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ある病院の話

2018.05.09 (Wed)
病院が舞台になっている怪談って多いですよね。これは、当然かもしれません。
なんといっても亡くなる人が多いからです。自分も、一昨年、
ある大規模病院に長期入院して手術を受けましたが、
自分がいた病棟では、ほぼ毎日のように亡くなる人がいたんです。
これ、本当に怖かったです。自分は夜中、なかなか眠れなくて、
イヤホンでラジオを聞いていることが多かったんですが、病室の外の廊下を
早足に歩く音がして、当直の医師と看護師の会話が聞こえてきました。
「そんな!死んでるなんてありえん」 「でも、そうなんです」
おそらく、夜の定時の見回りにいった看護師が、患者が死亡しているのを
発見して、医師と確認に行く場面だったんでしょうが、このとき、
ああ、自分もそうなっても何の不思議もないんだよな、と考えてしまいました。

今回は、高校の先生をしている、Hさんという30代の男性からうかがった、
なんともわけのわからない話です。「あ、bigbossmanです。どうぞよろしく」
「さっそく話していきます。僕ね、若白髪なんです」 「は?」
「それで、自分ではまったく気にしてなかったんですが、妻が、
 染めたらどう?って言うもんですから、はじめて美容院で白髪染めして
 もらったんです」 「はい」 「そしたら、真っ黒になったんですけど、
 終わって帰るころに両方のまぶたが痒くなってきて」 「はい」
「それから、すごい腫れてきたんです」 「あ、アレルギーですね」
「そうです。家に着いた頃には顔中がパンパンに腫れてしまって、
 妻に、なにそれ、どうしたのって驚かれたんです」
「ははあ、で?」 「日曜日の午後だったので、妻の車で、

近くにある、総合病院の緊急外来に行ったんです」 「はい」
「そしたら、インフルエンザが流行ってるときで、けっこうな人数が
 いたんですが、僕の顔を見て、わりと早く処置室に通してもらいました」
「はい」 「で、点滴をされたんですが、そうしてるうちに、
 首のあたりも腫れあがって、息ができなくなってきたんです」 「はい」
「これは危ないから、緊急入院して、明日皮膚科の先生に見てもらいましょう、
 って言われて、処置室で一晩過ごし、翌朝病棟に運ばれました」
「はい」 「病院は7階建てだったんですけど、その最上階、
 皮膚科や眼科の患者さんがいるところでした」 「はい」
「で、緊急だったため、1床だけ空いてる4人部屋に入ったんです」 「はい」
「その頃には、顔が倍くらいになって、皮膚科の先生に診てもらって、

 ずっとステロイドの点滴をしてました」 「はい」
「学校への連絡なんかは妻にしてもらいましたが、腫れが完全にひくまで、
 1週間はかかるって言われました」 「で?」 「しょうがないなって思いました。
 人前に出られる状態じゃなかったですから」 「はい」 「でね、入院2日目に、
 部屋を移りますって言われたんです。そこは2人部屋でしたが、
 差額ベッド代はなしでいいってことで、ラッキーだなって思っちゃったんです」
「はい」 「けど、看護師がいなくなってから、眼の手術で入院してる同室の人に、
 2人部屋に移るみたいたけど、そこよくないぞって言われたんす」
「で?」 「その人の話では、めったに亡くなる人なんていないはずの、
 皮膚科、眼科の病棟なのに、その部屋に入った人が、たて続けに死んでるんだって」
「怖いですね」 「ええ、でも、僕はそういうのあまり信じてなかったから、

 たまたまなんだろうって思ってました」 「はい」
「で、部屋を移りまして、2人部屋なんで、先に入ってる患者さんがいたんですが、
 カーテンをしめ切ってて、どんな人かわからなかったんです」 「はい」
「僕は点滴してて動けなかったんですが、よろしくお願いしますってカーテンの
 外から声をかけたものの返事はなし」 「はい」 「まあでも、具合が悪いんだろうって
 思ってました」 「はい」 「もちろんその人は、意識がないわけじゃないですから、
 食事とかもするんですが、そのときもカーテンは開かれず、看護師が食事の
 トレイを運び込むだけで」 「会話とかなかったんですか?」 「ほら、定時に
 体温とか血圧を測るじゃないですか」 「はい」 「そのときに、看護師が
 その人に話しかけても、もごもごした音が聞こえてくるだけでした。
 もちろん、僕と同室なんだから、男の人だとは思いましたけど、

