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魚のオカルトホラー

2017.10.29 (Sun)


うーん、これは難しいお題です。映画だといろいろありますが、
小説ではなかなか・・・
上田秋成の『雨月物語』の中に「夢応の鯉魚」というのがありました。
ある魚の絵が上手い僧侶が重い病気になり死んでしまったが、
胸のあたりがまだ暖かいので、弟子たちは埋葬せずそのままにしておいた。
その間、僧は夢の中で鯉になりあちこちと泳ぎ回るが、
最後に檀家の一人に釣られてしまい料理される。
ここで僧は生き返り、檀家の家に使いを出して「鯉料理を食べているだろう」
と聞くと、そのとおりだった・・・こんなお話です。

この作品では、鯉になった僧が近江八景から琵琶湖などを巡る描写が素晴らしく、
三島由紀夫から激賞されていますね。
まあ怖い話ではないですが、不思議な話ではあります。
もしかしたら中国に元ネタがあるのかもしれません。

あと、そうですねえ・・・第16回日本ホラー小説大賞の受賞作、
宮ノ川顕氏の「化身」なんかも魚の話と言えるかもしれません。
南の島を一人で訪ねた主人公が、絶対に脱出不可能な穴の底の泉に落ち、
体がだんだんに異形のものに変化していく。ありえない設定ですが、
文章の上手さで最後まで読ませるタイプの作品でした。
でもこれ、「夢応の鯉魚」もそうですが、変身の物語の要素のほうが強いですね。

魚と人間の中間的なもの?と言えば「人魚」ですが、
日本でも西洋でも、ふつうは上半身が人間で下半身が魚になっています。
人魚はUMAとしても分類することができ、日本では『日本書紀』に、
7世紀の捕獲例が載っているので、昔から知られていたものなんですね。

「八百比丘尼伝説」が有名です。これは、ある男が見知らぬ人の家に招待され、
人魚の肉を出されるが、気味悪がって食べずに家に持ち帰る。
それを知らずに男の娘が食べてしまい、それからは歳をとらなくなった。
何度も結婚したが夫はみな先に死んでしまい、知り合いもいなくなったので、
尼となって全国を放浪し、各地に木を植えて回った。
やがて800歳になったとき、若狭の地にたどりついてそこで亡くなった。

こんな話でしたが、これは仏教説話の一種ですね。
長生きしても永遠に近い生命を得られても、
それで楽しい人生が送られるわけではない。この世は虚しいものなのだ・・・
ということを知らしめるためにできたものではないでしょうか。
あと、人魚のミイラというのが各地に残っており、
猿と鯉や鮭などの体を組み合わせたもので、これをつくる専門の職人がおり、
江戸時代にはヨーロッパなどに輸出されていました。
西洋の博物館などにある人魚のミイラは日本産のものが多いんです。

人魚をテーマとした話としては、西洋では「ローレライ」の伝説とか、
アンデルセンの『人魚姫』などがあります。人魚姫は悲しい結末を迎えますが、
日本の小川未明の『赤い蝋燭と人魚』も怖くて悲しいお話でした。

さて、マンガだと楳図かずお氏に『怪獣ギョー』というのがあり、
小さい頃に海で不気味な魚を見つけた少年は、魚と友達になりギョーと名づけるが、
大人に見つかってギョーはいなくなってしまう。
大人になった少年は原子力発電所の所長になるが、原発に事故が起こり、
もうどうしようもないというとき、海から巨大化したギョーが現れ、
原発を海に引きずり込んでくれる。
あと、伊藤潤二氏に『ギョ』という作品があって、
これは歩行する魚によって日本が壊滅するパニックホラーでした。

映画だとたくさんありますね。特に「サメもの」が一つのジャンルになっています。
『ジョーズ』『ディープ・ブルー』最近の『ロスト・バケーション』
なんかが有名ですが、数えれば50作以上はつくられていると思います。
『ジョーズ』では、サメは荒々しい自然の象徴として描かれていますが、
このもともとの発想は、ハーマン・メルヴィルの原作、
グレゴリー・ペックが主演した『白鯨』からきているんでしょう。
ただ、鯨は厳密には魚ではありませんが。

さてさて、魚は水中で人間は陸上、住んでいる世界が違いますので、
恐い魚がいれば水に近づかなければいいようなもんですが、
作品として成り立たせるためには、
なんとか2つの世界を交わらせなくてはなりません。
上記の伊藤潤二作品では、魚が足を持って陸上に上がってきますし、
映画の『殺人魚フライングキラー』では、ピラニアがトビウオの羽根を持ち、
宙を飛んで人間を襲ってきます。

サメもの映画でも、『ディープ・ブルー』では水浸しになった研究室、
『ロスト・バケーション』では、主人公が取り残された小さな岩礁など、
どうしてもサメと対峙しなくてはならないシチュエーションになっていました。
『ジョーズ』でも、海水浴場として成り立っている町を守るために、
人間のほうからサメを退治しに行かなくてはならないんですね。
このあたりの工夫が一つの見所になっていると思います。








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