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ロビンソンとガリバーの間

2018.02.07 (Wed)


変な題名だと思われるでしょうが、これ、空想冒険小説の歴史を語る上で
けっこう重要なことではないかと自分は思っています。
さて、どこから話していきましょう。
まず、「大航海時代」のことから書いていったほうがいいでしょうか。

大航海時代というのは、「15世紀半ばから17世紀半ばまで続いた、
ヨーロッパ人によるアフリカ・アジア・アメリカ大陸への大規模な航海が
行われた時代。主にポルトガルとスペインにより行われた。」とWikiにあります。
自分が前に書いたエルナン・コルテスやフランシスコ・ピサロも大航海時代の人物です。
17世紀の終わり頃には、世界の隅々にまでヨーロッパ人が到達し、
定期航路が開かれるようになりました。

なぜ、大航海時代が始まったかについては、いろいろな要因があります。
技術的なものとしては、大きな船が作られるようになったこと、
天測などの航海術の発達があげられます。経済的な面では、
国際交易の発展です。黄金、香料、その他異国の珍しい物産を求め、
一攫千金をめざした人々が海へと乗り出していきました。

学問的には、地理学、博物学の進展があげられるでしょうし、
宗教的に、異教徒を改宗させ、キリスト教の勢力範囲を広げるという意図も
大きかったと思います。その中で、たくさんの発見や発明がありましたが、
残念ながら、暴力による征服、略奪、虐殺、奴隷貿易なども行われました。
明るい面と暗い面があったわけですね。

さて、『ロビンソン・クルーソー』は、子供の頃に読まれた方は
多いんじゃないでしょうか。作者は、イギリスの小説家、ダニエル・デフォー。
『ロビンソン・クルーソー』が刊行されたのは、18世紀初頭の1719年です。
主人公のロビンソンが、船乗りにとなって航海に出かけ、
無人島に漂着し、独力で生活を築いてゆく物語です。その中で現地人を助け、
フライデーと名づけて従僕とし、28年後に帰国します。

ロビンソン・クルーソーには、モデルがいるという話がありますね。
航海の途中で漂流したり、無人島に流れ着いてそこで生活したりということは、
ずいぶんあったようで、実体験の航海記もいくつも出回っていたみたいです。
大航海時代が終わってしばらくたった年代ではありますが、
まだその名残を引きずっていた頃の話なんです。

次に、『ガリバー旅行記』ですが、アイルランドの風刺作家ジョナサン・スウィフト
によって仮名で発表されたのが1726年のことです。
ガリバーは、最初は船医でしたが後に船長となり、
小人国、巨人国、空飛ぶ島の国ラピュータ、馬が支配するフウイヌム国を訪れます。
あと、ガリバーは日本にも来ているんですが、
児童向けの翻訳では、そのあたりがカットされたものも多いですね。

『ガリバー旅行記』の、特にその後半部分は風刺文学であると評価されています。
架空の国の政治や宗教を通して、現実の世界を皮肉っているわけです。
これは実際、そういう意図を持ってスウィフトが書いているのは間違いないですが、
冒険小説としての側面も忘れてはならないでしょう。

で、ここで注意してほしいのは、物語の舞台が、ロビンソンからガリバーで、
現実の世界から架空の世界に変わっていることです。
この背景には、大航海時代が終わって、世界のほとんどの地域が地図に記載され、
民族や文化の知識が広まったことがあげられると思います。
つまり、自由に空想の翼を広げることができる土地は、
想像の中の異世界にしか残されていなくなったわけです。

さて、19世紀に入って、一人の人物がフランスに生まれました。
SF小説の父とも言われるジュール・ベルヌです。
彼は、1864年に『地底旅行』、翌年に『月世界旅行』、1870年に
『海底二万哩』を刊行し、作品の舞台をどんどん、
地上以外の海底、地底、宇宙などへと広げていきました。

さらに、1865年、ルイス・キャロルが『不思議の国のアリス』で、
夢の中の精神世界への旅を描き、1895年、H・G・ウェルズが、
『タイム・マシン』で、時間旅行の可能性を提示しました。

また、1900年、アメリカのフランク・ボームが『オズの魔法使い』で、
カンザスの田舎に住む平凡な女の子が、いきなり竜巻で、
魔法が支配する国に吹っ飛ばされるというファンタジー世界を創造し、
ここまでで、空想冒険小説の舞台はほとんど出そろうことになったんです。
(ただ、これはあくまで欧米小説の流れであって、
インドや中国、中東などには独自の歴史があります。)

さてさて、現在のアニメやラノベでは「異世界もの」がたいへん流行しています。
現実の世界ではパッとしない主人公が、異世界へは勇者として召喚された、
といった筋立てのものが多いようですが、
この異世界という概念の始まりは、自分は、上で書いたように、
『ロビンソン・クルーソー』と『ガリバー旅行記』の間あたりにあるんじゃないかと
考えています。そういう意味で、『ガリバー旅行記』は、
異世界ものの元祖としても評価されていいんじゃないかなあと思うんですね。

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