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幽霊の出し方、見え方

2017.11.27 (Mon)
今日はあまり時間がなく、短めの怪談論で。
自分の書く話で、幽霊が実際に出てくる場面ってほとんどないんですね。
なんでかというと、一つには、
どういう形で幽霊を出せばいいかよくわからないからです。
幽霊の目撃談はいろいろあって、幽霊の姿というのも決まった形はないようです。

ネットから拾ってみると、
・生きている人と変わらずはっきり見える。
・青白く見える。
・カラーで透けている。
・青白くて透けている。
・部分だけ見える。(腕・顔・首・足だけ・・・)
・白い霧状に見える。(丸い・人型など)
・ピンぼけやブレた画像のように見える。
・黒い影のように見える。
・そのときは はっきり見えてた気がするが、後になるとよく思い出せない。
・何かがいるという気配だけが感じ取れる。

こんな感じで、見る人ごとにバラバラで、きちんとした法則はないように思えます。
これが困るんですよね。もし江戸時代の幽霊だったら、
白い経帷子を着せ、手をだらんと下げ、足がないように描けばいいんでしょうが、
現代ではそうもいきません。

ということで、なるべく出さない方向で書いてるんです。
ですから、自分の「青いテント」という話でも、
主人公は幽霊の姿をはっきり目撃はしていません。
見たのは、テントの内部にいて外に向けてつっぱっている黒い手の影だけです。

「・・・するとテント内に明かりがつきました。
そしてまだらになったテント内から、
二つのてのひらが黒く浮かびあがりました。
テント内の人が私のほうに向かって手を突っ張っているのです。
私は一瞬気が遠くなりかけましたが、
急いで反対側から外に出て横に回り込み、
持っていた懐中電灯でそのテントを照らしました。
そのテントの中のものはあちこち手探りをしていましたが、
ジッパーを開けて外に出ようとしています。
私は後ろも見ずに沢に入り膝までぬらして駆け下りました。」
 
関連記事 『青いテント』

もう一つの理由として、幽霊をはっきり出す怪談が、
はたして怖いかどうか疑問だからです。
例えば、心霊スポットに行った人が、
血まみれで長い髪の女の幽霊に追いかけられてあちこち逃げ回る・・・
そういうのが怪談として上等だとはあんまり思えないんですよね。
むしろギャグみたいになってしまうんじゃないかという気がします。

ですから、最初から幽霊はできるだけ出さない方向で話を作っているんです。
「ミキちゃんの人形」という話もありますが、
これでも、幽霊が出るのは最後のほうで墓の後ろから立ち上がる一瞬だけです。
しかも主人公は、自分が心の中でつくり出した幻覚じゃないかと疑ってる。
それくらいがちょうどいいんじゃないかと思ってます。

「ふっと陽がかげってセミの鳴き声が止み、
その苔むした自然石の墓の陰から黒い小さな影が立ち上がった。
そして「お兄ちゃんがんばれ」と小さな声で言った。
いや、小さな声が聞こえたような気がしただけ、
黒い影を見たような気がしただけ、
すべては俺が心の中でつくり出した幻覚だったと思う。」

関連記事 『ミキちゃんの人形』

映画の場合だと、『女優霊』みたいに幽霊の姿がぼんやりしてるものもあれば、
『リング』の貞子、『呪怨』の伽椰子みたいにはっきりしているものもあります。
ただ、映像がそのまま目に飛び込んでくる映画と、
文字でしか描写できない怪談話とではやはり違いがあるという気がします。

映画だったら、特殊メイクや ぎこちない動き、
天井から急に下がってくるなどのショッキングな出し方、効果音などで、
いくらでも怖くすることができるでしょう。
ところが、怪談話ではそうはいきません。

ですので、幽霊を怖くすることを主眼にせず、
幽霊が出るまでの段取りをしっかり作ることを重視して話を書くようにしています。
不吉で不気味な雰囲気を少しずつ盛り上げていって、
幽霊は話のキモとなる部分でちらっと出てくる・・・
そういうのがいい怪談じゃないかと思うんです。










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