古代はわからない

2018.02.19 (Mon)
福岡県糸島市教委は1日、同市の三雲・井原遺跡で、弥生時代後期(1~2世紀)
とみられる硯の破片が出土した、と発表した。同遺跡は「魏志倭人伝」
に登場する「伊都(いと)国」の中枢遺跡。
外交上の文書のやりとりを実施したとする記述があり、同市教委は、
「文字を書くために使った」とした。

これまでは国内での文字使用は3世紀ごろともされてきた。
今回の発見は日本における文字文化の始まりを考える上で貴重な成果といえる。
弥生時代の硯が確認されたのは今回で2例目。田和山遺跡(島根県)
で出土していたが、権威の象徴とみなされていた。
現地説明会は3月5日午後2時。
(毎日新聞)

このお題でいきますが、今回は伊都国の話はしません。じゃ何の話かというと、
弥生時代における硯の出土は、これが日本で2例目なんですが、
1例目は、引用にあるとおり島根県の「田和山遺跡」というところで出ています。
この田和山遺跡については、前に祟りの話と関連して書いていますので、
興味のある方は関連記事を参照して下さい。  関連記事 『心霊スポットその三』



さて、田和山遺跡は島根県、松江市にある複合遺跡で、
縄文時代から古墳時代までの遺跡が重なっているようですが、最も特異なのは、
高さ36mの山の頂上部分が、厳重な3重の環濠に囲まれていることです。
これは出土土器から、弥生中期のものと考えられています。
実年代だと、前2世紀~1世紀頃ですかね。

下の画像を見て下さい。周囲の家などと比べても、けして広い面積ではないですよね。
いったいここに何があったんでしょうか?今回はそれを考えてみたいと思います。
まず、田和山遺跡の出土品は、弥生土器、石鏃、磨製石剣、石包丁、石斧、
多数のつぶて石、硯の破片などです。朝鮮半島系の土器もあるようです。



この磨製石剣は実用的なものではなく、儀式用と考えられています。
また、つぶて石はかなりの大きさがあります。
弥生時代の戦闘においては、投石は一般的な攻撃手段でしたが、
この石は投げるには大きく、葺石だったのではないかという説もあります。
ただ、上から下に投げ落とすため、大きくても問題ないとする意見もあります。



環濠に囲まれた頂上部には、人が住む竪穴住居跡はなく、そのかわりに
9本、5本とまとまった柱跡が見つかっています。このことから、
神殿状の建物があったのではないかとも考えられていますが、
上部の構造はわからないので、柱だけが立っていた可能性もあります。
また、竪穴式住居は環濠の外に20棟ほど見つかりました。

① 逃げ城説・・・敵の襲撃があったときに立てこもって闘うための場所。
だとすれば、つぶて石があるのはうなずけますが、
なぜ住居ごと環濠で囲まないのかわかりません。
それに、山頂部は逃げ城にしては狭い気がします。
また、柱跡がどうして必要だったのかも謎になってしまいますね。

② 見張り台・のろし台説・・・たしかに見晴らしはよく、
他に高さのある山もないので、宍道湖まで望むことができます。
ですが、そうすると環濠がある意味がよくわからなくなってしまいます。
たかが見張り台を、そうまでして守る必要があるのか。

③ 食料倉庫説・・・収穫した作物、あるいは種籾などを保管して
守っていたという説。しかし、わざわざ収穫した物を低いとはいえ山頂部まで
運び込むのは手間であるような気もします。ただ、他の地域でも、
住居のない食料貯蔵穴だけが環濠で守られていた例はあります。

④ 産屋説・・・妊娠した女性がそこで出産をしたという説。
これも前に書きましたが、『古事記』『日本書紀』に、
「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」という、
日本最古とされる歌があり、スサノオノミコトが詠んだとされます。
新婚の妻の、おそらく出産を守るためにたくさんの垣根で囲んだという意味ですが、
このことを踏まえ、産屋だったのではないかという説があります。

⑤ 模擬戦闘施設・・・何らかの儀式的な模擬戦闘を行う施設だったのではないか
という説です。磨製石剣が出ているし、つぶて石のこともあるので、
その可能性は否定できないですね。石斧は戦闘指揮用かもしれません。
それにしては大がかりな気もします。うーん。

⑥ 神殿説・・・神の宿る神聖な場所だったとする説です。
後の出雲大社につながる神殿状建物があった。神が降りる依代としての柱が立っていた、
硯破片が出ているように、大陸から渡った宝器、銅鐸などをしまっていたとする説。
これらをひっくるめて神殿説としました。

さてさて、まだ他にも考えられる説はあると思います。
じゃあこれ、お前はどう考えるのか、と聞かれると困ってしまいます。
ありきたりですが、あえて言えば⑥の神殿説でしょうか。
このように、古代ってよくわからないんですね。特に宗教がからむと難しい。
地域ごとの特性もありますし、新たな遺跡が見つかるたびに、
困惑するばかりという現状なんです。






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