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廃校イベント

2016.06.14 (Tue)
今年の3月のことなんだけどね。20数年前に俺が卒業した小学校が、
学校の統廃合で廃校になったんよ。で、俺はもう県外に出てしばらくなるし、
小学校の同窓会報なんてないから、そのこと知らなかったわけ。
そしたら、地元に住んでる同級生から電話が来て、
「廃校イベントやるみたいだから、そこで会わないか?
 もし同期のやつとか、知り合いがいたら飲み会でもやらんか?」
って内容だった。その日は日曜で、夜の飲み会は無理だが、
イベントは参加できそうだったし、懐かしいんでOKしたんだよ。
でね、車で4時間かけて行ったわけ。
午前中は、在校生による閉校式だったけど、それは見てもしょうがないし、
時間的にも無理だった。昼になってPTAの有志が、

集まった人にグランドでとん汁ふるまったりしてるところに着いたんだ。
いや、やっぱ懐かしかったね。当時で学年2クラス、今は1クラスだけ。
校舎は木造で3階建ての1棟だけ。俺がいたころはそこそこ新しかったが、
もうすっかり木が黒ずんで、こりゃ廃校も無理ないって思ったよ。
車を出てうろうろしてたら、電話かけてきた昔の友人が、
もう一人の男性と一緒に、紙カップを持って「よう、よう」
言いながら近づいてきた。長い間会わなくても友人は人目でわかったが、
もう一人の顔が思い出せない。俺のそんな様子を見て取ったのか、
「おう、俺、高崎」ってその人から名字を言ってきた。
「あ!」その人は俺らの一個上の先輩で、かなりのいじめっ子だったのを
思い出したんだ。今は家を継いで、地元で建設会社を経営してるってことだった。

そう言われてみればスーツ着て、バリッとした格好だったな。
「お前も飲むか?」って聞かれ、紙コップの中は日本酒らしかった。
「車で来たから。それより他に知り合いとかいたか?」こう聞いたら、
「午前中はいたけど、女連中はほとんど昼で帰っちまったな」
まあ、俺の知ってるあたりは20代の後半から30代前半だから、
そんなもんだろうなと思った。で、この後校庭でバザーというか、
地元の特産の即売会なんかをやり、夕方から夜にかけてステージをつくって
のど自慢みたいなのをやるらしかった。そこまではつき合えないと思った。
2人も、「地元にいるやつらに連絡して飲みにいく」って言ってたし。
でな、せっかく来たんだからと思って、「学校の中、入れるのか?」
って聞いたら、「入れるよ。PTAの人の絵や手芸が展示してるけどな」

「お前らもう入った?」 「いや、まだ」ってことだったんで、
3人で入ってみたわけ。そしたらもう、昇降口から懐かしいのよな。
実際にその場に戻るってのはやっぱ違う。靴棚は新しくはなってたが、
間取りとかは同じで、ドーンと昔の記憶が押し寄せてくるんだよ。
それだけでも「来てよかったなあ」って思った。
1階は職員室と、音楽室とかの特別教室。保健室も開いてたので入ってみた。
まだベッドが残ってて、それに座ったら窓から見える景色も同じで、
膝を擦りむいて治療を受けてたことが思い出されてね。
で、2階が1~3年生。俺らのときはそうだったが、
児童数減で、ずっと教室があまってたみたいだった。
3階に上って、6年のときの教室に入ってみた。これが木の壁だから、

いたるところ、数十年分の落書きがあるのよ。落書きっても、
マジックとかじゃなく、ツメで引っ掻いたのがほとんどで、傷の上に傷がのって、
何を書いてるのかわからないものばっかだった。
あちこち見て回ったが、俺自身は落書きした記憶はないし、
俺の名前が書かれてることもなかった。さて、下に戻るかというとき、
廊下の突き当りのドアが開いてるのに気がついた。
それは鉄製のドアで、俺らの頃にはなかったものだ。
たぶん防火設備なんだろうと思ったが、その10cmばかり開いてる隙間が、
なんとなく気になったんだよ。「えー、あの向こうって何があるんだっけ」
「んー、階段なのは間違いない」 「じゃああっちから降りるか」
入ってみて、その階段には記憶があった。

廊下の両端が階段という、学校にはよくあるつくりだったんだよ。
けど、階段の向こうにまたドアがあったんだ。「あれー、こんなのあったっけ?」
「覚えてないけど、この戸は古いぞ」木の、横に引くタイプの戸で、
ガラス窓があったが、それは向こう側から黒い模造紙で塞がれてた。
「んー、用具室とかだったか」「あ、たしか、
 ここに清掃用具の予備が入ってるんだ」そう言われれば、
清掃委員のときに、モップの交換をしてもらったような気もした。
でな、その戸に大きく落書きがあったんだよ。それも、
「高崎○○ 死んでください」って。一つの字が直径5cmくらい。
高崎も気がついてて、「あーこれ、俺じゃねえか。・・・誰だこれ書いたの?
 昔から恨みを買ってたんだなあ」おどけた調子でそう言ったが、

字はよく見ると、古いものではないような気がした。
落書きのほとんどは色が変わってしまってたが、それは引っ掻いた面が白くて、
ついさっきやったようにも見えたんだ。その日のうちに、
何人も卒業生が見学に来てるんだろうが、それにしてもこれだと、
高崎が来るのがわかってて、見せつけるために書いたようにも思えた。
あと、子どもの字だったが、女が書いたようにも見えたんだ。
「ここ開くかな」高崎が取っ手に手をかけて横に引いた。
ギッギッと音がして、かなりしぶい様子だったが、
両手で引くと数cm隙間ができた。「暗いな」高崎が覗き込んでそう言ったが、
すぐ「うわーあああああーー」と叫び、俺らを残して、
転げるように階段を駆け下りていったんだよ。

「おい待てよ」 「どしたんだよ」
声はかけたが、あまりの勢いで後は追えなかった。
「なんだよ、中、どうなってるんだ」友人が隙間に手を入れてガガガと開けると、
中に人が立ってた・・・ように見えて一瞬ギョッとしたが、
それは人ではなく、戸を開けた正面に向くように、
机にモップが立てかけてあるものだった。窓は一ヶ所しかなく
それからあたった光の加減で、人のように見えたのだと思った。
「なんだ、おどかすなよ」「高崎社長はこれに驚いて逃げ出したのか?」
けど、そのモップには違和感があった。汚れた布の中に、
縮れた長い髪の毛らしきものがたくさんからまっていたんだよ。
「うわー、気持ちわる」 「もう行こうぜ」

下に降りて外に出ると、高崎がばつの悪い顔をして待ってた。
「どうして逃げたんだよ。モップが立ってるだけだったぞ」
「うん・・・いや、ちょっとな、昔の記憶がよみがえってきてな。
 モップに驚いたわけじゃない」こんな弁解をした。
もうバザーが始まってたんで、少しブラブラして、俺は特産のリンゴを買った。
それから、「また今度な、仕事ないときに泊まりがけでくるよ」
そう言って戻ってきたわけ。でな、翌日の朝、
その友人から出がけに連絡があって、内容を聞いて驚いた。
高崎が死んだっていうんだ。かなり遅くまで数人で飲んで解散し、
高崎は代行で帰ったはずなのに、夜中に自分の車で家の近くの電柱に突っ込んだ
ってことだった。いったん家に戻って、どうしてそんなことになったかは不明だ。






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