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桑名屋徳蔵の表と裏

2017.09.13 (Wed)
皆さんお久しぶりです。ちょっとだけ復活します。久々ですので、
今回は引用の多い軽い話題で。ます表題にある桑名屋徳蔵という人物ですが、
これは江戸時代の大阪に住んでいた北回り船の船頭の頭ということです。
日本各地に伝承があるのですが、実在の人物だったかどうかは確証が取れてはいません。
この徳蔵の逸話として最も有名なのは、海上で大入道と戦ったときのものです。
ただしこの話、表と裏があって、裏の話はなかなか怖いんですよ。

ではまず、表のほうはこんんな内容です。
桑名屋徳蔵は名だたる船乗りで、あちこちの難海をものともせず航海した男だ。
その徳蔵が言うことには、「月末の日に船を出すのは、ひかえたほうがいい」と。わけはこうだ。
ある月末の日、徳蔵がただ一人で海上を行くと、にわかに風向きが変わり逆波が立ち騒いだ。
黒雲が覆いかかって船を中空に巻き上げるようで、並の人なら魂も消え入るところだが、
したたか者の徳蔵はちっとも動ぜず、じっとうずくまってってこらえていた。
やがて目の前に、常人の倍ほどの背丈の大入道が、
血走った巨大な両眼をぎらつかせながら現れた。「どうだ。わしが恐いか」
と妖怪が言うので、徳蔵は、「世渡りのほかに、これといって恐いものはない」と返した。
すると大入道はたちまち消え失せ、波風も静かって、徳蔵は危ない命を助かったという。


もともと月末の晦日には船を出してはいけないという船頭仲間の験かつぎがあったようです。
ところが豪胆な徳像は、出てきた大入道に対して、
「世間の荒波を渡るほうがお前よりずっと怖い」そう言って追い返してしまったんですね。
また、この徳蔵の妻も賢妻として知られていて、動かないと思われていた北極星(ポラリス)が、
少しではあるが動くことを発見したことになっています。
北極星は船頭が海上で方角を知るための重要な手がかりでした。
Wikiにはこういう話が載っています。

江戸時代大坂に、日本海の北回り航路で交易をしていた桑名屋徳蔵という北前船の親方がいた。
ある夜留守を預かる徳蔵の妻は、機織りをしながら時々夫を思っては、
北の窓から北極星を見ていた。すると北極星が窓の格子に隠れる時があり、
彼女は北極星は動くのではないかと疑いを持った。
そこで次に彼女は眠らないように水をはったたらいの中にすわって一晩中北極星を観察して、
間違いなく動くことを確かめた。帰ってきた徳蔵に彼女はこのことを告げ、
この事実は船乗りたちの間に広まっていった。


まあここまでは、怖いというような内容ではないのですが、
話の裏バージョンが伝わっていまして、シチュエーションは先の話と似ていますが、
こちらの徳蔵は江戸深川の人。これがかなり怖ろしいのです。

大晦日の夜は船を出してはいけない決まりだったが、
どうしてもと頼まれた徳蔵は、心配した女房がとめるのも聞かず船に荷を積んで漕ぎ出した。
すると海の中から大きな山がぬーっとせり上がってきて、徳蔵がかまわず突っ込んでいくと、
中から海坊主が現れた。この海坊主は真っ赤な頭をしていて目も鼻も口もない。
胴体もやはり真っ赤な血の袋を突っ立てたような姿をしている。
徳蔵が棹の先で海坊主の頭を一撃すると、海坊主はケタケタと笑いながら崩れ落ち、
しかしそれと同時にたくさんの血の袋が海からニョキニョキと立ち上がり、
ケタケタと笑う。殴っても殴ってもきりがない。

こうして徳蔵が悪戦苦闘している同時刻、留守宅を守っていた徳蔵の妻が、
急に腹痛を起こして苦しみ始めた。家人が困っていると、表の通りで按摩の笛の音が聞こえた。
家人が呼んでくると、按摩は髭そり跡の青々としたいい男。
たくさんの鍼を並べて女房の体を刺すと、血がビュッと吹き出て天井の梁まで上がり、
そこで血の袋の姿をした海坊主になってケタケタと笑った。次々と鍼は打たれ、
血しぶきが飛んで天井の梁の上はケタケタ笑う海坊主でいっぱいになった。
やがて按摩は静かに出ていった。

一方なんとか仕事を終えた徳蔵が、女房の安心した顔を思い浮かべて、
意気揚々と家に帰ってきて見たものは、
全身の血を失って白蝋のような色になった女房の死体だった。

『東京妖怪地図』荒俣宏監修より要約

どうです、なかなか怖い話でしょう。特にニョキニョキ、ケタケタという擬音が効果的です。
海坊主のほうは妖怪だったとしても、徳蔵宅を訪れた按摩はいったい何者だったのでしょう。
わからないことだらけで不条理感があります。海坊主は海入道とも言われ、
海坊主を目撃してから、天候が荒れ始める、船が沈むといった怪異が訪れることが多いようです。
正体としては、アシカやマンボウなどの海の生物の他、
入道雲や大波など自然現象などが挙げられています。

桑名屋徳蔵と海坊主






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