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「腸脳相関」って何?

2018.04.25 (Wed)


今回はこのお題でいきます。以前に「腸内フローラ」について書いていて、
その続きのような内容です。少し前までは、
腸内細菌なんてほとんど注目されていませんでしたが、
だんだんに、腸と脳が密接な関係にあること。
そして、その関係には腸内細菌が深く関わっていることがわかってきて、
医学・生理学の最前線といえる分野になりつつあるんです。

日本では、昔から「腹の虫がおさまらない」という慣用句があり、
「しゃくにさわって怒りが収まらない」という状態を表しています。
これ、じつはかなりの部分が正しかったんですね。人間の感情や思考は、
「腹の虫」である腸内細菌が操っているとまで言えそうなんです。

さて、まず、腸と脳を比べて、どちらが第一義的な器官かを考えると、
これは腸と答える生物学者が多いでしょう。人間が進化の過程で、
脳の構造を複雑化させる以前には、腸が体を支配していたのではないか、
と思われるフシがいくつもあるんですね。

例えば、原始的な生物であるミミズは、体が一本の腸管でできています。
頭のほうには、小さな神経のかたまりがありますが、
脳と呼べるほどのものではありません。このミミズの場合、腸のほうから、
「食物をとれ」という司令が出されているようなんです。
もちろん、ミミズの腸内には細菌がすんでいます。

ここまで読まれて、どうせミミズなんて下等な生物での話だろ、
と思われるかもしれませんが、腸内細菌が性格や思考に影響を与えることは、
実験用マウスによっても確かめられています。
完全な無菌環境で飼育した無菌マウスは、警戒心が薄く、危険で大胆な行動を
平気でとる一方、性質が不安定なことが知られています。

実験用マウス


この無菌マウスを、通常の環境で飼育した腸内細菌を持ったマウスと
比較すると、神経伝達物質のドーパミンが2倍以上も多く検出されました。
ドーパミンは「やる気ホルモン」とも言われ、生存に欠かせないものですが、
過剰に生産されると、統合失調症の引き金になると言われます。
そのドーパミンの腸内での生産量を、腸内細菌が調節していたんですね。

さらに驚くべきことに、腸内細菌を持ったマウスを、
社交的な性格のグループと非社交的なグループとに分け、一匹一匹の
腸内細菌を入れ替えてみると、なんと、その性質が一定期間で
ほぼ完全に入れ替わってしまったんです。
これ、本当だとすれば、すごい話だと思いませんか。

では、人間ではどうでしょう。昨年、UCLAの消化器病専門医である
キルステン・ティリッシュ博士とそのチームは、18歳から55歳までの
健康な女性40人から採取した便をサンプルとした腸内細菌組成から、
被検者を2つのグループに分類しました。

一つは、バクテロイデスと呼ばれる細菌属が腸内に豊富にいるグループ。
もう一方はプロボテラと呼ばれる細菌群が腸内に豊富にいるグループです。
そして、それぞれのグループに、ネガティブ、ポジティブ、その中間
の画像を見せ、同時に脳内の血流をMRIでスキャンしました。

すると、ネガティブな感情を誘発するようなイメージを見せられたとき、
プロボテラが豊富なグループの被検者は、バクテロイデスが
豊富なグループの被検者より、脳の海馬の活性度が低く、
イメージを見ることによって、不安やストレスなどを抱きやすい
ということが判明したんですね。



それだけではなく、脳自体の構造が2つのグループで異なっていたんです。
バクテロイデスが豊富なグループの被検者の脳は、
前頭皮質と島皮質に厚い灰白質が見られ、
記憶をつかさどる海馬の領域も大きくなっていました。

一方、プロボテラが豊富なグループの被検者の脳では、注意力や感情、
感覚をつかさどる領域の脳内ネットワークが、
バクテロイデスが豊富なグループの被検者の脳より活発だったんです。
これは、腸内細菌が、宿主である人間の脳の構造をつくり変えている
と言ってもいいのかもしれません。

とすると、将来的には、もし活発で社交的な性格になりたければ、
この種の腸内細菌を導入するとか、近々大きな仕事があるので、
ストレスに負けない状態にするため、腸内のこの細菌を増やそうとか、
そういうことができるようになる可能性があるんです。

さてさて、腸内にいる細菌の種類によって、脳の構造までが違ってくるというのは、
少し怖いような気もします。人間一人一人の性格に違いがあるのは、
親から受け継いだ遺伝的な影響が大きいんでしょうが、
腸内細菌もそれに一役買っているみたいなんですね。



まるで、人間ガンダムを、操縦者である腸内細菌が運転してるみたいです。
ということで、この話を知ってから、自分はできるだけ腸内の状態に
気を使うようにしています。どのくらい効果があるのかわかりませんが、
市販されているその手の飲料なんかも積極的に飲むようにしてるんです。
では、今回はこのへんで。

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