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クワガタ

2016.06.15 (Wed)
これねえ、いろいろと変な話なんですよ。嘘だと思われるかもしれません。
謎の外国人も出てきますしねえ。ま、できるだけ
わかりやすいよう話していきますんで。去年のお盆前ですね。
夏休み中の小3の坊主を連れて虫捕りに行ったんです。
場所は山梨県で、無料のオートキャンプ場に一泊しました。
はい、車中泊です。ほら、カブトムシは昼も見つかりますけど、
クワガタ類って夜じゃなきゃ出てこないじゃないですか。
それに日中は熱中症の心配もあるから、活動は夕方から9時くらい、
あと翌日の早朝って計画を立ててました。
で、私の車はアルファードで、坊主と2人で寝るには十分過ぎる広さで。
3時前にはその山裾のキャンプ場に着きました。

お盆前だったためか、ガラッガラで私らの車しかなかったんです。
まあ、キャンプ場自体が常駐の管理人もおらず、
草ボウボウで放置されてる状態のせいもあったでしょう。
設備もトイレと水飲み場があるくらいで、屋外のかまどなんかは
使える状態じゃなかったですね。でもね、私ら親子は虫捕りがメインで、
バーベキューなんてやるつもりなかったですから。
それでね、そのキャンプ場のある山のこと、何で知ったかっていうと、
仕事の取引先の人から前の年に聞いてたんです。穴場だ!って。
大きなクワガタが、デパートに卸すほど捕れたってことでした。
でもね、その人というかその一家は、今、行方不明になってるんです。
事情はわかんないですけど、建てたばっかりの家を残して、

ある夜、一家で忽然と消えちゃった。うーん、家のローンは
残ってたでしょうけど、収入の安定した職場だったんですよ、その人。
そんなわけで、まだギンギンに明るかったんですが、
息子と準備した物や捕虫網を持って、説明されてた登山路から山に入りました。
そしたらね、カブトムシはあっちこっちですぐ見つかって、
息子は大喜びでしたよ。でね、捕りきれないから、若くてつやつやしたオスだけ
選んで虫カゴに入れまして。クワガタは小さいのしかいなかったので、
用意してきた、バナナに蜂蜜混ぜてペーストにしたやつを木に塗りつけて、
夜と翌朝に見にくることにしました。でねえ、その知り合いの人が言うには、
登山路を20分ばかり上ったところの道脇に白っぽい倒木があって、
そこでたくさん捕れたってことだったんで、探してみました。

ええ、確かにそれらしいのはありましたけど、倒木というより、何かの柱が
横倒しになってるように思えました。長さ3m、直径50cmもある白木に、
薄っすらと模様が彫ってあるように見えたんです。で、その上にペーストを塗り、
その他、手の届きそうな立木にも数か所仕掛けをし、車に戻ったんです。
そしたらバイクの人がいたんですが、これが外国人だったんです。
バイクはたぶんスーパーカブなんでしょうが、原型がわからないほど改造されて、
山のように荷物が積まれてました。で、その脇でコーヒー沸かしてたのが、
黒い長髪をべったり頭にはりつかせた、色の浅黒い人で、
年齢のわかりにくい顔つきをしてましたね。ちょっと警戒しましたが、
外国人はこっち見てニカーッと笑い、流暢な日本語で、
「こんにちは、虫捕りですか?どうです、コーヒー飲みませんか」って言ったんです。

「ああ、それはどうも」って答え、それからあれこれ話したんですが、
彼はインディアンの血を引くアメリカ人で、日本仏教、禅の研究のために来日して
4年目。今は夏休みなので、バイクで東日本一周をやってるってことでした。
笑うと目尻にシワが何本もできる人懐っこい顔つきで、日本語はペラペラ。
仏教の知識も深くて、怪しい人には思えませんでしたね。
ただ、いただいたコーヒーはやや薄かったですけども。
私らの虫捕りの話もしまして、ワナを仕掛けたって言ったら、
「それは楽しみ、大漁だといいですね」って。テントを積んでたんで、
「ここに泊まるんですか?」って聞いたら、「そのつもりだったけど、ここ、
 蚊が多くてダメみたい。国道の道の駅の近くにするよ」って言って、
コーヒーセットを片づけると、山を下ってったんです。

