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お面の家

2016.06.12 (Sun)
これ、わたしが幼少期に住んでた家の話なんです。借家でしたね。
父は転勤族で、そのときは一軒家の、古いですが大きな家に住んでました。
確か1階が5部屋、中2階の洋間が一1部屋、2階に2部屋あったはずです。
住んでたのは、8歳から小学校を卒業するまでの4年間でしたね。
家は、父につてがあって知り合いから借りてたはずです。
家賃は大部分が会社持ちで。ああ、そうそう、そのときの家族構成は、
会社員の父と、ときどきパートに出ていた母。
それからわたしと妹です。妹とは2卵性の双生児で、
顔もあまり似てないし、仲も悪かったんですよね。
わたしが男だったぶん、叩いたり蹴ったりしたことも多かったですし、
今となっては、それは後悔しているんですよ。

わたしにとっては最初の転校でしたから、いろいろ戸惑いがありました。
小学校は遠かったですし、最初のうちは道もわからなくて。
でもね、妹といっしょに通ってましたので、同じクラスではなかったけど、
それは心強かったです。ただ、5年生くらいから、
朝は家を別々に出るようになってましたけど。でね、この家なんですけど、
2階の2間は、それぞれわたしと妹が自分の部屋として使ってて、
特におかしいこともなかったと思うんですが、
それ以外の部屋がねえ、何か違和感があったんですよ。
こんなことを話しても退屈だと思いますが、内容にかかわりがあることなんでね。
玄関を入ってすぐが引き戸のあるキッチン。その隣が居間。
居間にはキッチンからも玄関からも行けました。

居間から廊下に出て、父母の寝室、また短い廊下に出て客間。
客間は2間続きで、透かし彫りの欄間のある凝った作りでした。
でね、違和感というか、おかしなことがときおりあったんです。まあこれは、
子どもだったわたしの記憶違いというだけなのかもしれませんが。
・・・廊下から客間に入ったはずなのに、ふすまを開けると居間だったり、
客間の突きあたりは障子の外がサッシなのに、
なぜか中2階の洋間に出てたりするんです。これ今考えても非常に不思議で、
洋間のドアはノブのある洋風のだから、障子を開けて入るなんてことは
絶対にありえないはずなんです。それが、気がつくと応接セットの前に立ってる。
それとね、うまく言えないんですが、家の中にもう一部屋ある気がしてたんです。
イメージとしては和室。最初その家に入ったころ、

部屋の多さに驚いてたので、それが尾を引いてるのかもしれませんけども。
やはり客間のあたりですね。ふすまを隔てた2部屋なんですが、
そこらへんにもう一部屋あるような気がしてならなかったんです。
だから、両親ともいないときなんか、よく家中をぐるぐる歩きまわったりして。
でね、6年生の夏です。妹が病気になったんですよ。
それも長い病名の難病。母は病院につきっきりでした。
わたしも週末はたいがい見舞いに行きましたよ。
で、あるときの土曜日、学校から直接病院に向かったんです。
妹は重篤者用の個室で、具合はいいときも悪いときもありました。
ナースセンターには顔が知られてましたので、見舞いに来ました、
と挨拶をして病室に入りました。そしたら、妹は起きてて、

母と何か話してたんです。それで、妹の手に白いお面が握られてまして。
紙製だと思います。目と口の部分が穴になってて、
たぶん子どもが絵の具で自分の好きなように顔を描くものだと思いました。
でね、わたしが病室に入ってくと、妹はそれをぱっとタオルケットの下に隠しました。
でもね、隠すようなものじゃないですよね。それで、
「今の何?」って聞いたんです。そしたら、母もいっしょに見てたはずなのに、
「え、何のこと?」ってわからないふりをして。
「今のお面みたいなやつだよ。タオルケットの下に入れたでしょう」
そしたら妹が、「何もないけど。ほら」って胸の上をめくって見せまして。
確かにね、何もなかったですが、それはいくらでも隠せますでしょう。
ただのお面だし、どうしてそんあことするのかなあ、って不思議でした。

妹だけならともかく、母までもね。ま、その場はそれだけのことだったんですが、
その3日後に夢を見たんです。手前の客間に立ってました。
まわりが薄暮っていうか、家の中に白い霧が立ち込めてる感じで、
夕暮れか夜明けの雰囲気がしました。でね、そのときふすまの前に立って、
ここ開けると隠された部屋に出るんだ、って確信めいたものがあったんです。
そろそろと引き開けると、やはり見たことのない和室でした。
調度類は一切なし、床の間もない部屋で黄土色の壁。
でね、その一方の側にお面がかかっていたんです。
全部で4つ。父母の顔、わたしの顔、そして病院で見たと思った白いもの。
父母のもわたしのも、目と口は空洞になって、髪の生え際まででしたが、
誰を表しているかははっきりわかりました。

わたしは驚いて、しばらく眺めてたんですが、やはり自分のは気味悪かったです。
ちょうど顔の高さの白いのを両手でつかみましたら、
スッと外れたんです。短い釘に上部が引っかかってるだけでした。
そのまま何気なくかぶってみたんです。そしたらヒモもないのに顔に吸いつくように。
最初はなんともありませんでした。で、鏡で見てみたいと思ったんです。
洗面所に行って鏡を見ると、ただの白い面だったんですが、
ややあってどっと自分のではない考えが流れ込んできたんです。
「死にたくない、死にたくない、なんで私が、私だけが、死にたくない、
 死にたくない、生きたい、死ぬならお前が死ねばいいのに、助けて」
こんな感じでしたが、声になって聞こえたわけじゃありません。
波が岩にあたって砕けるように、頭の中にぶつかってきたんです。

思わずお面を外そうとしましたが、とれなかったんです。
わたしは頭を抱えたまま家の中を走りまわって親を探したんですが、
誰もおらず、手すりにるかまりながら階段を上り、
自分の部屋に入って机に突っ伏し・・・そこで、電話の音がかすかに
聞こえました。当時はまだ携帯が一般的ではなかったんです。
で、目が覚めました。顔をさわってもお面はなし。
ただね、わたしはパジャマのまま妹の部屋の机にいたんです。
眠った状態でそこまで歩いてきたとしか考えられないですよね。
わけがわからないまま廊下に出ると、父が駆け上がってきまして、
「病院に行くからすぐ服を着ろ」って言いました。妹の病状が急変したんです。
それからあっという間に、明け方に妹は亡くなってしまったんですよ。

その後は、夢を見ることも、家の中に違和感を感じることもなくなりました。
小学校を卒業すると同時に、父の転勤で別の県に移ることになりまして。
妹の死から約半年、一家全員が意気消沈してましたから、
気分を変えるのにはよかったのかもしれません。
引っ越しは業者に頼んだんですが、その前に預金関係とか大事なもの、
プライベートなものは家族で荷造りしたんです。
わたしの場合は中学生になるので、小学校時代のものはほとんど捨てて、
たいした荷物もなかったんです。それらを父の車の後部に積んでいるとき、
ダンボール箱の一つのフタが浮いて、一瞬中身が見えたんです。
白いお面だと思いました。父が「あっ!」と言って手でおさえ、バッグをその上に
載せました。「今のは?」って聞いたんですが、ずっと教えてもらえてないです。






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