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アメリカの都市伝説

2017.10.20 (Fri)
アメリカのモーターホテル


今回はこのお題でいきます。自分は大学を出てすぐの頃に、
アメリカに2年半ほど住んでいたことがありまして、
大きな声では言えないんですが、このうちの大半の期間が不法滞在でした。
いた場所は都会ではなく、中西部の片田舎の人口7千人くらいの町。
そこは食事や就寝の際に神様に祈りを捧げたりする人の多い、実に保守的な社会で、
日本人だからということで差別された経験はそれほど多くはなかったですが、
プロテスタント系のキリスト教徒ではないため(地域の教会とかかわりがないため)
不都合だったことはいろいろとありました。

アメリカというと、日本にはニューヨークやロサンゼルスなどの大都会の
話題が伝わってくることが多いですが、国土のほとんどが、
ハイウエイ沿いに小さな町が点々と連なる田舎の集合体である、
というのが自分の印象です。そして車で長距離移動することが普通にあり、
州を越えると警察の管轄が違ってくる。(複数の州をまたぐ犯罪はFBIの管轄)
それと、家1軒1軒の敷地が広いんですね。つまり隣との距離がかなりあって、
何か事件が起きてもちょっくらとは助けが呼べない。
このあたりが、アメリカ的な都市伝説を生む母体になっていると感じました。

キーになっている点は「犯罪社会であること」 「車社会であること」
あともう一つつけ加えるなら「訴訟社会であること」じゃないかと思います。
アメリカの都市伝説で、幽霊の話は少ないです。現実の殺人鬼のものが多いですよね。
例えば「後部座席の殺人鬼」という有名な話があって、ご存知の方も多いでしょう。

女性が暗い道を車で走っていると、後ろから一台の車がついてきた。
最初は気にも留めなかったが、しばらくすると後ろの車がパッシングをしだした。
女性は怖くなり家に着くなりあわてて逃げ込んだ。
だが後ろの車は彼女の家まで着くと男性が降りてきて
家の中にいる彼女に「鍵を閉めて警察に連絡しろ!!」と叫んだ。
警察が到着し彼女は事情を知ることになった。
彼女の車の後部座席には「肉切り包丁を持った殺人鬼が潜んでいた」のだった。
後ろの車の男性は後部座席にいるこの殺人鬼の存在に気づき、
パッシングで合図して危険を知らせようとしたのだ。


この変形として、ガソリンスタンド(gas station)バージョンもあります。
女性が給油にガソリンスタンドに入ると、店員が手を引っぱって
無理やり建物の中に連れ込み、さらにドアの鍵をかけてしまう。
女性はその店員に襲われると思ったが、店員は、
「あなたの車の後部座席にナイフを持った男がいた。今すぐ通報する!」
アメリカの人口10万人あたりの殺人件数は4.88件。
日本は0.31件ですから、犯罪が他人事ではないものとして切実に感じられる
のも無理はないと思います。(ちなみに件数世界1位は、
エルサルバドルの108.63・・・どういう数字だこれ!)

あと、訴訟社会というのは「猫を電子レンジに入れて爆発」のような話で、
おばあさんが濡れてしまった猫を乾かそうと、電子レンジに入れたら爆発して死んだ。
ばあさんは弁護士に勧められ、家電会社を裁判に訴え巨額の賠償金をもらった。
それ以後、電子レンジの注意書きに「生きた猫を入れないでください」
という項目が加わった・・・これ、でも、どうやら嘘みたいですね。
ただ、マクドナルドで自分でコーヒーをこぼして火傷し、
高額の賠償金を受けとった話などは事実です。

さて、幽霊の都市伝説がほとんどない(宇宙人や怪物的なものはある)アメリカで、
これは異質だなと思うのは「消えるヒッチハイカー」という話。
ある男が車で走っている途中、若い女性のヒッチハイカーを拾った。
男は女性を後部座席に乗せ、目的地に連れていってやることにした。
目的地である一軒の家の前に着くと男は後部座席を振り返る。
するとそこにいるはずの女性の姿は消えていた。
気になって家の呼び鈴を押し、中から現れた男性に事情を説明すると、
男性は悲しそうな顔で、それは◯年前に亡くなったうちの娘だ。と言った。

この後に「家に娘を乗せてきたのは君で◯人目だ」というのが
つけ加えられる場合もあります。

自分は、この話はアメリカ的ではないとずっと感じていたのですが、
話の出所に関して二つの説があるようです。一つは、
「インディアンの花嫁」というネイティブ・アメリカンの伝承が
元になっているという説。行方不明になった花嫁が、
幽霊になって馬に乗せてもらい家族の元へ帰るという話です。

二つめは、なんと日本由来であるとする説。『諸国百物語』という、
江戸時代の怪談本にある、主人に殺された下女の幽霊が馬に乗ってきて消え、
さらに主人に祟りをなすという話が、明治時代に翻訳されてアメリカに伝わり、
「幽霊が人に祟る」という話はキリスト教国であるアメリカに新鮮な驚きを与え、
「消えるヒッチハイカー」に変形してアメリカ全土に広まったという説です。
実際、『リング』や『呪怨』などのジャパニーズ・ホラーで、
死者が生者を呪う、祟るという考え方を初めて知ったアメリカ人は多いのです。

さてさて、これはどちらが元ネタと特定するのは無理そうですが、
ネイティブ・アメリカンも江戸時代の日本人もキリスト教ではなく、
死者の魂が神様に管理されているという概念を持たなかったので、
どちらでもありえそうに思いますね。

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ブラッディ・メアリー







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