまうと戻れなくなる。というような階段に関連した話。

これの元ネタというわけでもないんでしょうが、
マーガニスタ・ラスキというよくわからない作家の『塔』という話があります。
(わりと最近『ヴィクトリア朝の寝椅子』という本が出たようです。)
新婚旅行途中でふと見つけた、奇妙な形の塔に一人で入ると、
下に降りるはずの階段がいつまでも途切れないで続いていく・・・
たぶん地獄まで。悪魔主義をにおわせる描写がなかなか不気味でした。
単純なアイデアだと思うんですが、ホラー小説の場合は、
書き方の工夫で怖くすることができるんですね。

それから、隠し部屋的な話も空間の怪談に含まれるでしょうか。
『ジョジョの奇妙な冒険』Part6 ストーンオーシャンで、
ピアノやパソコンも備えた「幽霊部屋」というのが出てきてましたね。
幽霊がいる部屋ではなく、部屋そのものが幽霊。
だからどこにでも出現できます。このアイデアを借用して、
例えば、建物の間取り図にはないし建坪的にも不可能なのに、
なぜかときおり入ってしまう不思議な部屋、なんて話もできそうです。

こうして見てくると、空間の怪談の怖さは、
「実際の世界に戻れない恐怖」を描いているものが多いようです。
ちょっとした好奇心から、おかしいとは思いながらも踏み込んだ空間で、
もう元には戻れないかもしれないという主人公のあせり、
エレベーターの話もそうですが、途中でやめればよかったという後悔、
そんなのが主題となるようです。

さてさて、最後に、怪談とは直接関係はないのですが、
幾何学的な遊びとして「不可能図形」というのがあります。
これは目の錯覚を利用したものが多いのですが、
視覚によって3次元の投影図として解釈されるような2次元の図形、
というのが定義のようです。下に例をあげておきます。
ご存知とは思いますが、版画家のマウリッツ・エッシャーは、
このテーマでいくつも作品を描いていますね。
関連記事 『時空ものについて』

「ペンローズの三角形」と「ブリヴェット(悪魔のフォーク)」


マウリッツ・エッシャー『滝』






関連記事
スポンサーサイト




トラックバックURL
http://scoby.blog.fc2.com/tb.php/1132-47d97eb4
トラックバック
コメント
 水木御大、ジョジョ、エッシャーと大好物が並んでいたので飛びついてしまいました。うーん異空間・・・私がこの手の概念を学んだのは『うる星やつら』ですね。全然ホラーじゃないですがw 終盤の運命製造管理局とか好きでした。
| 2016.05.29 01:55 | 編集
コメントありがとうございます
異世界的な内容にすると話が広がりすぎてしまうので
いちおう「ないはずのところに空間がある」ということで
しぼってみました
エッシャーは自分は好きですが
けっこう好みがわかれますよね
bigbossman | 2016.05.29 02:19 | 編集
管理者にだけ表示を許可する