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ヴィーナスとマーズ

2018.03.16 (Fri)
宇宙開発を押し進めるスペースX社CEOのイーロン・マスク氏は、
テキサス州オースティンにて開催されたSWSX(サウス・バイ・サウスウエスト)に登壇し、
なぜ人類は火星にコロニーを建設しなければならないのかについて語っています。
 
マスク氏は、人類が大気汚染や第3次世界対戦、AI(人工知能)の暴走などにより、
暗黒の未来を迎える可能性を示唆。そこで、火星や月にセーフティーネットとして
コロニーを建築し文明を維持することで、そのような暗黒時代を
「短縮」できるとしているのです。また、AI技術の過度な発展に対する懸念に
ついても以前と同じく触れています。
(sorae.jp)



今回のお題はこれで行きます。火星への植民地建設についての提言なんですが、
まあ、スペースX社は宇宙輸送が業務ですので、CEOがこう言って、
仕事を増やそうと考えるのは当然でしょうね。ただ、昨日 訃報をお伝えした
ホーキング博士も、最近、この内容のことを強く述べてました。

火星にコロニーをつくる目的の一つに、人類のリスクを分散するということが
あります。もし、核戦争やら大規模な自然災害で、地球が壊滅的な被害を受けた場合、
火星コロニーからの支援によって立ち直りが早くなるし、
最悪の場合でも、火星に人類の種子を残すことができるということなんでしょう。

これはもちろん、植民の候補は月でもいいわけですが、
例えば天体衝突などの大災害が起きた場合、
(直径10km程度の小惑星が地球に落ちてくれば、まず人類は滅亡します)
地球に近い月では心もとない面もあります。

ここにきて、火星以外の候補として、金星を押す声が高くなってきてるんです。
アメリカ、NASAの宇宙ミッション分析部門では、
最終的に人類の恒久的な移住を目指すなら、火星へのミッションよりも、
金星への有人飛行の方が現実的だという分析結果を出してるんですね。

そこで、火星と金星、どちらがより移住にふさわしいか、
当ブログでも少し考えてみたいと思います。太陽系の惑星について、
よく、「水・金・地・火・木・土・天・海・冥」 と言いますが、これは、
太陽に近い順に惑星を並べたもので、地球は金星と火星にはさまれていて、
金星がより太陽に近いわけです。当然、金星は暑く、火星は寒いことになります。

地球、金星、火星の大きさの比較


さて、では、どちらがより地球に近いか。火星も金星も楕円軌道で
公転していますが、地球から火星までの最小距離は約7800万km、一方、
地球から金星までの最小距離は約4200万km。かなり金星のほうが近いですね。
もし、植民地を建設するなら、ひんぱんに支援物資を届けなくてはなりませんが、
どれだけ技術が進んで宇宙船の速度を高めても、
火星へ行くには、金星の2倍近い日数がかかってしまいます。

次に、環境面を比較してみましょう。火星は、ごく薄い2酸化炭素の大気は
あるものの、宇宙からの放射線を、ほとんど防ぐことができません。
気温は、平均表面温度は-43℃で、最低温度は-140℃の極寒です。
火星の表面重力は地球の1/3。あと、これはあまり言われることはありませんが、
太陽からの光熱エネルギーの量は、地球よりも遠いため、半分程度になります。

金星はどうでしょう。太陽に近く、厚い2酸化炭素の大気があるため、
猛烈な温室効果を起こして、赤道付近の気温は500℃にまで上がります。
そこに硫酸の雨が降るという過酷な環境です。SF小説では、はじめの頃は
金星人が出てくるものが多かったのですが、この状況が知られるにつれて、
火星人のほうが人気が高くなりました。

また、金星の大気がぶ厚いため、地表は90気圧にもなります。
地球だと、水深900m以上の深海に相当します。
ここまで見てきて、これはダメだろうと思われた方が多いでしょうが、
金星に有利な点もあります。重力がほぼ地球と同じなんですね。

この間、日本の宇宙飛行士の金井さんの身長が無重力下で伸びたという話題が
ありましたが、低重力は、人間の全身にさまざまな影響を及ぼしますし、
妊娠、あるいは乳幼児の成長がどのようになるかのデータがないんです。
おそらく、そのままではまともに成長できないと思われます。
じゃあ人工重力をつくればいいと言っても、現在の技術では難しいでしょう。

ここまで比較して、自分は、金星のほうが植民先として有利そうだなあと考えます。
その決め手になるのは、金星の、2酸化炭素、硫酸、硫黄が入り混じった
有毒な大気にあります。日本人は福島原発事故で、放射線を防ぐ
困難さを知ってますが、これで宇宙からの放射線が遮断されるのは大きいです。
それと、太陽フレアによる電磁波なども防いでくれます。

もちろん、金星の500℃、90気圧の地表には住めません。
そこで、考えられているのは「フローティングシティ」の構想。
金星の空中に浮かぶ都市です。金星の大気は比重が大きいため、
地球の空気を入れた飛行船は浮くことができます。
そこで、金星の上空に巨大飛行船を何隻も浮かべて連結し、植民都市とする。

金星の高度50km地点では、大気圧がおよそ1気圧、気温が0~50℃と、
人類が住むのに問題はありません。また、飛行船に空気をつめて、
その中で人間が生活すればいいわけで、これは一石二鳥とも言えます。
こう考えると、けっこう現実的な気もしますね。

さてさて、最後に、ギリシア神話では、金星はヴィーナス(Venus)を象徴します。
ごぞんじのとおり「愛と美の女神」です。火星はマーズ(Mars)。
赤味がかって見えるため、「怒れる軍神」と考えられました。
また、金星は日本でも、ひときわ明るく輝き、「明けの明星・宵の明星」として
縁起のよいものとも考えられてきました。ということで、今回はこのへんで。

アレクサンドル・カバネル 「ヴィーナス誕生」






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