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一人称で書く

2013.10.07 (Mon)
  自分的なルールとして怖い話は一人称で書くようにしています。
これは必ずしも特別な理由があるわけではないのですが、掲示板に書いていたので、
「◯◯を職業とする◇◇さんから聞いた話~」という、実話怪談本によくある形では
あまり緊迫感が伝わらないだろうと思ったのが一つあります。
それにハンドルネームを用いているわけではないので、取材をして書いた形にする意味もありません。
ですから、一つ一つの話が性別も職業も違う中心人物の語りの形をとっています。
これで困るのはもちろん、語り手が死んでしまうことができないことで、
自分の話では、語り手の友人や知り合いが不幸な目に遭うことがどうしても多くなります。

 ところで、話をすると(聞くと)死んでしまうという忌み話系の怪談で有名なのは、
小松左京氏の『牛の首』です。
Wikiによれば「『牛の首』というとても恐ろしい怪談があり、
これを聞いた者は恐怖のあまり身震いが止まらず、三日と経たずに死んでしまう。
怪談の作者は、多くの死者が出たことを悔い、これを供養するため仏門に入り、
人に乞われても二度とこの話をすることは無く、世を去った。
この怪談を知るものはみな死んでしまい、今に伝わるのは『牛の首』と言う題名と、
それが無類の恐ろしい話であった、ということのみである」
もともと出版界にそうした小咄があり、小松氏がたまたまそれを文章にしたのだ、
という説もありますね。

 この語ると(聞くと)死んでしまう系のルーツと言えそうなのが田中河内介の話です。
田中は公家侍で過激な幕末の志士であり、明治天皇の教育係をつとめたほどの人物でしたが、
かの寺田屋事件にからんで捕らえられ、薩摩へと護送される船の中で息子左馬介と共に殺害され、
二人の遺体は海中に投げ込まれてしまいます。
その後、詳しくは書きませんが田中を斬った侍が狂死するなど、さまざまな祟りが起こります。
そして彼の話はけっして語ってはならないものとされるのです。

 時は流れ大正の世となり、あるところで怪談会を催したところ、
一人の見慣れない男が自分にもひとつ話をさせてくれという。それは河内介の死にまつわる話でした。
一同は興味深そうにそれに聞き入ったが、いつまで経っても男は本題に入ろうとせず、
語り始めるといつのまにか最初に戻ってしまいます。
やがて皆興を失ってしまい、いつしか部屋には男一人だけとなりました。
そして皆が偶然に席を外していたそのわずかな時間に、男は息絶えてしまったのです。
結局、河内介の最期は語られることはありませんでした。
池田彌三郎『日本の幽霊』に、このようにあるそうです。


 最後に牛の首つながりで、マンガの どおくまん『嗚呼!!花の応援団』の中で凶暴・極貧の
薬痴寺OBが引く関東炊きの屋台の具の中から、牛の首が浮かび上がってくるシーンが忘れられません。
なかなか怖かったです。

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