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身近な呪具(箒)

2016.06.13 (Mon)
今日は怖い話のネタを考える時間がなかったので、やや民俗学的なお話。
われわれ日本人は島国に住んでいたため、基本的に、
外来文化がドカッと大量に流入してくることは、
明治維新までなかったと言ってもよいと思います。ですから、
身近な生活用品なんかも長い歴史を持ってるわけですね。

そういう中で、いろんないわれがくっついて、呪具としての役割を持つ
ようになったものもいろいろあります。
例えば「櫛」なんかがそうです。これは自分の 『神隠し』 という
話の中で少し触れています。

今回取り上げるのは箒(ほうき)です。昨今、室内で箒が使われることは
少なくなりました。これは電気掃除機の普及もありますし、
ハウスダストをまきあげるのが、アレルギーや喘息の原因になるからでしょう。
自分も、ちょっとした掃除のときは某社のモップを使ってます。

さて、箒の歴史は古く、古墳時代には小枝を束ねたホウキ状の物が
あったようですが、清掃用具として用いられていたかは不明です。
今でも「掃き清める」という語がありますが、
穢れる→祓う→清められる という神道的な考え方からきた
呪具であった可能性も示唆されています。

奈良時代の葬列には、箒持ち(ははきもち)と言って、
箒を持った人が加わっていたようです。酉の市の熊手なんかもそうですが、
やはり穢れを払う、掻き出すというところから来ています。
箒には「箒神」という神様が宿っていると考えられていたんですね。
下に載せたのは、石燕の「箒神」ですが、古い箒が妖怪化した
付喪神の一種と思われます。生垣の上にあるのは羽ボウキでしょうか。
本来の箒は自然の物だけでできているので、
古くなったら川に流したりするほうがいいのかもしれません。

鳥山石燕「箒神」


今やる人は少ないでしょうが、昔は菷を玄関などに逆さに立てかけると、
いつまでも居座る客を帰すことができるというまじないもありました。
マンガの『サザエさん』にも出てきてましたから、
けっこう最近まで行われていたのかもしれません。
これも客を「掃き出す」「追い払う」というところから来ているのでしょう。

前述した櫛とも関係があるのですが、では、髪を梳かしたりせず、
箒で家の中の掃除もしなかったらどうなるか。これは無精でやってるのではなく、
ある種の願掛けになります。前も一度紹介したんですが、『万葉集』の中に、
「櫛も見じ 屋内も掃かじ 草枕 旅行く君を 斎(いは)ふと思ひて 」
という歌があります。これは夫が遣唐使として航海する妻が詠んだものです。

当時の遣唐使船はたびたび難破して、鑑真和尚が盲目になったり、
阿倍仲麻呂が日本に帰ってくることができなかったり、
たいへん危険でした。そこで、妻は「櫛は使わない、家の中も掃かない、 
そうやって君の無事を祈る」という願掛けをしているんですね。
自分が穢れを払わないことにより、
他者の不運を引き受けるということなんでしょう。

箒に関した怖い話でよくあるのは、「誰もいないはずの座敷で、
ザッ、ザッと箒で掃く音がする」といったものです。
まあ、今は箒で掃く音自体が一般的ではないので、
あまり身近に感じませんし、この後、家族が不幸になったなどの展開がないと、
現代の怪談としては通用しないかもしれません。

さてさて、最後に中国の話。みなさんの地域の梅雨の状況はどうでしょうか。
昔の中国では、雨が晴れるのを願って「掃晴娘(サオチンニャン)」
の切り紙を飾っていたそうです。これは日本の「てるてる坊主」のような
晴天を祈るまじないということですね。

あるところに切り紙の上手な晴娘(チンニャン)という女の子がいたが、
あるとき大雨が降り続き、皆が困っていたところ、
天から「晴娘が身投げをしたら雨が止む」というお告げが下り、
晴娘がそうすると、そのとおり雨が止んだという言い伝えです。
一種の生贄の話と考えてもよいかもしれません。
ちなみに箒は、晴娘がいつも掃除してたというわけではなく、
切り紙の題材だったみたいですね。では、このへんで。
関連記事 『身近な呪具(櫛)』

『掃晴娘』





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