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軽めの話 2題

2018.04.26 (Thu)
今回は、自分が収集した話の中から、比較的軽めな・・・軽めというのは、
誰も亡くなったりした方のいない、そういうものを2つご紹介したいと思います。
まず、最初に登場されるのは、不動産業界に30年以上もおられるNさん。
Nさんには、自分が親から相続した土地を売却する件でたいへんお世話になりました。
「Nさん、不動産業界って、よく怖い話の宝庫って言われるじゃないですか。
 何かその手のものご存知でしょうか?」 「そうですねえ・・・
 いやでも、幽霊というのを見たことはないです。それに、仲間内でも、
 幽霊を目撃したって話は聞いてないですね」 「へええ、そんなもんですか」
「ただねえ、どうしても説明のつかない奇妙なことってのはありますよ」
「あ、よろしければぜひ」 「あれはね、まだ私が20代の頃ですよ。
 使い走りのペーペーで、重要な仕事は任せてもらってなかった」 「はい」

「でね、そんときの会社が所有してる物件の見回りをやってたんです。
 募集かけててもなかなか人が入らない部屋とか、地上げのために寝かせてる一軒家とか」
「はい」 「そん中でね、あるアパートの一室で変なことがありまして」
「はい」 「たしか3階建てだったはずで、1階に5部屋、全部で15部屋。
 そのうちの3階の一番奥の部屋でした」 「それ、築どれくらいだったんですか?」
「いや、新しいんですよ。6年じゃなかったかな」 「事故物件とかですか?」
「それが、まったくそんなことはなかったんです」 「続けてください」
「月に1度ね、見回りに行くんですよ。異常がないか確かめに。でも、
 鍵を閉めきってるし、電気水道も止まってるんだから、異常なんてあるはずない」
「はい」 「だから、窓開けて換気したり、ホコリを掃除したりするだけで」
「はい」 「ところがね、その部屋、いつも行けば、押し入れが少し開いてたんです」

「ははあ」 「変でしょ。その部屋に出入りしてるのは私だけです。で、もちろん、
 押入れなんて開けないし、出るときに閉まってるのは確認してるし」
「うーん、押し入れに中には何が?」 「いや、空です」
「何回くらいあったんですか?」 「3回ですね。毎月見に行くと開いてる」
「そのたびにNさんが閉めてた」 「そうです。でね、3回目はさすがにね、
 これは何かあるんだろうと思って策を考えたんです」 「はい」
「何かのときの修繕に使えるんで、車にガムテープ入れてまして」 「はい」
「それを、くっつくほうを表にして丸め、押入れの戸の前に置いたんです。
 もし、押入れから何かが出てきてるなら、跡がつくんじゃないかと思って」
「で?」 「でね、4回目に行ったら、やっぱり押し入れは開いてて、
 丸めたガムテープがなくなってたんです」 「ははあ」

「部屋の中、どこを探しても見つからなくて。もちろん、押し入れの中も調べましたよ」
「よくほら、押入れって天井裏に入れるとこがあるじゃないですか。それも?」
「天袋も持ち上げて見ました。でもおかしな様子はまったくなしで」
「うーん、で?」 「でね、そっからあと4物件くらい回って、
 それから社に戻って事務をして、夕方6時過ぎに家に戻ったんです。
 当時、私は結婚したばかりで、妻が出迎えてくれたんですが、
 玄関で後ろ向いて靴を脱ごうとしたら、キャーってでっかい悲鳴をあげて」
「で?」 「私の背広の後ろに、輪っかになったガムテープがくっついてたんです」
「ははあ」 「これ変でしょ。だって社で事務をしてるとき、何人も同僚に会って
 るんですから。もしそのときについてたなら、誰か指摘してくれたはずです」
「うーん」 「それに車も運転したんだし、シートにもたれたときに、

 べたっとして気がつくはずです」 「まあ、そうですよねえ」
「でもね、怖かったのは、背中にガムテープがついてるくらいじゃ、
 妻があんなに大きな悲鳴をあげるわけはなく、虫、虫って言うんです」
「で?」 「背広脱いで見てみたら、ガムテープの表面にびっしり、
 ムカデとか、小さな蛾とか、ハサミムシみたいなの・・・押入れの中にいそうな
 虫がすき間なく くっついてたんです」 「う」
「丸めて捨てましたよ。それも、家のゴミ箱に入れるのは嫌だったんで、
 外まで持ってって」 「・・・その部屋はどうなったんですか?」
「それが、翌月に入居者が決まりまして。学生さんでしたけど、
 苦情とかないし、大学卒業までいて、次の入居者に代わったはずです」
「うーん、その部屋、今もありますか?」 「いえ、とっくに取り壊されてます」

