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廃村の夢の話

2018.01.14 (Sun)
これは僕が大学2年のときに起きたことですが、今となってはなんの証拠もないんです。
ですから、もしかしたら全部、たんに夢を見ただけなのかもしれないです。
そのことはあらかじめ断っておきますね。じゃあ話していきます。
6月のある夜ですね、アパートの部屋でレポートを書いてたんですよ。
そしたら急に眠気が襲ってきて、ベッドに倒れるように寝込んじゃいまして。
で、夢を見たんです。ものすごく明るかったんですよ、夢の中が。
真昼の日差しが照りつける中、まっすぐな道を歩いてました。
砂利道だったんですが、道に落ちてる石の一つ一つが、
日に照らされて真っ白になってました。はい、夢の中なのに、
細かいところまではっきりと覚えてたんです。道の両側には草がぼうぼうに伸びてて、
その後ろに畑地、それと数十mおきにぽつんぽつんと民家がありました。

家はどれも木造で、藁葺き屋根ではないけど、
ものすごい古めかしい造りで、今でいう古民家みたいな感じでした。
とにかく、その道を歩いていったんです。それで、夢の中ですごくとまどってたんですよ。
ここはどこなのか、なんでこんなとこにいるのか。
その道をずっと行くとどこに出るのか、まるでわからないんですから。
だからすごく心細いような気持ちで、次に家の前にきたら、
ここがどこなのか聞いてみようと思いました。で、一軒の家の庭に入ってったんです。
庭は、植木なんかも伸び放題で荒れ果ててました。
玄関まできて、呼び鈴も何もなかったので、「ごめんください」と言いながら、
ドンドン戸をたたきました。でも、誰も出てくる気配がなくて、
あきらめて道に戻ろうかとしたとき、戸が開いて人が顔をのぞかせました。

真っ白な髪の背の小さいお婆さんでした。僕が、「あの、すみません。
 変なことを聞きますけど、ここってどこなんでしょうか?」そう尋ねると、
お婆さんは口をむにゃむにゃ動かしてから、「若いもんがまだおったんか。
 みな○○さんに集まってるぞ。早く行かないと船が出る」みたいなことを言ったんです。
みたいなこと、っていうのは、そのお婆さんの方言がすごくきつくて、
僕がそういう意味じゃないかって思ったってことです。
○○さん、というのが何なのかはそのときはわかりませんでした。
お婆さんは、すぐにぴしゃっと戸を閉めてしまったので、しかたなくまた道に戻りました。
そうして、道沿いにある家に同じように行ってみたんですが、
ほとんどの家は誰も出てきませんでした。たまに人が出てくる場合もありましたが、
最初の家のようにお年寄りで、ただ「○○さんに行け」と言われるばかりで・・・

そこで、目が覚めたんです。もちろん自分の部屋のベッドにいたんですが、
起き上がろうとしたときに、ジジジジジという音が聞こえたんですよ。
機械的な音だと思いました、あと、すごく頭がいたかったんです。
手で頭を押さえようとしたんですが、目の前に持ってきた自分の手が透けてたんです。
半透明になってたってことです。で、ジジジジジという音はそっから出てるみたいでした。
手は半透明になり、完全に消え、また半透明に戻って、ふつうに実体のある手に戻る。
それをくり返していましたが、だんだん透明になる回数が減ってきて、
音がなくなり、自分の手に戻ったんです。それとともに頭痛も治まっていきました。
今のは何だったんだ?と思いましたが、わかるわけないですよね。
時計を見たら4時台で、外は暗かったので朝の4時だと思いました。
もう眠気はなかったんで、机の上のレポートを仕上げて大学に行ったんです。

そしたら、大学でたいへんなことがわかったんです。
会った友だちごとに、「お前、昨日 何で休んだんだ?」って聞かれたんですよ。
はい、まる1日以上過ぎてたってことです。一昨日の夜9時ころに眠って、
そのまま1日中眠り続け、翌日の朝の4時に起きたってことです。
あの不可解な夢、それと起きたときに手が消えかけていたことと関係があるんだろうと
思いましたが、それ以上のことはわからなかったです。
ええ、その夜は眠るのが怖かったんですが、特に何も起きませんでした。
それから1ヶ月以上何もなかったんで、その夢のことは忘れかけてたんですが・・・
大学が夏休みに入ったある夜、またあの夢を見たんです。
ものすごく強い日差しの中を、とぼとぼ田舎の砂利道を歩いている夢です。
ただ、前と違うのは、そのときは夢の中で「これは夢だ」ってわかってたことですね。

