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タコの話

2018.05.16 (Wed)
我々日本人は日頃からタコを食すことから、あまり気にならないかもしれないが、
よくよくタコを見てみると、その姿は異様としか言いようがない。
火星人がタコ型にイメージされたり、クトゥルフ神話に登場する異形の神が
タコをモチーフに描かれていたり、特に欧米でタコが地球外的生命体、
あるいは超自然的存在としてイメージされることが多いのも頷ける。

2015年8月に学術誌「ネイチャー」上で発表された研究では、
タコの遺伝情報が極めて複雑だということが分かり、研究者は、
「タコはまるでエイリアンのようだ」と、驚嘆の声をあげていた。
生物学的に見てもタコほど奇妙な生物は存在しないのだ。そして今回、
英紙「Daily Mail」によると、全世界33人の研究者らによる共同研究により、
やはりタコの祖先は地球外から飛来した可能性が高いことが明らかになったという。

(tocana)

今回は科学ニュースからの話題ですが、お読みになってわかるように、
かなり眉唾な内容ですね。「タコは宇宙から来た」これがありえると仮定して、
その過程は3つくらい考えられるでしょうか。
① タコの卵が隕石などにくっついて地球に飛来した。
② 宇宙線がタコの遺伝子に傷をつけ、進化の方向を変えさせた。
③ 宇宙から飛来したウイルスがタコの遺伝子を変化させた。

①は全然ムリですよね。隕石は落ちてくるときに、
地球大気との摩擦で高温になるので、タコの卵が無事ですむはずはないでしょう。
もし無事だったとしても、孵化した限られた数のタコが、
地球環境に適応して繁殖できるとは思えないです。

②は、たしかに、宇宙線は常時地球に降り注いでいるので、
生物の進化の歴史に何らかの影響を与えてきた可能性があります。
でもそれは、タコだけの話じゃないと思うんですね。
この3つの仮説の中では、一番可能性があるのは③でしょうが、
これにしても、積極的な証拠はまったくありません。

さて、タコは軟体動物で、頭足類と呼ばれます。貝類にひじょうに近い仲間で、
オウムガイなどが、貝殻を捨てる形で進化したと考えられています。
下図を見ていただければわかりますが、オウムガイはオウムのような
クチバシを持っていて、これはタコにも受け継がれています。

オウムガイ


では、なぜこういう話が出てくるのか。初期のSFでは、
タコ型の宇宙人は定番でした。H・G・ウエルズの『宇宙戦争』で出てくる
宇宙人のイメージもタコ型です。大きな頭には大容量の脳が詰まっていて、
一度にいろいろな操作ができるよう、たくさんの触手がある・・・
こんな理屈で考えられたんでしょう。

『宇宙戦争』挿絵


それ以外にも、タコの外見や生態が人間とかけ離れているということが
大きんだろうと思います。日本人は昔からタコを食べますが、
他の国では食べないところが多く、「悪魔の魚」などと言われました。
クトゥルー神話の神、クトゥルーもタコのイメージが大きく反映されていますし、
海にはクラーケンという大ダコ型の怪物がいると信じられました。

大いなるクトゥルー


実際、タコの体は、人間はもちろん、その他の海の生物とは大きく違っていて、
3つの心臓と、9つの脳があるなどと言われます。頭にある主となる脳は、
クルミ大の小さなものですが、その他に、足の一本一本に、
脳に近い神経のかたまりがあるみたいなんですね。

また、タコはいろいろな特殊能力を持っています。
まず、体表の色を変えることができますし、ミミックオクトパスと呼ばれる種類は、
ウミヘビやヒトデ、カレイなどに姿を変えることができます。
あと、タコ類は毒を持っていて、そのほとんどは人間に害のないものですが、
ヒョウモンダコと呼ばれる種類には、致死性の毒があります。
スミを吐いて、姿をくらませることもできますよね。

カレイに擬態するミミックオクトパス


さて、10年ほど前に、予言をするタコ「パウル」という話題がありました。
ご記憶にあるでしょうか。これは、ドイツ・オーバーハウゼンの
水族館シー・ライフで飼育されていたマダコで、
2つ用意されたエサ箱のうちのどちらに入るかで、サッカードイツ代表の
勝敗を高確率で的中させたとされます。

予言するタコ「パウル」
ダウンロード

まあ、これは水族館の話題づくりでしょうが、タコの中には、貝殻などの道具を
使うものが知られていて、けっこう知能が高いのではないかと考える人もいます。
ちなみに、パウルは2年9ヶ月で老衰死していますが、タコやイカの寿命は、
かなり短いんです。その分、短期間で大きくなります。

さて、日本では、タコは昔から食べられていたようで、
弥生時代のタコツボ型土器というのが、瀬戸内海地方を中心に出土しています。
これを使って、主にイイダコを採り、食用にしていたようです。
現代でも、明石のタコと言えば有名ですよね。

タコツボ型土器


また、江戸時代には、タコの浮世絵が知られています。
下図は、『富嶽三十六景』で有名な日本を代表する絵師、葛飾北斎のものです。
基本的には春画なんでしょうが、江戸の浮世絵師は、
こういう洒落っ気のある画題が大好きでした。

葛飾北斎


最後に、日本のオカルト界の草分け的存在である西丸震哉氏が、
『動物紳士録』という著書で、「タコは夜中に海から上がってきて、
畑の大根を引き抜く」という話を書いていて、
オカルト好きの間で、ちょっとした話題になりました。

まあ、ホラ話が好きな人なので、これもその類かと思われてたんですが、
タコは数十分なら海から上がって行動でき、岩の上でカニをつかまえたりしますし、
白い球根などでイイダコが釣れるという話もあり、
そういうことが、絶対にありえないとも言えない気はします。

さてさて、ということで、タコについて見てきました。
自分は食材としてのタコは大好きです。刺身でも美味しいですし、
イイダコを炊いたのも酒の肴にはいいですよね。人間が食べるために、
神様がお創りになったんじゃないでしょうか。では、今回はこのへんで。

美しいが、危険な毒を持つヒョウモンダコ






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