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ホーキング博士追悼

2018.03.15 (Thu)
「車いすの天才宇宙物理学者」として知られる、
英国のスティーブン・ホーキング博士が中部ケンブリッジの自宅で死去した。
76歳だった。英メディアによると、家族の関係者が14日、明らかにした。

ホーキング博士は、量子力学や一般相対性理論などを駆使して、
1960年代後半にブラックホールの存在を示したほか、83年には、
宇宙の始まりを解明する「無境界境界条件」論を展開するなど、
新しい宇宙理論を提唱。現代宇宙論の進展に大きく貢献した。

同博士は42年、中部オックスフォードで生まれた。オックスフォード大、
ケンブリッジ大大学院を修了、カリフォルニア工科大教授を経て、
77年ケンブリッジ大キース・カレッジ教授、79年には、
かつてニュートンが就いていた権威ある同大のルーカス記念講座教授職を務めた。

大学院生時代に筋肉が衰える難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発病したが、
学究生活を続け、74年、最年少の32歳で英国学士院会員に選ばれたほか、
アインシュタイン賞、ハーバード大名誉科学博士など多くの賞や学位を獲得した。

(ロンドン時事)



ということで、今回はこの話題でいきたいと思います。
ホーキング博士は、当ブログでは、水木しげる先生や、西丸震哉氏などと並んで、
個人名が最も多く出てこられる方の一人なんですね。
学説もあれこれご紹介させていただきました。心よりご冥福をお祈りいたします。

76歳ということですが、イギリスの男性の平均寿命には届かないものの、
ALSという難病を抱えた状況では、十分に長生きだと思いますし、
考えうる最高の治療を受けられてきた結果でしょう。そういう意味では、
ご本人もあまり悔いが残らなかったのではないかと思いたいですね。

さて、ホーキング博士の業績としては、引用記事でもいろいろあげられていますが、
最大のものは、ホーキング放射とブラックホールの蒸発問題に関連して、
「ブラックホール情報パラドックス」についての議論が世界的に
高まったことではないかと、個人的には思います。

例えば、重要な内容の手紙があったとします。これを燃やして灰にし、
その灰をあちこちにバラバラにふりまけば、
手紙に書かれていた情報は永遠に失われてしまうのか?
物理学の世界では、この場合、情報は失われないと考えます。

なぜなら、それらの灰を全部集めて、元の手紙の状態に戻すことは、
理論的には可能とされるからです。(技術的にはまあ不可能ですが)ところが、
ホーキング博士は、ブラックホールが長い時間をかけて少しずつ蒸発していくことを
提示しました。その場合、ブラックホールに落ち込んだ情報は
永遠に失われてしまうのか? だとすれば、科学的方法の原則から外れています。

そこで、世界の科学者が知恵を出し合って考えました。
ホーキング博士は、相対論が専門なんですが、この問題は、相対論と量子力学を
結びつける「量子重力理論」の必要性をあらためて世界の学者に突きつけたんですね。
問題の解答として、現状では、ブラックホールに落ち込んだ情報は、
ブラックホールの表面に2次元的に保存される、と考える学者が多いようです。

さて、ネットの掲示板に、ホーキング博士死去に関するスレが立っていたので、
見てましたら、「ノーベル賞がもらえなかったのは残念」
という声がけっこうありました。ただこれは、はじめから、
博士の研究分野がノーベル賞をもらえる可能性が
少ないことは、ご本人も十分承知していたと思われます。

前にも少し書きましたが、ノーベル賞は、ノーベル自身が土木工事などで役立つ
ダイナマイトを発明したこともあり、実証的、実用的な研究に
与えられる傾向が強いんですね。ある理論がつくられてから数十年後にそれが実証され、
受賞につながったというケースは珍しくはありません。

関連記事 『ノーベルとニトロ』

ホーキング博士の場合も、博士が提示したブラックホールの蒸発、ホーキング放射が、
もし大型加速器の中で実際に観察されれば、受賞の対象となったのかもしれませんが、
これは「超ひも理論」が説く、余剰次元の存在と深く結びついており、
余剰次元はあるかどうかもわからないので、そう簡単な問題ではないんです。

さて、ホーキング博士は晩年、現代文明に対する警鐘のような発言が多くなり、
「100年以内に人類は滅ぶ!」 「100年以内に他の惑星を植民地化し、
コロニーをつくっておく必要がある」 「人類を滅亡させないため、世界政府樹立を」
などといったことを述べておられました。これ、一見トンデモのようですが、
自分は、十分に考えておく価値のあることじゃないかと思います。

あと、死について、「人間の死は、コンピュータが壊れるのと同じで、そこで終わりで、
あの世の世界はない。あの世の存在は、死を恐れる人たちのファンタジーでしかない」
と新聞のインタビューで述べられていまして、これについて、
自分はよく言ったなあと、かなり高く評価しているんです。

もちろん、死後の世界があるかないか、これはどちらも証明されていません。
ですから、ホーキング博士の発言は、科学的な理論ではなく、
個人的な心情の表明ということになります。ただ、日本とは違って、
キリスト教の影響が強いヨーロッパで、これを言うのはなかなか大変なことです。

で、自分は、このような意見も当然あっていいと思うんですね。
世界では、歴史的に、宗教を原因とした大きな戦争が何度も起きていますし、
現在も、エルサレム問題など紛争の火ダネがくすぶっています。
宗教やスピリチュアルが、好き勝手にふるまうことに対する予防装置として、
大きな働きをするんじゃないかと考えます。
権威を持った誰かが、発言しておくべきことだったと思いますね。

さてさて、この世を旅立ったホーキング博士は、
壊れたコンピュータのように、無の中に消えたのか。それとも、
あの世で目を覚まして、「あれ?、もしかして間違えたかな?」
と思っておられるのか、どちらなんでしょうかねえ。








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