平昌の人面鳥って何?

2018.02.10 (Sat)
平昌冬季五輪は9日午後8時(日本時間同)から開会式が行われた。
セレモニーには謎の巨大な“人面鳥”が登場。
ネット上でその強烈な風貌が話題となった。

選手入場前に行われたセレモニーは、
韓国の神話をモチーフとした幻想的な雰囲気で行われた。
すると突然、人間の顔をした巨大な鳥が登場した。実は、
韓国では神話に出てくる平和な時代にしか現れない不死鳥の元になっており、
平和の祭典という五輪の開会式に起用されたもの。

しかし、ネット上の話題はこの“人面鳥”で持ち切り。
「あの人面鳥はインパクト強すぎる」「人面鳥の顔がリアルすぎて怖い」などの声が
続出したほか、「絶対夢に出てくる」「怖すぎて子どもが大泣きした」
などの声が上がった。
(スポニチアネックス)

平昌冬季五輪開会式


今回はこのお題でいきます。昨夜の平昌冬季オリンピックの開会式はみなさん、
ご覧になったでしょうか。自分は見ていましたが、上記引用にあるように、
途中で出てきた「人面鳥」のインパクトは強かったですね。
では、あの正体は何なんでしょうか?

最初はまったくわからなかったんですが、「平和を象徴する鳥」という説明を聞いて、
ああ、「諫鼓鶏 かんこどり」のことかなと思いあたりました。
それだったら、確かに世の平和と関係があります。
自分は韓国の神話はよく知らないので、まあ違うのかもしれませんが、
いちおう専門の一つである中国の故事を説明していきます。

中国古代の神話的な王に「堯・舜 ぎょう・しゅん」がいます。これは2人の人物で、
まず堯が国を治め、その後、自分の息子には王位を譲らず、
優れた人物である舜を後継者に指名しました。このことから、世襲ではない人物に
譲位することを「禅譲 ぜんじょう」と言うようになりました。
堯・舜について、中国では、伝説上の人物であるとも、実在したとも言われています。
もし実在であるなら、紀元前20世紀以上も前の人です。

さて、引用に出てくる鳥の話は、堯の時代のことです。
堯は、「その仁は天のごとく、その知は神のごとく」と継承される偉人でしたが、
自分が傲慢になって、天下の政務を誤ることをたいへんに怖れていました。
そこで、もし政治が悪くなった場合、人民が打ち鳴らして知らせることができるよう、
城の門前に太鼓をしつらえ置きました。

しかし、終生にわたって善政をつらぬいたため、いつまでもその太鼓が鳴ることはなく、
やがて太鼓には苔が生え、その上で鳥が鳴くようになった。
この故事が元になって、「諫鼓苔生す かんここけむす」
「諫鼓鶏が鳴く かんことりがなく」という故事成語ができたことになっています。
「諫鼓」は、「諌(いさ)めるための太鼓」という意味です。
ですから、諫鼓鶏(かんこどり)は平和の象徴ということになるわけですね。

さて、この諫鼓鶏の話は日本にも伝わってきていて、
お祭りで引く山車の上に太鼓とともに乗っています。下図は江戸時代の神田・山王祭を
描いたものですが、太鼓の上に鳥の姿があるのがわかると思います。
これが行列の先頭だったようですが、徳川の将軍様の善政を讃えているのかもしれません。
神田・山王祭には江戸幕府からも費用が出されており、
行列は江戸城内に入って将軍の上覧を得たので、天下祭とも言われるんです。

神田・山王祭の諫鼓鶏


さて、このこととは別に「閑古鳥が鳴く かんこどりがなく」という慣用句もありますね。
「人の訪れがなく、ひっそりと静まり返っている様子。
客が来なくて商売がはやらない様子」という、あまりよくない意味で使われています。
この「閑古鳥」はカッコウを指しているようで、 カッコウの鳴き声が、
当時の人に物寂しいと感じさせたことから、カッコウ鳥が閑古鳥になった、
と語源を書いている辞典が多いですね。

カッコウ(閑古鳥)


うーん、「諫鼓鶏」と「閑古鳥」、どうなんでしょうねえ。この両者は関係あるのか?
「諫鼓鶏」という語ができたのは、紀元前のものすごく古い時代だと思われます。
前漢の武帝の頃(前1世紀頃)に書かれた『淮南子 えなんじ』には、
すでに、この言葉が出てきています。

これに対し、「喚子鳥 よぶこどり かんこどり」
というカッコウを表す語は『万葉集』にも出てきますが、
それが転じて「閑古鳥」になったのは江戸時代のことのようです。
まあ、はっきりとはわかりませんし、根拠もないんですけど、
自分の勘では、何らかの関係が少しはありそうな気がします。

さてさて、ということで、あの平昌の鳥が諫鼓鶏なのか定かではありませんが、
北朝鮮情勢の緊迫した中で始まった平昌オリンピック。
当然のことながら、戦争は起こらないほうがいいですし、
諸問題が平和裏に話し合いで解決できれば、それにこしたことはありません。
それとともに、参加している日本選手の活躍を祈りたいですね。
ベストコンディションで、自分の力を存分に発揮してほしいと思います。






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