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猫の怪談

2017.10.15 (Sun)


猫の怪談というのも、一つのジャンルを形成できるほど多いですね。
これが犬だとそうはいきません。犬はひたすら飼い主に忠実な場合が多いですし、
それに対して猫は気まぐれで、ときおりふっと野生の表情をかいま見せたり
するからでしょうか。ちなみに、犬の骨は縄文時代から確認できますが、
猫のほうはもっと後代にならないと出てきません。
そういえば『枕草子』には、宮廷で飼われていた犬と猫の話が載ってますね。

さて、猫の怪談といえば、日本では『鍋島猫騒動』が有名です。
肥前国佐賀藩の2代藩主・鍋島光茂の時代。光茂の碁の相手を務めていた
臣下の龍造寺又七郎が、光茂の機嫌を損ねたために斬殺され、
又七郎の母も飼っていたネコに悲しみの胸中を語って自害。
母の血を嘗めたネコが化け猫となり、城内に入り込んで。
毎晩のように光茂を苦しめるが、光茂の忠臣、小森半佐衛門がネコを退治した。

Wikiにはこんなふうに出ていて、話ができた背景には、
鍋島家と竜造寺家の実際の確執があったようです。

これを元にして昭和の時代、化け猫映画がたくさん作られました。
化け猫女優といえば、入江たか子さんが有名ですが、
猫のまねをして口のまわりを何度も舌でペロッとなめる演技をしたところ、
当時のベンガラに含まれていた鉛で急性中毒を起こして、
撮影中に倒れ、死にかけたというエピソードが残っています。

あと、猫は年を経ると猫又という妖怪になると言われます。
この「又」の部分は、しっぽが二又(ふたまた)に分かれるからというのの他、
いろんな説があるようです。鳥山石燕も、手ぬぐいを頭にかぶって、
立ち上がって踊る猫又の姿を描いていてます。(下図)

さて、西洋だとポーの『黒猫』が有名ですね。黒猫を虐待した男は、
まず猫の片目をつぶし、さらに首に縄をかけて吊るしてしまう。
さらに男は妻も殺し、壁にぬり込めてしまうのだが・・・
かなりゴシック色の強いお話でした。

西洋では、黒猫は魔女と結びつけて語られることが多く、
映画の『魔女の宅急便』でも、キキという黒猫が出てきていました。
黒猫は不吉の象徴として見られたり、
そこがまた魅力的だとしてわざと飼っている人もいるようです。
あと、これはホラーではなくファンタジーなのですが、
ポール・ギャリコの『ジェニイ』なんかも印象的な作品でした。

さて、詩人の萩原朔太郎に『猫町』という散文の短編がありまして、
これは麻薬中毒から回復中の男が、ふと猫の町に迷い込んでしまう話なのですが、
ホラー小説の大家、アルジャノン・ブラックウッドが書いた
『いにしえの魔術』という話によく似ています。
書かれたのはブラックウッド作品が十数年早いのですが、
朔太郎が参考にしていたかはよくわかりません。
ただ、朔太郎作品が散文詩的なのに対し、ブラックッドのは本格ホラーです。

ちなみに、ブラックウッドには原始的な恐怖を描いた作品が多く、
秘密結社「黄金の夜明け団」に属して魔術師を自称していました。
余談ですが、自分はこのブラックウッドの諸作品が、
スピリチュアルの「シルバーバーチの霊訓」などに強い影響を与えた
と考えており、そのことは機会があれば書きたいと思っています。

あとそうですね、ホラーアンソロジー『異形コレクション』の32巻「魔地図」に、
多岐亡羊氏の「わたしのまちのかわいいねこすぽっと」という短編があり、
ちょっと作り込まれすぎてる感もありますが、読んでうならされました。
これはたいへんな傑作ですので、ぜひご一読をお勧めします。

映画だと、強い印象があるのはスティーブン・キング原作の、
『ペット・セマタリー』です。ペット霊園の裏山には不思議な土地があり、
愛猫が事故で死んだ主人公は、幼い息子にそのことを説明できず、
その土地に埋めてしまう。すると猫は帰ってきたが、
凶暴で腐臭を発する別の何かになってしまっていた。
さらに、男はその息子までも事故で失ってしまい・・・
カメラワークがなんとなくB級映画みたいな感じで、
それが逆に怖さを増していたと思います。

鳥山石燕 『猫また』







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