中国科学の脅威

2018.01.28 (Sun)
今回はこのお題でいきます。当ブログでは政治的な話題はできるだけ避けてますので、
なるべくそっち方面に話がいかないようにしたいとは思います。
ただ、そうもいかない面があるかもしれません。
さて、自分は科学ニュースが好きでよく見てるんですが、
5・6年前頃から、中国発のニュースが増えているなあと思ってました。
今、各社のニュースをざっと見ても、3つほど話題が上がっています。

学生4人、「月面基地」模した実験室に200日間連続滞在。
中国の首都北京にある大学の学生4人が、月面での生活を模擬実験する施設内で、
200日間の連続滞在を無事完了した。国営メディアが26日、報じた。
中国は、有人月面着陸という長期目標を掲げて準備を進めている。

(1/26 AFP)

中国で“宇宙に穴が開くレベル”のスーパーレーザー(出力5300兆ワット)爆誕!
今月24日の英「Daily Star」によると、このたび世界最強のレーザーを作成したのは、
中国科学院と上海科技大学の合同研究チームだ。
彼らの作った超短パルス・高強度レーザー実験装置SULFは、
チャープパルス増幅法によって超短パルス・高ピーク出力レーザー光を実現、
現在世界最高の5.3ペタワット(5300兆ワット)の出力を得たという。

(1/27 tocana)

霊長類では初、体細胞クローンのサル誕生 中国のチーム。
サルの体細胞から、遺伝的に同じ情報をもつクローン2匹を誕生させることに、
中国科学院の研究チームが成功した。哺乳類の体細胞クローンは羊や牛などで
誕生しているが、霊長類では初めて。ヒトに近いサルのクローンは、
医療研究などに役立つとチームは主張している。
ただ、クローン人間の誕生に近づくことにもなり、議論を呼びそうだ。

(1/25 朝日新聞デジタル)

こういったニュースで、最初のは宇宙科学、2番目は物理工学ですかね、
3番目が生命科学と、それぞれ分野も違います。中国の自然科学が、
各方面で、かなりのスピードで進展を遂げているのがわかると思います。
ネットを見ていると「中国の科学なんてたいしたことはない、
ノーベル賞もほとんど取ってないじゃないか」みたいな論調が目立ちますが、
自分はそんなことはないと思ってます。これ、かなりの脅威ですよ。

中国の科学が伸びている理由はいろいろあるでしょうが、
自分は、次の3つの点が大きいんじゃないかと思います。
① 人口が多く、そのため理系の研究者数も多く、当然、優秀な研究者の絶対数も多い。
② 潤沢な研究予算がある。特に国家プロジェクトに関しては、
  金に糸目をつけずに進めることができる。
③ 「倫理」の壁が低い。

まず、①から考えていきましょう。「世界の研究者数 国別ランキング」
という資料を見れば、これは理系以外の研究者も含まれるでしょうが、
圧倒的第1位が中国で162万人、2位がアメリカで135万人、
日本が3位で66万人です。もちろん中国は総人口の母数が大きいので、
研究者の割合は日本のほうが高いものの、やはり総数が多いほうが、
画期的な研究が出てくる可能性が高まるのは間違いないでしょう。



さらに、日本は少子化、人口減少社会ですよね。
これから、若い研究者の数はどんどん減っていくものと考えられます。
日本が今後も技術立国していくつもりなら、これはマズイですよね。
大学の文系学部の改廃などの議論が出てくるだろうと思われます。

②について、日本の科学技術関連予算は減っているわけではないんですが、
ずっと横ばい状態を続けています。これに対し、中国のそれは右肩上がりに増大し、
現在は米国についで世界2位、日本の2倍以上と考えられます。(下図)
これ、民主党政権時代に予算の仕分けで、蓮舫議員がスパコンの研究開発費に対して、
「世界一になる理由は何があるんでしょうか? 2位じゃダメなんでしょうか?」
と言ったのは記憶に新しいところです。

日本はご存知のように世界でも類を見ない財政赤字国家で、高齢化のために、
これからも大幅な社会保障費の増大が予測されています。
ですから、蓮舫議員の言ったこともわからなくはないですが、
もし潤沢な予算があるのであれば、2位よりは1位のほうがいいに決まってます。
この点、中国は社会主義体制の国ですので、国家が必要と考えたプロジェクトは、
他に優先して予算を配分することができます。

主要国における研究開発費総額の推移


③について、科学研究は倫理的に進められる必要があります。
特に、生命科学の分野では大切なことなんですが、
2016年、中国でヒトの受精卵でDNAを改変したとの報告が出て、
世界中で大きな議論を呼びました。科学者たちが国際会議を開いて対応を協議したほか、
米ホワイトハウスが懸念を表明するなど、全世界に波紋が広がったんですね。

ヒトへの遺伝子操作やゲノム編集は、現時点では禁断の領域と考えられています。
病気の診断や治療に用いられるだけではなく、産まれてくる子どもの、
目や肌の色、身長や知能まで変えられる可能性があるからです。
しかも、それで産まれてきた子が、終生健康に過ごせるという保証もありません。
遺伝子操作した受精卵を母体の子宮に戻すことはタブーなんですね。

この点、日本は世界の中でも慎重なほうで、新しい生命科学技術に対しては、
倫理委員会を設けて長い時間をかけて審議します。
また、キリスト教国もそうですね。人工授精や体外受精に関して、
キリスト教国で導入されるまでには、かなりの論議がありました。

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ですが、中国は基本的に無宗教ですし、全体主義体制です。
ですから、倫理的なタブーが少ない。これは旧ソ連もそうでした。
昨年11月、中国黒竜江省ハルビン医科大学で、脳死者どうしの「ヒト頭部移植」
が行われたというニュースが出てきました。

手術を行ったのはイタリア人医師でしたが、この手術が、
自国では倫理的に認められないため、中国医師団との共同研究という形で
実施されたようです。これからも、あっと驚くような発表が、
中国からは出てくるんじゃないかと予想されます。

さてさて、科学技術というのは、人類全体の幸福のためにあるものだと思います。
たんなる功名心や利益追求、軍事的優位性のために
進められるべきでないのは当然です。
さらに、「何が幸福なのか」という点については、多様な考え方があり、
多くの議論があるはずです。そこで必要になってくるのは倫理学や宗教です。
しかし、現在の中国はどうでしょうか。自分は脅威を感じずにはいられませんね。

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コメント
こんばんは

ある意味で、怖いですよね^^;
目的が、不明ですから。
人口も、多いですけれど、それ以上に資金力が
ここ近年桁違いに増えているようですし、
暴走化だけは、避けて欲しいです。
ポテチG# | 2018.01.29 00:28 | 編集
コメントありがとうございます
自分は中国へは何度か行ったことがあるんですが
功名心に燃えたエネルギッシュな人が多いんですよね
それだけに科学研究でも歯止めがきかなくなってしまうのが
怖いなあと思います
bigbossman | 2018.01.29 15:00 | 編集
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