確かにすごく藪蚊が多くて、私らは長袖長ズボンでしたけど、ジーパンの上から
あちこち食われちゃってましたね。車に入ってエアコン全開にしました。
キャンピング仕様ではないけど、車中泊のためにサブバッテリー積んでたんです。
女房の作った弁当食べて、映画を見たりしてると8時半ころになったんで、
ヘッドランプと懐中電灯の重装備で、さっきペーストを仕掛けた場所まで上りました。
坂程度の山道でしたが、真っ暗で足元は危なかったです。
最初の立木のとこはカナブンや蛾しかいなくて、こりゃダメかと思ってたら、
あの柱みたいなのの上に、もこっと盛り上がるように甲虫が集まってたんです。
坊主が「すごい、すごい、クワガタばっか。図鑑でも見たことがないな」
興奮してました。確かに、頭についてるノコギリと足が細長く、
珍しい種類に思えました。「これ、虫カゴに入りきらない」

「最初に捕ったカブトを逃がしてやればいい」こんな感じで、
ホクホクして車に戻ったんです。その頃にはかなり気温も下がってまして、
車の窓に網戸をつけ、シートを平らにして、坊主と並んで10時前には寝たんです。
それからどれくらいたったか、パン、パンという音で目が覚めました。
拍手・・・かしわ手を打つような音でした。車の中で聞こえてるように思えたので、
ルームランプをつけました。そしたら、最初は特に変わりないように見えたんですが、
リアウインドウに動くものがあって・・・捕ってきたクワガタが逃げ出して、
窓いっぱいに たかってたんですね。坊主を起こさないように、
シートの上を這って近づくと、パンという音がしてクワガタの一匹が弾けました。
爆発したようになったってことです。「え!」 パン、パンと、
クワガタが飛び散るたび、青臭い臭いが強くなったんですよ。

「・・・お父さん、どしたの・・・」坊主が起きだしたようでした。
パン、パン、パン・・・クワガタは弾け続け、吐き気がしてきたんです。
そのとき、「これ、ダメだよお。何かの呪いかかってる」車の外から声が聞こえ、
私は手動で運転席の横のドアを開けました。さっきの外国人が立ってたんです。
エンジンがかかったままのバイクも近くに見えました。
「ちょっと胸騒ぎしたから来てみました。息子さんを外に出しましょ」
それで私が、わけわからずにいる息子を抱きかかえて外に出ると、
かわりに彼が車に乗り込み、リアウインドウに近づいて、
まだたくさん群がっているクワガタに片手のこぶしを近づけたんです。
そしたら、パパパパパパパパパと一気にクワガタが破裂し、
そのあたりに青っぽい煙が漂って見えたんです。

「これでたぶん大丈夫だと思うけど」そう言って彼が出てきました。
「あのクワガタ、何です?」 「わかりませんが、とても悪いものです」
「今、何をしました?」 「これ、使いました」
彼はそう言って、右手を目の前に突き出しまして、中指に青い石の入った
大きな指輪がしてあったんです。「・・・何ですか?」
「インディアンのパワー・ストーンです。まさか日本で使うと思わなかったけど、
 やっぱり頼りになります。後ろの窓開けて下さい」私がそうすると、
彼は後ろに回って、クワガタの残骸を下に落とし、半開きの虫カゴを取って、
草むらの闇の中に放り捨てました。そして、「車はたぶんOKだけど、
 ここ離れて、今からでも街に行ってホテルに泊まったほうがいいよ」
こんな風に言ったんですよ。ね、わけがわからない話でしょう。






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