だから、周囲をよく観察することができたんです。
山に囲まれた盆地のような場所でした。たいした広さはなかったと思います。
その集落をつっきる一本道のようなところに僕はいて、前に向かって歩いている。
電信柱は木にコールタールを塗ったものだったし、ところどころにある看板なども
ひじょうに古めかしい感じがして、昭和の初期?大正時代?
とにかく昔の世界にいるんだと考えるしかなかったです。
で、このときも何軒かの家を訪れてみました。やはり前と同じで、
誰も出てこないか、着物を着たお年寄りが出てきて、「○○さんへ行け」と言われるか、
そのどっちかだったんですが、一軒だけ違ってたんですよ。
そこの家も、まわりと同じ古い民家でしたけど、表札が出てて、
「上川」と書かれてました。これ、僕の母の旧姓と同じだったんです。

「ごめんください」外から声をかけると、ややあって戸が開き、着物を着た5歳くらいの
女の子が出てきたんです。その子は僕が問いかけても何も答えず、
ただ、「はい」と言って後ろにまわしていた手を出し、お手玉を渡してよこしたんです。
あの昔の、布の中に小豆が入ってるやつです。僕が受け取るとその子は、
「あげる」と恥ずかしそうに言ってひっこんでいきました。あとはいくら呼びかけても
出てこなかったんです。そこで目が覚めました。ジジジジジという音がして、
頭が痛くて起き上がれませんでした。おそるおそる目を開けると、
夏だったんで体に何もかけてなかったんですが、自分の体が青白い光に包まれているのが
わかりました。光がゆっくり明滅しながら、ジジジという音を立ててたんです。
20分くらいそのままでいると、頭痛が治まり、光が消えていったんで起き上がり、
テレビをつけました。朝の番組をやってましたが、やはりまる1日眠ってたんですよ。

はい、その眠ってた日はバイトが入ってて、僕が無断で休んだことになってたんです。
これは体調が悪かったってことで、平謝りするしかなかったです。それと、
ベッドの枕元に夢の中でもらったお手玉があったんです。手に取るとかびの臭いがして、
とても古いものなんだと思いました。それからまたしばらく何もなかったんです。
ただ、あれこれ夢の原因をしらべてはみました。実家の母親に電話をかけてみたんですが、
母は子どもの頃から大きな市に住んでて、夢の中の村のことはわからなかったんです。
で、前の夢から1ヶ月ほどたったとき、部屋に電話がかかってきたんです。
固定電話にかかってくるのは珍しかったんですが、出てみると女の人で、
お婆さんのような声でした。その人は上川という名字を名乗り、僕の祖母の妹だって
言ったんです。母方の祖母はもう亡くなっていて、その人とは会ったことはありませんでした。
「あんた△△郷に行ってるだろ。○○さんに呼ばれておる。けども行っちゃだめだよ。

 行かない、ってはっきり言わないとダメだ。それと、私のお手玉を送ってほしい。
 今、住所を教えるから」 こんな内容でした。これをきつい訛で言われたんですが、
夢の中で出てくる方言と同じじゃないかと思いました。それで、その夜また夢を見たんです。
あの田舎道でしたが、だいぶ先に進んでいるみたいで、つきあたりに小さな鳥居があるのが
見えました。近づいていくと、鳥居には額がかかっていて「○○神社」と書いてました。
「ああ、○○さんって、この神社のことだったんだな」ってわかったんです。
鳥居の内、神社の境内には大勢の人が集まっているようでした。僕のほうを何人かが見てて、
「おーい、おーい、早くしろ、早く、船が出る」って呼んだんですよ。
「船?」そのときあたりがふっと暗くなりました。神社の上に木製の大きな船が浮かんだんです。
見えたのは底だけですが、40mもあったんじゃないかと思います。船からははしごが下りてて、
和装の晴れ着を着た人がどんどん乗り込んでいきます。

そのうちの数人が僕のほうを見て、「おーい、早く乗れ乗れ!」って呼びかけてきました。
そのときに電話のことを思い出しました。僕は鳥居のすぐ前まで来てましたが、大きな声で、
「行きません! 僕は行きません!」って叫んだんです。そこで目が覚めました。
はい、このときはジジジという音は聞こえず、体が透けたりということもなかったですし、
日にちが1日とんでることもありませんでした。その日、また母に電話をかけて、
△△郷について聞きました。そしたら、母の母、祖母がそこの村の出身ということでしたが、
大きな災害のために廃村になってて、今は誰も住んでいないはずだと言われました。
○○という神社があるかどうかもわかりませんでした。で、地図で確かめてみたんです。
5万分の1の地図では、集落の中を通る一本道の最後に神社のマークがついてましたね。
お手玉は、祖母の妹という人に郵送して手元には残ってません。それ以来夢は見ていないです。
・・・もし、あの夢の中で船に乗ってたらどこに行ったんでしょうね。それは気になりますよ。








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