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We apologize.下

2016.06.17 (Fri)
その玄関のところに社長初め、重役人が何人かすでに集合していました。
それから30分くらい待って、会社の幹部が全員集合し、
一人も欠けた人はいなかったです。社員でない人というのは、
夏なのに黒い紋付きを着た、宗教家のような雰囲気の70代に見える老人。
それとその配下らしい若い男が数名。その人らが普段建物を管理してるようでした。
あと部長以上ではない社員が一人。これはアメリカ人女性で、社長の秘書です。
まだ20代前半だと思います。その社長に代替わりしてからアメリカから来たんです。
社長の愛人? いや、ちがうと思います。社内の噂では、
社長の兄でアメリカ在住の人の娘さんってことでした。社長からすれば
姪にあたるってこと。いや、明るい人で、英語はもちろん日本語もペラペラ。
何度も話したことがありますが、仕事はよくできましたよ。

でね、紋付き老人の配下が鍵を開け、その全員で建物の中に入っていったわけです。
中は暗かったです。窓がほとんどないし、あってもサッシが何重にもなってる上に、
縦横の鉄格子がはまってました。まず小ホールのような場所があり、両側にドア。
そこで着替えるように言われました。中はロッカールームで、
そこで白い修行着?のようなものに全員が着替えたんです。
よっぽど他のメンバーに質問したかったんですが、誰も一言もしゃべらないんで
黙ってました。その中ではわたしが一番下っ端ですから。
それから社長の指示で、だいたい役職順に3列をつくり、やはり紋付き老人を先頭に、
防火扉からさらに奥に入っていったんです。中は・・・むき出しの土でした。
一段低くなってたので、床に土を盛ったんじゃなく、本物の地面だと思います。
あちこちから木の根が出てました。雑草がほとんどなかったのは、

手入れしてるというより、暗いせいかと思います。でね、その地面の中央に、
小ぶりの窓のない建物・・・というかトーチカのようなのがあったんです。
かなりの大きさでしたよ。中は大広間くらいあったでしょう。
あとね、わたしは仕事柄で金属関係には詳しかったんですが、
トーチカは鉛が表面に張られていると思いました。・・・コンクリと鉛って、
まるで放射能でもあるみたいですよね。隊列はしずしずとそこに向かって進んでいき、
やはり重そうな鉄扉を、これは社長が鍵を出して開きました。
それで照明をつけると、その中も下はやっぱり土だったんです。
ですが、中央に四角い大きな穴が空いてました。20m✕30mほどの長方形。
その周囲が幅2mの通路になってて、穴側は腰ほどの手すり。
やはり社長の指示で、3列になってたわたしらは分かれて、

穴の周囲をぐるっと取りまいたんです。穴の中は・・・かなり深く、
四方は5mほどの切り立った土の壁、重機で掘ったもののようでした。
その下には、かすかな照明で飛行機の残骸のようなものが見えたんです。
これ、後で調べたんですが、太平洋戦争時の米軍の爆撃機でしたね。
それがすっかり錆び朽ちて鎮座してたんですよ。
わたしの隣にいた人事部長が、低い声で「私と同じようにやって」
とささやいてきました。紋付き老人が穴の向こう側中央に立ち、
これ、意表をつかれたんですが、流暢な英語で何か唱え始めました。
いや、家語はほとんどわかりませんが、沈痛な感じの節がついた言葉だったですね。
それが終わると、社長が大声で「土下座!」と言い、
われわれ全員が穴の回りに這いつくばって「申しわけございません。

 申しわけございませんでした」って何度も何度も頭を下げて・・・
もちろんわたしもやりましたよ。やるしかないじゃないですか。
そのまま10分ほども誤り続けていたでしょうか。やがて社長が立ち上がり、
皆も遅れて立ちました。社長が何か言い出そうとしたとき、
あの、さっき話した秘書が、急に動いて社長の背中を押し、
手すりに腹を乗り上げさせた社長の両足をつかんで穴の中に落としたんです!
そのときに英語で何か叫んでましたが、
「フィニッシュ」という単語だけ聞き取れました。
そのとたん、轟音といえる大きさでサイレンが鳴り始めて、
紋付き老人が「みな、逃げろ、逃げろ」って大声を出したんです。
パニックになりかけましたが、一列でしか進めない場所ですし、

なんとか全員がトーチカ状の施設から出ました。外では紋付き老人の配下の男たちが、
泡を食った顔つきで取り囲んでて、老人が素早く指示を出し、
わたしらはその建物外に出て、さらに鉄柵の外まで小走りに避難したんです。
みな中年ですから、息を切らしながらね。その後、建物から離れた場所にいると、
バスが来て全員を回収してくれたんです。他の重役幹部たちの顔は青ざめてました。
中には頭を抱えて泣いている人もいたんです。けど、やはりわたしには説明はなし。
社長はどうなったかって? ・・・穴に落ちたとき見ていました。
社長は頭を打って動かなくなり、すると爆撃機の残骸の中から出てきたものがあり、
50cmほどの、足の長いカニかクモみたいに見えました。
それが5~6匹、社長の体にたかりついて・・・そこまでです。
それ以後、社長は人前に姿を現していません。あの秘書もです。

社長は急な海外出張に行き、現地で行方不明になったってことになりました。
会社の業務は翌日から再開されましたが、誰も「謝恩の会」の顛末について
触れる人はいませんでした。それからですね、6ヶ月のうちに、
あのときのメンバーがバタバタと死に始めたんです。
その全員が病死・・・どっかの癌だったんです。でもね、そんな全員が全員、
末期癌なのを知らずにいたってことはないですよね。
会社の健康診断だって毎年あるわけだし。それでわたしは、
辞める決心をしたんです。だってねえ、どんな秘密があるのか知らないけど、
あんな危険を社員にかぶせるなんてありえないでしょう。一言の説明もないのも、
納得できないし。ええ、それから毎月のように健康診断は受けてます。
今のところまだ、なんともないですけども。
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