 それ以上のことはわからなかったんです」 「はい」 
「僕のほうは、学校の教頭が見舞いに来てくれたし、妻も来てくれてましたが、
 妻が帰りぎわに小さい声で、隣の人、全身包帯でぐるぐる巻きねって言ったんです」
「で?」 「その日の夜です。病院の消灯は9時で、でも、さすがに眠れないですよね。
 うとうとし始めたのは11時ころでした」 「はい」 「その間、あれ1時間おきなのかな。
 看護師が見回りに来て、顔をペンライトで照らすでしょ」 「ああ、はい」 
「そのたびに目を覚ましてたんです」 「自分も入院したときはそうでした」
「でね、明け方ころです。ふっと目を覚ましたら、ゴゴゴゴって洗濯機が回るような
 音が聞こえて」 「はい」 「隣のベッドのほうからなんです。そっち見ると、
 ほら、ベッドを仕切ってるカーテンって、上のほうが少し空いてるじゃないですか」
「はい」 「その上の天井が、真っ黒く渦巻いてたんです」 「どういうことですか?」

「その人のベッドの上の天井に、そうですね、直径1m半くらいの黒雲があって、
 ぐるぐると回転している」 「うーん、で?」 「もちろん何だかわかりませんけど、
 すごく怖く感じました。で、そのとき、看護師が見回りに来たんです、たぶん午前4時の」
「はい」 「看護師は僕のほうのカーテンを開けて顔を照らしたんですが、
 僕は目をつむってました」 「で?」 「それから隣に行って、カーテンを開ける
 シャッて音が聞こえて・・・看護師が何かを唱えだしたんです」 「何と?」
「わかりません。外国語みたいな言葉で、オムニ、ペマペマ・・・みたいに聞こえました」
「不思議な話ですねえ」 「そしたら、隣の天井で渦巻いてる黒雲の真ん中が
 うっすら赤く光ったんです」 「で?」 「看護師が、○○さん、おつとめの時間ですよ、
 って言いました」 「で?」 「それから、大きくカーテンを開けた音がしました」
「で?」 「僕はそっと起き上がって、カーテンのすき間から外をのぞいたら」

「はい」 「大柄な男の看護師に手を引かれて、顔が包帯でぐるぐる巻きに
 なった人が、よろよろ歩いて病室を出てったんです」 「で?」
「看護師と包帯の人が廊下に出ると、天井が元に戻ったんです。それで、隣の包帯の人は、
 1時間くらいして、また看護師といっしょに帰ってきました」
「うーん、たしかに、わけわかんないですね」 「でしょう。でね、これ、次の夜も
 同じことがあったんです。その次の日も」 「で?」
「3日目のときには、僕は点滴がとれてたんで、2人が病室を出て少ししてから、
 そっと廊下に出てみました」 「そしたら?」 
「看護師が包帯の人の手を引いて、階段を上っていくところでしたが、
 その階段って、屋上に続くものだったんです」 「屋上?」
「ええ、昼に上がってってみたんですけど、金網の入ったガラスのついたドアがあって、

 それ、屋上に出るんだけど、鍵がかかってて開かなかったんです」
「で?」 「ガラスに顔をつけるようにして外をのぞいてみましたが、
 かなり大きい病院なので、屋上全体は見えませんでした。ただ、視界のはじのほうに、
 白い大きなものがあったんです」 「何でした?」 「仏像じゃないかと
 思いました。数mはあるお釈迦様かなんかの」 「うーん、で?」
「話はだいたいこれで終わりです。4日目の夜に、その人は看護師に連れられて
 出ていって、朝になっても戻ってこなかったんです」 「で?」
「その日の昼にベッド回りが整理されて、私物も看護師が運び去っでいき、
 シーツなんかも取り替えられて、空きベッドになりました」 「その人は亡くなった
 ってことですか?」 「わかりせん。看護師や医師には聞いてないんで。
 けど、そんな形で退院することはないと思うし、

 他の病室でも、包帯だらけの人は見かけなかったですし」
「うーん、わからないですねえ。その後は?」 「僕は入院5日目には、すっかり
 顔の腫れがひいて、退院できたんです」 「それはよかった」
「荷物をまとめてるときに、隣に新しい患者が入ってきたんですが、その人も
 やっぱり顔も手も包帯でぐるぐる巻きで」 「前とは別の人ってこと?」
「そうです。体格が違ってましたし、その人は少ししゃべれました」
「・・・何もかも奇妙な話ですけど、その天井が黒く渦を巻いてたってのが、
 何より不思議ですねえ」 「それね、後になって気がついたんですけど、
 屋上に大きな仏像みたいなものがあるって言ったでしょう」 「ええ」
「僕が入った2人部屋は、その真下にあたるんじゃないかって思うんですよ」
「・・・まあ、何にしても、無事に退院できてなによりでしたね」 「ええ、ほんとに」



 




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