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濡女と雨女

2016.06.18 (Sat)
今日は時間がなく、妖怪談義とさせていただきます。
自分のほうは今年の梅雨はけっこう雨が降ってますが、
みなさんのところはいかがでしょうか。  
下の絵は、どちらも鳥山石燕で、左が『画図百鬼夜行』から「濡女」、
右が『今昔百鬼拾遺』より「雨女」。どちらも女性の顔が右を向いていて、
wetな意味合いを持つ妖怪という点は共通しているものの、
それ以外はかなり対照的です。

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一番大きな違いは、濡女の伝承は各地にあるのに、
雨女については、伝わっている話がほとんどないことですね。
それから、濡女は蛇身で、人をとって食うという怖い存在であるのに対し、
雨女のほうは、詞書に書かれている内容が、
男女の情交を表す色っぽいものであるということです。

濡女は磯辺、海岸に棲む妖怪で、顔以外は蛇身です。
その尾の長さは300m以上あるという話もあり、見つかった場合は
まず逃げられないようです。また、濡女は牛鬼という妖怪とセットで語られる
場合もあります。波打ち際に上半身をだけ海から出した女が立っていて、
しかも赤子を抱いている。奇異に思って近づくと、
赤子を抱いてくれるように頼まれる。承知すると女は去り、
やがて海の中から牛鬼が現れる。驚いて逃げようとするが、
赤子が石のように重くなり、しかも抱きついて離れない。
どうしようもないでいるうちに、その人は牛鬼に食われてしまう。

なかなか面白い伝承ですね。共生関係の生物のように、
2体の妖怪が協力して獲物を捕らえるわけです。それとも、
見た目はまったく違いますが、濡女と牛鬼は同じ妖怪の雌雄なんでしょうかね。
あるいは鬼太郎の砂かけ婆と子泣き爺のような茶飲み友だち?
ただ、出現する場所は海辺に限定されるようですので、
この妖怪に遭いたくなかったら海に近づかなければいいわけで。

それと、「イクチ」という海蛇状の妖怪との関連も指摘されています。
イクチは、船を見つけると接近し、船をまたいで通過してゆくが、
体長が数キロメートルにも及ぶため、通過するのに12刻(約3時間)もかかる。
体表からは粘着質の油が染み出しており、船をまたぐ際に、
この油を大量に船上にこぼして行くので、
船乗りはこれをくみ取らないと船が沈没してしまう、というものです。
長さはイクチより短いですが、濡女もこの一種なのかもしれません。

雨女は、現代では雨男とともに、ある行事に参加すると高確率で雨が降る人、
というような意味で使われていますね。まあ迷信の一種でしょう。
『呪怨』シリーズの清水崇監督が、このモチーフで『雨女』という映画を
つくっています。石燕の絵にある詞書は、
「もろこし巫山の神女は、朝には雲となり、夕には雨となるとかや。
雨女もかかる類のものなりや」
となっていて、
これは中国の故事からとられたものです。

楚の懐王(屈原とのからみで有名な前4世紀頃の人)が、
巫山(ふざん 四川・湖北両省の境にある名山)に遊行したおり、
夢に神女が出てきて情を交わした。神女が立ち去ろうとするとき、
懐王が別れがたく思って袖を引くと、神女は「ここはいったん別れますが、
朝は雲に、日暮れには雨となり、朝な夕なあなたのそばにおります」
と言ったという、中国の古詩にあるエピソードです。
巫山の神女は、天帝の娘であったのが未婚のまま亡くなり、
巫山に葬られたということのようです。

この話を元に「朝雲暮雨 ちょううんぼう」という故事成語ができたそうですが、
みなさん、これご存知でしたか。自分はさっき初めて知りました。
あんまり使われることはないですよね。意味は、
「男女が愛し合い、片時も離れていられないほどの深い仲であることのたとえ。
男女の情交のこともいう」とコトバンクに出ていました。
特に怖いところのない話で、雨女は、石燕が吉原の遊女を皮肉って創作した
ものではないかという説がありますね。

あと、関係ないかもしれませんが、「ふざける」という言葉があり、
漢字で書くと「巫山戯る」です。この巫山は上の話にあるのと同じ山のようです。
ふざける には、「子供などがたわむれて騒ぐ」という意味の他に、
「男女がたわむれる、いちゃつく」というのもあるようですし、
よくはわかりませんが、何か関連しているのかもしれません。

さてさて、最後に自分は「濡女」という話を書いていて、
わりと気に入ったものの一つです。よろしければご一読を。  関連記事 『濡女』

重慶 巫山 神女峰






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