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ムーミン問題について

2018.01.15 (Mon)
13日にあった大学入試センター試験では、
地理Bの問題に世界的な人気キャラクターのムーミンが登場した。
ムーミンが北欧のどの国を舞台としたアニメーション作品かを
問う内容で、インターネット上には戸惑いの声も上がった。

スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの3カ国の気候や貿易などの比較に続き、
各国のアニメと言語の正しい組み合わせを問う問題。アニメは、スウェーデンの
「ニルスのふしぎな旅」が示され、ムーミンと「小さなバイキングビッケ」
のどちらがフィンランドかを選ぶよう求めた。

ツイッターでは「ムーミンは地理に関係ないのでは」など、
受験生とみられる恨み言が噴出。ムーミン公式サイトは、
「まだまだ知られてないんだな、と反省」とつぶやいた。

代々木ゼミナールの担当者は「もう一つの選択肢のバイキングから
ノルウェーが推測できる。手が込んだ問題だが、
ムーミンを知らなくても答えは導ける」と解説した。
(共同通信)

当ブログでは、時事的な問題は取り上げないことにしていたんですが、
この話は面白かったので今回のお題にしました。
うーん、どうでしょう。自分はこれ、あんまりいい問題じゃないと思いますね。
出題者は洒落っ気を出してこういう問題を作ったのかもしれませんが、
ちょっと空回りしてるんじゃないかという気がします。

ムーミンの作者のトーベ・ヤンソン(女性)はスウェーデン系フィンランド人で、
「ムーミン」の原作はスウェーデン語で最初書かれたようです。
また「小さなバイキングビッケ」(原題は「小さなバイキング」)は、
スウェーデン人がスウェーデン語で書いた話です。

つまり「ニルスのふしぎな旅」 「小さなバイキングビッケ」 「ムーミン」
の3つともスウェーデン語作品なわけです。
「長靴下のピッピ」なども含めて、スウェーデンの児童文学は高名です。
ですから、問題中に事実認識の誤りがあるということになるでしょう。

そもそも北欧の国々は、デンマーク、アイスランドも含めて、
言語・民族・文化などは入り混じっており、
言語文化を文学作品で問う問題は不適当だと思います。
実際、トーベ・ヤンソンはフィンランド語、スウェーデン語どちらもできます。
このあたりは、島国の日本ではなかなかわからない感覚です。

じゃあ受験生に救済措置が必要かというと、そこまでする必要はない気がします。
上の引用で代々木ゼミナールの担当者が言ってるように、
「バイキング」という単語をキーにして、ノルウエーかフィンランドのどちらかを
選ぶとしたら、これはノルウエーしかないですよね。むしろサービス問題なんじゃ
ないでしょうか。これで間違えてはいけません。

さて、ここからはムーミンの話をしていきます。
自分は子どもの頃、ムーミンはカバだと思ってましたが、違うんですね。
「ムーミン・トロール」というのは種族名で、個人の名前はないみたいです。
「ノンノン」というのも日本のアニメ限定でつけられた名前で、
原作では「スノークのお嬢さん」となっていて、この「スノーク」も種族名。
ムーミン族とスノーク族は似ていますが、少し違いがあるみたいです。
もしかしたら頭に髪があるのがスノーク族なのかもしれません。

これ、人類にあてはめて考えると変ですよねえ。
主人公の呼び名は「人間」、父親が「人間パパ」、母親が「人間ママ」・・・
まあ、作者のトーベ・ヤンソンは、それでも物語をスムーズに進めていけるので
別にかまわないということだったんでしょうね。

あとムーミンの後に「トロール」という語がついてますが、
これは主に北欧で信じられている一種の妖精です。エルフやドワーフなどといっしょに
ロールプレイングゲームに出てきますが、馬鹿力の巨体として描かれるケースと、
小さな姿で描かれるケースの両方があるようです。体が大きくても小さくても、
どちらもトカゲのような肉体再生能力を持っている場合が多いんです。

ちなみに「ハリーポッター」では、下の画像のような姿でした。
ただ、ムーミンの場合はこのトロールというのは言葉を借りただけで、
伝承に出てくるトロールとは別物だとトーベ・ヤンソンは述べているようです。
あと、ムーミンってすごく小さいんです。画家でもあるが作者が、
原作の第一作「大きな洪水と小さなトロール」で描いた挿絵では、
ムーミンママが子猫と同じくらいの大きさだったみたいですね。



さてさて、有名なアニメには都市伝説がつきものですが、
ムーミンにもいろんな都市伝説があります。最も有名なのは、ムーミンの舞台は、
世界規模の核戦争によって人間が滅んだ後の世界を描いているというもので、
放射能の影響によってカバがミュータント化した姿がムーミンということです。

そして、人間の中で一人だけ生き残ったのがスナフキン。
彼は、核戦争という人類の過ちの結末を見届ける宿命を背負っている。
ですからキャラクターに暗い陰があって、哲学的なことを言うんですね。
彼がギターで弾く「おさびし山の歌」は人類に対する挽歌なんでしょう。
アニメのムーミンの最後で、ムーミンたちがみな冬眠に入るのは、
核の影響ですべてが死に絶えるのを比喩的に表した描写・・・
ということで、今回はこのへんで。








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