1441154854和室2押入れ

次の話は、古代史の文化講座で知り合ったDさんという、
元中学校校長だった方です。退職されて、今は悠々自適の趣味生活というご身分。
このDさんと昼食をご一緒しまして、その後にうかがった話です。
「Dさん、じつは自分、ブログで怪談、怖い話を書いてるんですが、
 長い教員生活の中で、その手のお話はあったもんでしょうか」
「怖い話、ですか? そうですねえ、あることはあります。
 幽霊などが出てくるわけじゃないですけど」 「あ、ぜひお聞かせください」
「あれは、私がまだ30歳の頃ですね。当然、学級担任をしていて、
 思えばあの頃が一番楽しかったです」 「はい」
「昭和40年代のはじめでした。マンガの影響でコックリさんが流行ったんです」
「ああ、ちょうど、つのだじろうさんの恐怖新聞の頃ですかね」

「でね、当時 勤めてた学校では、まだ禁止になってなかったんです」 「はい」
「私もうかつでねえ、自分のクラスの女子が放課後にそんなことをしてるとは
 思いもよらず」 「はい」 「一人の女子生徒が、先生、大変、大変って言って、
 職員室に駆け込んできたんです」 「はい」
「手を引かれて教室に行ってみると、机を向かい合わせにして、
 別の女子が向かいあって立ってて、間に、コックリさんの道具がありました」
「はい」 「2人とも、一目で様子が変だってわかりました。
 目がうつろで、体が硬直してたんです」 「で、どうしました?」
「呼びかけても動こうとしなかったんで、女の先生を数人呼んできて、
 2人を抱えて保健室に連れてったんです」 「歩くのはできたんですか?」
「心ここにあらずという感じでしたけど、保健室まで行きました」

「で?」 「そこでね、2人とも、急にしゃべり始めまして、
 私が私じゃないって言い出したんです」 「どういうことですか?」
「そうですね、その子らをAとBとしますと、Aが、私はBだって言って、
 逆にBが、私はAだって言う」 「ははあ、2人が入れ替わったってことですか?」
「ええ、そうだったんです。ああ、これは大ごとになるなって思いました。
 救急車ってことも考えましたが、学年主任と校長に報告したら、
 体の不調はないみたいだから、とりあえず保護者に来てもらおうとなり、
 電話して学校に来てもらったんです」 「で?」
「それで、Aの子の父親が、地元の大きな神社で神職をされてて、
 電話でかいつまんで事情を説明したら、なるほど、わかりましたって」 「で?」
「学校に来られましたら、ここは私に任せてください、っておっしゃられて」

「で?」 「校長も困り果てていましたので、とりあえず言うとおりにしてみよう、
 となって、2人の女の子と、保護者、われわれ教員が、
 2台の車で、その方の務めてる神社に行ったんです」 「で?」
「その子たちは、車の中でも、自分が自分じゃないって言ってパニックになってましたが、
 なんとかなだめつつ連れていきました。あ、それから、コックリさんって、
 10円玉使うじゃないですか」 「はい」 「神職の保護者の方は、それも持って
 いかれたんです」 「で?」 「神社に着いて、2人の子を社殿に上げ・・・」
「お祓いをしたんですか」 「はい、台にのせた小さな丸い鏡を持ち出されて、
 2人の子に、そのまわりをぐるぐる廻るように言ったんです」 「ははあ、で?」
「それで、祝詞を唱えながら、その子らは廻ってたんですが、それがだんだん早くなって、
 唱え終わったときに、目が回ってた2人に鏡を見なさい、って言って」

「で?」 「2人がかわるがわる鏡を見まして・・・そしたら元に戻ってたんです。
 あ、私が私だ、って言ってましたから」 「うーん、で?」
「それからね、神職の保護者の方には、校長ともどもずいぶん叱られました。
 まあしかたがないです。目の届かなかった私の落ち度ですから」
「なるほどねえ、それで?」 「学校では当然、コックリさんは禁止です。
 アンケートをとってみると、他にも、たくさんやってた子がいたみたいで、
 近隣の学校もほとんどが校則で禁止になりましたよ」 「その後は?」
「その2人は特におかしなこともなく、どちらも高校に進学しました。 
 あ、それから、コックリさんに使った10円玉、それは最後に神職の保護者の方が、
 神社のお賽銭箱に投げ込んだんですが、そのとき、空中で白い煙が上がったんです」
「うーん、さすがプロですねえ。貴重なお話、ありがとうございました」
 






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