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斉藤実氏のこと

2017.11.24 (Fri)
当ブログでは、ふだんはあまり社会的な問題を取り上げることはないのですが、
今日はこのニュースで。
23日夜遅く、秋田県由利本荘市で漂着した木造船とともに見つかった
国籍不明の男性8人は、「北朝鮮を出港しイカ釣り漁をしていて船が故障し漂着した」
と話していることが警察への取材でわかりました。
警察は8人を引き続き保護し、さらに詳しく話を聞くことにしています。

23日午後11時20分ごろ、秋田県由利本荘市にある船の係留施設の近くで、
地元の人から「不審者がいる」と警察に通報があり、警察が駆けつけたところ、
国籍不明の男性8人を見つけ、さらに波消しブロックの近くで、
全長20メートルほどの木造船が漂着しているのが発見されました。
警察は、8人を由利本荘警察署で保護し通訳を交えて話を聞いています。

これまでのところ男性らは「北朝鮮を出港しイカ釣り漁をしていて船が故障し漂着した」
と話していることが、警察への取材でわかりました。また、男性らは
「船に乗っていたのはこの8人だけだ」と話しているということです。
(NHK)

ネットの反応を見ると「工作員だ!スパイだ!」「難民だ!」「亡命希望者だ!」
みたいな意見が多いんですが、自分が見るかぎりは漁船員としか言いようがないですね。
乗ってきた船も、イカ釣り用の集魚灯がついていますし。
つい最近の11月15日、日本海で転覆した小型船から救助した北朝鮮の男性3人を、
海上保安庁の船が、海上で北朝鮮の漁船に引き渡しています。

「北朝鮮の白骨船」という言葉がありますが、これは北朝鮮船籍の漁船が、
操業中にエンジントラブルなどで漂流し、中に白骨化した死体を残した状態で、
日本の海岸に漂着したもののことを言います。
このように、白骨状態の北朝鮮人を乗せて日本にやってきた木船は、
2013年から今年5月までの集計で合計277隻に達しています。

関連記事 『白骨船の話』

これ、日本の海域、海岸で発見されたものがそれだけということで、
海上で沈没したものが多いでしょうし、ロシアに漂着するものも多数あるようです。
今回のは、運よく生きて日本までたどり着いたというだけのことだと思います。
本人たちは帰国を希望しているようなので、「亡命希望」などということがなければ、
これまでどおり中国経由で北朝鮮に送還することになるでしょう。

金正恩政権は漁業に力を入れる「魚大風」という政策をとっていて、
北朝鮮の漁民は日本の領海まで出てきて違法に操業をしています。
穀物の不作を魚介類で埋め合わせようというわけですが、
かなり厳しい漁獲高のノルマがあり、さらに愛国心を示すために荒天でも出港するので、
特に海が荒れる11月、12月は遭難者の数が増えるようです。
また北朝鮮の漁船の場合、ノルマ達成のために、遭難時に、
漁船同士で助け合うシステムも働いていませんし、当然、本国からの救助もありません。

それにしても、今回の漁船を見れば、喫水の低いボロ船(下図)で、
日本だと数十年前でもこのような船は使っていませんでした。
エンジンの信頼性も低いでしょうし、よく海に出る気になれるもんだと思うんですが、
北朝鮮では漁業は戦闘と同じあつかいになっていて、
戦闘には犠牲はつきものであるとして、遭難者を殉職(戦死)とみなしているようです。



さて、ネットでは「海上保安庁はなぜ発見できないのか?」という声もあるんですが、
日本の領海は広く、海岸線は長く長く伸びています。
そこにたどり着く船をすべて発見しようとするのは、
家の中にアリを一匹も入れないようにするのと同じで、絶対に不可能です。

レーダーでは小さな木造漁船は捉えられないし、
捉えたとしても日本の漁船や釣り船、ヨットと区別できません。
もしこれを発見しろというなら、海上保安庁の人員を今の数百倍に増やして、
海岸線のすべてを船やヘリ等で見張るしかないでしょう。
それには莫大な費用がかかりますし、物理的にも無理な話なんです。

ですから、北朝鮮有事ということになれば、
多数の難民が日本に向かってやってくるという事態は十分に考えられることですし、
中には武装した者もいるかもしれません。
先日、麻生副総理の発言がありましたが、
それについての対策を今から考えておくことは必要だろうと思いますね。

関連記事 『金一族の魔法』

さてさて、話変わって、今回の本題として みなさんにご紹介したいのは、
斉藤実氏のことです。はたしてご存知の人が何人おられるでしょうか。
有名なヨットマンで同名の方がいますが、その人とは違います。
斉藤実氏は、太平洋単独ヨット横断の堀江謙一氏と同時代の、
日本の海洋冒険のパイオニアの1人なんです。

大学卒業後、記録映画の監督となり、自らマグロ漁船に乗り込んで撮影を続けましたが、
漁船の長期漂流の実態を知り、漁民の間に広まっている、
「海水は絶対のんではいけない、飲むと死ぬ」という定説を覆すために、
自ら漂流して海水飲用実験に臨むことを決意します。

そして木製イカダ「ヘノカッパⅡ世号」に乗り込んでの太平洋漂流実験の最中、
風速70mの超大型台風ジェーンに遭遇することになります。
イカダはひっくり返り、斎藤氏はイカダの一部につかまりながら
大波に何十時間も翻弄され続け、この荒れ狂う海の描写は圧巻です。

この後、氏は奇跡的に漁船に救助されることになりますが、
一連の経緯は『太平洋漂流実験50日』という本にまとめられています。
これ、すごい本 なんですよ。面白さという点においては、
ベストセラーになった堀江氏の『太平洋ひとりぼっち』をはるかに凌駕している
と思います。読んで絶対に損はありません。古本が100円程度で買えますので、
ぜひAMAZONなどで手に入れて、お読みになってみてください。
自信を持ってお薦めします。









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