神隠し

2013.07.13 (Sat)
うちの昭和7年生まれのばあさんの、
さらにばあさんが子どもの頃の事だから、
明治か江戸時代??かもしれない話。
それがわが家に伝わってきたのを書いてみる。

そのばあさんが12歳ぐらいのときに神隠しにあった。
当時は里子に出されたり人買いに売られたりなんてこともあったそうだが、
そういう親が事情を知っていて、いなくなったのではなく本物の神隠し。

夕方、赤子の弟の子守をしながら裏をぶらついていたと思ったら、
いつのまにかいなくなって、
赤ん坊だけがおんぶ紐といっしょに草の上で泣いていた。
集落の若い者大勢が出て探したが見つからない。そのうち夜になって、
街灯もない頃だから明日の夜明けからまた探そうということになった。

そうしたら当時のじいさん(俺から見れもはや遠い先祖)が、
女の子の神隠しは、神おろしの憑坐(よりまし)
にしようとしてさらっていった場合が多い。
憑坐の手順には普段使ってる櫛が必要で、
さらっていった者か術をかけられた本人が取りにくることがある。
だから櫛を隠しておけば、
目的が果たせなくなって子供が返されることもあると言って、
箱に入れて自分が寝ている納戸に持っていった。

それからじいさんは「本当はネズミがいいんだが時間がない」と言いながら、
大きなガマを捕まえてきて、鎌の先で腹を割き、
内蔵を櫛にまんべんなく塗りつけた。
同時にアワかなにかの実をぱらぱらふりかけた。

その晩、じいさんが櫛の箱を枕元に置いて寝ていると、
なにかがやってきた気配がある。
じいさんは起きていたんだが、体が動かないし、叫ぼうとしても声も出ない。
そのときに笹みたいな匂いが強くしたそうだ。
何かかなり大きな妖物がきている圧迫感がある。
妖物は枕のすぐ上にある櫛箱に手をかけたようだが、
ビーンと弾く音がして、さらにパシッと叩きつけられたような固い音がする。
そして「けがれ・・・」という咳が言葉になったような声がして、気配が消えた。
しばらくじっとしていたら体が動くようになったんで、明かりをともしてみると、
櫛が箱から出て床に落ちており、櫛の歯がばらばらに折れていたそうだ。

で、ばあさんは、昼前に集落の氏神の森から歩いて出てくるところを見つかった。
本人にさらわれていた間の話を聞いてみても、まったく要領を得ない。
木の葉がゴーッと鳴って目の前が白くなり、立っていられなくなってうずくまると、
背中の赤子がまだしゃべれないはずなのに、
「か・し・こ・み」と一語ずつはっきりと声に出した。
さっと太い腕でかつがれた感じがして、
そのあとは貝の裏側のように虹色にきらきら光る場所でずっと寝ていた。
まぶしくて目を覚ますと、
鎮守の森の入り口のあたりにいたんで家に戻ろうとしたと言う。
まあこれだけなんだけど。

*沖縄県では、神隠しを物隠しとも呼び、いったん物隠しに逢った者は
自分の櫛を持って帰ろうと戻って来る。そして再び出て行ってしまうとされる。
その為、物隠しに逢った家族は早速当人の櫛を隠して取られないようにする。
それでも、締め切っている部屋の中から知らない内に取られてしまうこともある。
研究者によると、櫛と神の関係をよく示している伝承としている。(Wikiより)






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コメント
訪問者リストから来ました。
とても興味深い話ばかりです!
特に菊理姫さまの忌み言葉は心打たれました。
神社の清明を保つため、人命まで断ちなさるとはさすがに神さまでございます。
makakaraten | 2014.08.05 19:05 | 編集
コメントありがとうございます
自分は日本の古神道の八百万の神は必ずしも
人間から見て善を為すものとは考えてはいません
むしろ、人間から見て超絶的な理不尽を為すものも
中にはあったのではないでしょうか
だからこそ畏敬されていたのだと思います

よろしければここでの議論を参照してみてください
http://nazolog.com/blog-entry-4883.html
bigbossman | 2014.08.05 22:16 | 編集
ありがとうございます。読ませていただきました。
人間界における善悪の倫理基準は神さま側には通用しないことがたくさんございますね。
どなたかが、本当の神様は祟らないと文中で言っておられますがとんでもない。
菊理姫様に限らず、本当の神様は祟るのですよ。
神社で頓死した例なんぞ、古来からゴマンとありますね。
例えば喪中に鳥居をくぐって死んだ人。
神憑りの皇后の言葉を信じず殺された天皇。
むしろ祟らないのは仏ですな。だから神威が今よりはるかに厳しかった古代において、ややゆるやかな仏教がもてはやされたのでしょうね。
忌み言葉は一般的な神社マナーとして公開されているものがたくさんありますが、よろしければ向後のためにお教えいただけないでしょうか。
makakaraten | 2014.08.06 13:05 | 編集
返信ありがとうぞざいます
神がかりした神功皇后の言葉を聞かずに身罷られたのは仲哀天応でしょうか
お詳しいですね
自分の話には神社系のはたくさんあるんですが、
仏教寺院はあまり出てきません
どちらかというと、神秘的、超自然的というより
厳しい学問という印象があります
bigbossman | 2014.08.06 22:48 | 編集
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