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胸像マネキンの話

2016.07.04 (Mon)
みなさん、人形の怪異って信じますでしょうか?
私は大変怖い目にあいまして、その顛末をこれからお話するんですけど、
もともと命を持ってない作りものの人形が、
何か生きた人間に影響を与えたりすることってないと思うんです。
ああ、それは人形を可愛いがるなどとは別の話ですよ。
そうじゃなく、動き出したりしゃべったりするようなことです。
もし、そういうことがあったとしたら、それは人形にそうさせている
生きた人間がいるんじゃないかと思います。
すみません、前置きが長くなってしまって。私はあるデパートで、
貴金属売り場のマネージャーをしているんです。
商品はジュエリーがほとんどですが、金銀製品も扱います。

仕事は、仕入れはしませんが売り場担当マネジャーとして、
売上の数字や販売スタッフ、商品などの管理に携っています。
スタッフはセールスが4人と経理事務が2人、全員女性です。
それで、売り場には全身マネキンというのは少ないんです。
そのかわり、胸像マネキンは十数体あります。
ほら、胸から上だけ、あるいはそれに腕がついているもの。
それにネックレスや指輪をつけさせ、ショーケースの後ろなどに
展示するんです。これらのマネキンの多くは、顔の造作はあるものの
目は入っていません。貴金属は近くから見るものですので、
瞳が開いていると、いくら精巧にできていても不気味な感じがするんです。
ああ、すみません。また余談になってしまいました。

先週の日曜のことです。私のシフトは月・火が休みで水から日までの5日間。
売り場は8時なんですが、その日は残って売上の集計などを見ていたんです。
前年同月比などの統計を出すためですが、ソフトに打ち込むだけ。
うちのデパートでは残業は少ないんです。
いつもその手の仕事は開店前にやるんですが、2日の休みに入るので。
貴金属売り場のスタッフはみな帰ってましたけど、
他の売り場には何人も人が残ってました。パソコンを閉めて、
さあ私も帰ろうとなったとき、ブーンという、
何かが振動するような音が聞こえました。売り場の中でです。
機械類の電源が落ちていないものがあるか最終確認をしたんですが、
そういうものはなかったです。そのうちに音は止みましたので、

バッグを持って立ち上がったとき、「ふふふっ」という
含み笑いのような声が聞こえました。すぐ近くで。
女の声だと思いました。でも、人がいるはずはないし・・・そこでまた、
「ふふふっ」こう言いますと、可愛い声と思うかもしれませんが、
そうじゃなく、なんとなくイヤーな感じのする笑いでした。
しかたなくもう一度見まわったんですが、当然人はおらず、
どこか他の売り場の声が天井などを伝わって聞こえてきたのかと
考えるしかなかったです。もう本当に帰ろうと想ったとき、
すぐ前で「ふふふっ、ハハハハハ」って。でも、目の前には
胸像マネキンが2体並んでるだけでした。
一体は帽子をかぶり純金のネックレスをつけたもの。

もう一体はサングラスに指輪。このとき初めて怖くなりました。
マネキンが笑った?! もちろん2体のマネキンは動かして調べました。
でも声なんか出すはずはないんです。1・2分待ってみました。
もしまた聞こえるようだったら、フロアマネージャーに話しに行こうと考えた
んですが、もうそれ以上は聞こえることはなかったんです。
翌週の水曜日ですね。その日は午後から、
上得意の奥様が来店されていたんです。
季節に数回いらっしゃって、一点数十万の商品をいくつもお買い求めになられる。
ですから、私も売り場に出てお相手をしていました。パールのネックレスを
お薦めしていたときです。奥様が「うっ!」とおっしゃって
胸を押さえられました。「どうなさいましたか」声をかけたのですが、奥様は、

「あれ、あの顔、あの顔は」絞りだすような声で私の背後を指さされたんです。
「え?」振り向くと、奥の棚の上に2体のマネキンがあって、
それは前に笑い声が聞こえたと思ったものでした。奥様は、
「こんなところまで出てきて!」悲鳴のような声をあげながら、
ショーケースの間を入っていって、1体のマネキンの帽子を取ったんでです。
そのとき、私にはマネキンに顔があるように見えました。年配の女性の、
憤怒の形相というんですか、怒りが噴き出しているような顔です。
奥様はそのマネキンを両手で持ち上げようとしましたが、
そのまま前のめりに倒れてしまったんです。駆け寄って抱き起こしましたが、
口から泡をふいておられて・・・救急車で搬送されたものの、
そのままお亡くなりになったということでした。

その騒ぎの中で、横倒しになったマネキンの顔を見たんですが、
なんでもない、目を閉じた白い無表情に戻っていました。
私が見たと思ったのは幻覚だったんだろうか。でも、奥様もこのマネキンを
両手でわしづかみにして何か言おうとしてた・・・わけがわかりませんでした。
スタッフの手を借りてマネキンを起こし散らばったものを元に戻しまして、
平常業務に戻ったんですけど、私は混乱してしまって、
奥の事務室に入ってしばらく頭を抱えていたんです。
その日の終業のときです。「お先いたします」と言ってスタッフが帰り始め、
事務の子の一人が大きな紙袋を持って、エレベーターに向かって行きました。
「あれ、何? あの重そうなものは?」疑問に思い、
反射的に昼の騒ぎのときのマネキンを見ましたら、なかったんです。

それで、迷ったんですがその子を更衣室まで追いかけていきました。
それで入り口前でつかまえたんです。「ちょっとその紙袋」
私がそうささやくと観念したような顔になったので、そのまま袖を引っぱって、
その階の空いている部屋に連れていったんです。
「訳を話してくれるよね」そう言いましたら、その子は黙って
紙袋の中からあの胸像を取り出しました。
そしてうつ伏せの形でテーブルに載せると、バッグからピンを出して、
胸像の背中の部分をこじりました。そしたらパカっと開いたんです。
継ぎ目がわからないようフタがされてたんですね。
中はかなり広く空洞になっていて、髪の毛の束が見えました。

亡くなった上得意の奥様と同じ髪の色でした。
「これ、ヘアーサロンの知り合いからもらったんです・・・
 呪いに使うために」その子はそういいながら、胸像の奥をさぐって
一枚の写真を取り出しました。奥様とは別の人が映っていて、
同年輩くらいの地味な感じの女性でした。マネキンに浮き出た顔と
似ている気がしました。その子は「母です」と言い。それから、
奥様を恨むようになった経緯を聞いたんですが、申し訳ありませんが、
それはここではお話しないことにさせていただきます。
その子の話したことが本当なら、十分に同情に値する内容でした。
ただ・・・今後、私はマネージャーとしてどうしたらいいのか。
こちらのみなさんにアドバイスをいただきたいと思いまして。







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