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名剣の話

2018.03.19 (Mon)
素盞嗚命と八岐大蛇


今回はこのお題でいきます。ファンタージー系のRPGなどでは、
重要なアイテムとして、剣が出てきますよね。その剣自身が不思議な力を
持っていて、それを帯びる者にさまざまな利益を授けてくれる宝です。
この名剣、宝剣の話は、西洋にも東洋にも古くからあるんです。

ちなみに、これはご存知の方も多いと思いますが、剣はふつう、
両刃のものを指します。そして、多くの場合、片手には楯を持ち、
もう片方の手であつかいます。ファンタジーでは、両手で持つ剣は特に、
ツーハンデッドソードと言ったりもしますね。

さて、古代から、剣は3つの役割を持っていました。
一つは実用的な武器としての役割。最初は固い木の棒を武器としていたのが、
やがて木の先に石をくくりつけた石斧が生まれ、金属の発見・利用とともに、
青銅の剣、鉄製の剣と進化していったわけです。鉄剣は固いだけでなく、
ねばりがあって折れにくいので、持つ者の戦闘能力が飛躍的に高まりました。

中国 春秋時代の鉄剣


二つ目は、威信財としての役割。鞘を黄金製にしたり、
柄に宝石をつけたり、彫刻を施したりして、それを持つ者が、
一目で高い身分であるとわかるようにするための物です。ただ、威信財は、
杖とか首飾り、宝冠など、剣以外にもいろいろあります。

三つ目は破邪のための役割。現実的な敵の勢力だけでなく、目に見えない魔物を
追い払う力を持つとされました。現在でも、お通夜のときに、
遺体の傍らに小刀などを置いて、遺体にとりつこうとする邪気を近づけない
ようにするという風習を守っている地方もあります。

さて、日本の武器というと、片刃で、
両手であつかう日本刀のイメージが強いですが、
日本刀が武器として主流になったのは平安時代末頃で、それまでは
剣と刀が入り混じっていました。ただ、日本神話に出てくるのは、
「草薙剣 くさなぎのつるぎ」などの剣が多いんです。

鉄刀と鉄剣


これは、三種の神器の一つとして皇室に伝わっているものですが、
「素盞嗚命 すさのおのみこと」が「八岐大蛇 やまたのおろち」を
この剣で倒したと誤解している人が、けっこういるんですね。そうじゃなく、
切り刻んだ八岐大蛇のしっぽから出てきたものです。ただしこのときは、
まだ「天叢雲剣 あめのむらくものつるぎ」と呼ばれていました。

後に、この剣は、日本各地の賊を討伐するため「倭健命 やまとたけるのみこと」
に託され、焼津で敵に囲まれて草に火をつけられた倭健命は、
草を薙ぎ払って火を消して逃れ、ここから草薙剣という名前に変わりました。
ただし、研究者によって「草薙剣」と「天叢雲剣」は別物だとする人もいます。

倭健命の死後、形見となった剣は、妻であったミヤズヒメの手によって
尾張で祀られ、そこに熱田神宮が建造されました。
ですから、草薙剣は、現在も熱田神宮の御神体として、
守り続けられていることになります。

ここで、あれ変だな、と思われた方もいるんじゃないでしょうか。
三種の神器は宮中に置かれて、天皇の即位の儀式などに用いられましたし、
南北朝時代には、三種の神器を持つほうの王朝が正統だということで、
激しい争いがくり広げられています。

でも、これらは形代(かたしろ)なんですね。形代はレプリカですが、
単なる模造品というわけではなく、本体から分霊され、同じ力と働きを
持つとされました。源平の争いのときに、8歳の安徳天皇とともに壇ノ浦に沈んだ
とされるのも、この形代の一つです。

剣の話からは離れますが、同じ三種の神器の一つである
「八咫鏡 やたのかがみ」も、記録にあるだけでも3度、内裏の火事で
焼けてしまっていますが、それも形代で、本体は伊勢神宮で祀られ、
誰も見ることは許されません。

この八咫鏡と、明治時代の初代文部大臣、
森有礼の暗殺についての、じつに興味深いオカルト話があるんですが、
今回ご紹介するのは無理のようです。
興味を持たれた方は、ご自分で検索してみて下さい。

さて、日本の三大宝剣(神代三剣)というと、この草薙剣の他に、
「天十握剣 あめのとつかのつるぎ」と「布都御魂 ふつのみたま」
があげられることが多いですね。天十握剣は、日本神話のさまざまな場面で登場し、
異称も多いので、一本の同じ剣を指しているのではないのかもしれません。
「十握」というのは、刀身の長さが拳10個分という意味で、
長剣を表す一般名称とも考えられます。

もう一つの布都御魂は、「武御雷 たけみかずち」の神が、
この剣をもちいて大国主命をおどしつけ、
「葦原中国 あしはらのなかつくに」を国譲りさせたことで有名です。
現在は、奈良県の石上神宮にあることになっています。
「フツ」という物を切るときの音が、名前の由来のようですね。

さてさて、はじめは、アーサー王のエクスカリバーや、中国の干将・莫邪
(かんしょう・ばくや)の剣などについてもご紹介するつもりだったんですが、
日本のことを書いてるうち、異様に長くなってしまいました。
いったん終わりますが、また続きを書く機会もあると思います。では、このへんで。

三種の神器 イメージ






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