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悪魔との契約

2013.10.24 (Thu)
 前に書いた「クロスロード伝説」は悪魔との契約の話ですが、
これも欧米では一つの小ジャンルとして書き継がれています。
ポーやチャールズ・ボーモントの作が有名ですが、
ホラーというより、どうやって狡猾な契約者が悪魔を出し抜くかという悪知恵が描かれた、
ウイットに富んだ物語が多いようです。
もちろん最も有名なのはゲーテの『ファウスト』なんですが、これはホラーというより文学です。
ホラーとしての代表作はウィリアム・ヒョーツバーグという人が書いた『堕ちる天使』でしょう。
ミッキー・ローク主演で『エンゼル・ハート』という題名で映画化されており、
こっちのほうで知っているという人も多いと思います。

 「原作は、その凄惨な内容から「悪魔のバイブル」とも呼ばれ、アメリカでは廃刊運動まで起こった」
とWikiにありますが、それほどひどい残酷描写があるわけでもありません。
ただ最終的に悪魔の勝利を描いた物語であり、そのあたりが忌避されたのかもしれません。
映画のほうは原作にないニューオリンズに舞台を変えたりもしていますが、
それ以外はそこそこ原作に忠実に作られていました。
監督が『ミッドナイト・エクスプレス』のアラン・パーカーなので、
全編にわたって凝ったスタイリッシュな映像で撮られており、
そこを嫌味と感じるかどうかで評価が分かれるのではないでしょうか。
あと、自分はホラー映画では監督が血の色をどう描くかをいつも注目して見ているのですが、
この映画のはなかなか気に入りました。

 物語はハードボイルドタッチで始まり、だんだんにオカルト色が入り込んできます。
このあたり、映画ではハードボイルドにふさわしいシナトラ風の音楽が、
ブードゥの呪歌に変わっていくという形で効果的に表現されていましたね。
作中全体に漂うのは膚を灼くようなじりじりとした不安感で、これは記憶喪失した主人公が、
自分が過去に犯したかもしれない罪悪、そして現在知らずに犯しているかもしれない罪悪、
そして罪悪を犯すのを楽しんでいるのが本当の自分なのではないかということ、
それらをうすうすと感じ取っているがための不安です。
 この無意識に人が持っている罪悪感のようなもの、
これはホラーの怖さを支える一つの大きな要素だと思っています。

『Angle Heart』


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