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頭部移植と魂

2018.02.13 (Tue)
アメリカの科学技術サイト「Science Alert」は、イタリア人脳神経外科医が,
「革命的手術」に成功したと伝えている。セルジオ・カナべーロ医師は、
以前から「生きてる人間の頭部を移植することは可能で、1年以内に実現できる」
と公言してはばからなかったが、昨年末、
ついにその前段階と呼ぶような遺体を使った人体頭部移植手術を敢行したのだ。

カナベーロ医師により「HEAVEN(head anastomosis venture)」
と名付けられた頭部移植法は、海外メディアを驚愕させた。
しかし、このオペには多くの神経科学者が異議を唱えている。
なにより憂慮されているのは、科学的エビデンスが十分でないにもかかわらず、
今秋には中国で、脳死したドナー同士による頭と頭のすげ替え
手術が予定されていることだ。もちろん、前例のない大事件となるだろう。

(tocana)

セルジオ・カナべーロ医師


今回のお題はこれでいきます。前もちょっとだけお伝えしましたが、
イタリア人医師による、中国での人間の頭部のすげ替え手術について、
やっと詳細がわかってきました。昨年11月に行われたのは、
完全な「遺体」、つまり死者同士によるものだったんですね。
うーん、しかしそれだと、たいして意味があることとは思えないですねえ。
遺体を使った解剖学の実習と、ほとんど変わらないんじゃないかという気がします。

たとえ血管と血管、筋肉と筋肉、皮膚と皮膚をつなげたとしても、
ただそれだけのことです。時間はかかるでしょうが、ていねいに縫い合わせていけば
いいだけの話で、問題は脊髄や神経をつなげるかどうかですよね。
それができるかどうかは、脳死者同士の手術での結果を待たなくてはなりません。

このニュースについて、世界の医学者のほとんどは否定的な意見を述べています。
もし、脊髄や神経をつなぎ合わせて、その機能を回復させることができるのなら、
頭のすげ替えよりも先に、現在多数の患者がいる頸髄損傷(首から下が麻痺など)、
脊髄損傷(下半身麻痺など)の治療に応用することができるはずです。
ところが、そういう話は出てきていません。

この、脊髄や神経をつなぐ肝心の技術について、カナべーロ医師は、
「“接着剤”の役目をするという特殊新素材を使い、切断された脊椎間の隙間を
埋めるように、軸索と神経細胞を成長させる方法を発見した」
と述べているようですが、
怪しさ爆発というしかないです。切れた神経をつなぐ方法については、
世界中の研究機関が、iPS細胞などで再生の研究を進めていても、
いまだに、なかなか進展が見られない状況なんです。

自分の予想としては、カナべーロ医師の次の「脳死者同士の頭部すげ替え」手術は、
基本的に、血管をつなぐだけ、ということになるんじゃないかと思います。
脳死者というのは、日本では「死者」とみなされますが、体は温かいです。
これは、人工心肺や人工呼吸器を用いて、強制的に心臓を動かし、
呼吸をさせ、血液を循環させているからです。

おそらく、カナべーロ医師は、頭部をすげ替えした2人の脳死者のどちらかが
この状態を維持できていれば、それで「成功」というアピールをするんだと思います。
たしかに脳死者であっても、体の組織は生体のそれと変わらないので、
頸動脈や気管、食道などをつなぐのは技術的に難しいでしょうが、
大量の輸血をしながら行えばできないことはないでしょう。
しかし、それに何の意味があるのか? 大きな疑問がある上に、
倫理的にもさまざまな問題をはらんでいると考えられます。

カナべーロ医師は、倫理問題のために、自国イタリアではこの手術ができず、
中国医師団との合同研究(おそらく資金は中国持ち)という形で、
プロジェクトを進めているんですね。ということで、自分の評価としては、
この手術は現状では売名行為に近いんじゃないかと考えるんですが、
まあ、続報を待ちたいところです。

さて、当ブログはオカルトブログですので、医学関係はここまでにして、
話を変えます。例えばAさんから頭部を切り離し、Bさんの体につなぐ手術が
成功したとします。そして麻酔が覚めて意識が戻ったとして、
これはAさんなんでしょうか、それともBさんなんでしょうか?

多くの人は、「これはAさんだ」と答えられるんじゃないかと思います。
意識が戻ったときに本人に名前を尋ねると、
おそらく「私はAです」と言う可能性が高いと思われます。
これは、脳にはAさんの記憶や人格が詰まっているからです。
しかし、本当にそれでいいんでしょうか?

古くからの哲学・宗教の難問の一つに「魂の問題」があります。
「魂なんてものはない」、としてしまえば話は簡単なんですが、
それでは納得できない人も多いんじゃないかと思います。
もし魂なるものがあるとしたら、それはどこにあるのか?
これには、歴史的に大きく3つの考え方がとられています。
① 魂は頭部にある ② 魂は心臓のあたりの胸にある
③ 魂は肉体全体と重なっている(あるいは、肉体とは離れたところにある)

もし①だとすれば、この人はAさんということになるのか?
その場合、魂と脳の違いは何なのか? ②も昔から言われています。
英語の「heart」は心臓ですが、心や感情と訳すこともできます。
日本でも「胸が痛む」 「胸をなでおろす」などという慣用句がありますよね。

ではこの人は、自分で「Aです」と答えたとしても、本当はBさんなのか?
さらに③の場合、AさんとBさんの魂が混じり合っていることになるのか?
疑問は尽きないですよね。スピリチュアルなどをやられている方は、
これ、どのように考えられますでしょうか。

さてさて、ということで、もし遠い将来にでも頭部のすげ替え手術が成功した場合、
これは哲学界や宗教界に大きな波紋を投げかけることになると思います。
人間の歴史が始まって以来、ずっと言われてきた魂の問題が、
解決する糸口になるのかもしれません。

その結果、脳が意識のすべてを生み出しているのであり、魂などはない、
そういう結論が出ないともかぎらないですよね。そうすると、
世界中の、魂の存在を前提とする宗教は否定されてしまうのでしょうか?
このようなことからも、この手の手術は、
大きな倫理的な問題をはらんでいるんです。

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