FC2ブログ

川赤子とヒルコ

2018.03.08 (Thu)
またしても妖怪談義です。前に、「油赤子」を取り上げたので、
今回は「川赤子 かわあかご」でいきたい思います。
さて、どのくらいのことが書けますでしょうか。



石燕の絵は、上部が川の流れ。下部の左側に、水生植物が生えていて、
その中に泣いているように見える醜い幼児がいます。
下部の右側には、筏と釣り竿、魚籠がありますね。
これらにもすべて意味があるはずですが、うーん、どうでしょう。

水木しげる先生によれば、川赤子は「赤ん坊の泣き声を出して人をだます。
可哀そうに思った人間が、赤ん坊を助けようと近づくと、
別の方向から鳴き声を上げ、助けようとした人は、川辺をあちこちさまよい、
最後は足をすくわれて水に落ちる。」という怪異のようです。
ただ、はっきりした民間伝承はないので、
石燕の創作した妖怪である可能性が高いでしょう。

詞書は、「山川の もくずのうちに 赤子のかたちしたるものあり
これを川赤子と いふなるよし 川太郎 川童の類ならんか」

意味はわかりやすいですね。山川のゴミ、塵芥などが集まって、
赤子の形をしたものができることがあると言われる。
川太郎、川童の類いなのだろうか。「川太郎・川童」はどちらも河童の別名です。

まあ、これを子どもの河童とすれば、話は簡単ですが、
もう少し考えてみましょう。まず、左手前にあるのは、
イモ類の水生植物のようです。これ、もしかしたらクワイかもしれません。
クワイはオモダカ科の水生多年草で、漢字で「慈姑」と書きます。

一つの根にたくさんの塊茎がつくその姿が、子供を慈しみつつ哺乳する母(姑)
のように見えることからつけられたと言われています。
もしかしたら、これは「赤子」というのにかけられているのかもしれません。
ちなみに、自分はゆでたクワイはけっこう好きです。

クワイ
名称未設定 5

あとは、釣り竿で思いつくのはエビス様です。
エビス様は漢字で「恵比寿様」と書き、七福神の一人で、右手に釣り竿を持ち、
左脇に鯛を抱える姿で描かれることが多いですよね。
関西では「えべっさん」として親しまれ、漁業・商業の神と考えられています。

で、エビスは漢字で「蛭子」と書く場合もあって、
これは「ヒルコ」とも読まれ、『古事記』では、イザナギとイザナミの二神から
最初に生まれたんですが、子作りの際に、女神であるイザナミから先に、
男神のイザナギに声をかけた事が原因で、不具の子に生まれたため、
葦の舟に入れられオノゴロ島から流されたことになっています。

最初に生まれた神が不具であったとする神話は、
東南アジアの各地に見られ、それが日本に伝わってきたのではないかと
考えられています。ヒルコはエビス様と、室町時代頃までに結びついて、
同一視されるようになりました。漂着物の神、水の神とされることが多いようです。

『妖怪ハンター』のヒルコ


では、「川赤子」はヒルコなのか。その可能性はあると思います。
つまり、川に流された赤子ということですね。
自分はインドで、ガンジス河を船で下ったことがあるんですが、
そのとき、何重にも布でくるまれた幼児らしい死体が
川に浮いて流されているのを見ました。江戸時代の石燕の頃にも、
そういうことがあっても不思議ではないと思います。
「エビス様」というのは、水死体の隠語としても使われていますね。

さてさて、川赤子は、何かの事情で川に流された
赤ん坊の死体ということなのかもしれません。ただ、筏がよくわかりません。
もし何かおわかりの方がいれば、コメント欄に投稿していただければ
ありがたいです。で、こっからは無理にこじつけてまとめます。

日本神話には、少彦名(スクナヒコナ)という神がいて、
体はとても小さく、ガガイモの実の船に乗って海の彼方からやって来て、
大国主命の国造りを手伝ったことになっています。
これが何か関係があるでしょうか。まあ、たぶんないでしょう。
でも、大国主命は大黒様とも言いますよね。ということで、
最後に、恵比寿、大黒がそろって、めでたい話の終わりかたになりました。

大国主と少彦名







関連記事
スポンサーサイト




トラックバックURL
http://scoby.blog.fc2.com/tb.php/1395-9453419f
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する