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生き物を飼う家の話

2018.05.21 (Mon)
今回もまた、ボランティア霊能者であるKさんからうかがった話です。
「ねえ、Kさん、マンガや映画だと、霊能者と霊の派手な対決の場面って
 あるじゃないですか。電光が飛び散るみたいな。ああいうことって、
 実際にあるんですか?」 「まあ、普通はないね。お祓いや加持祈祷は、
 もっと淡々としたものだよ」 「ですよねえ。やっぱ、ああいうのは
 フィクションの中だけなんでしょうね」 「うん、ただ・・・
 われわれプロの霊能者は、何年もかけて準備したりするんだよ。
 映画なんかだと、せいぜい2時間で終わってしまうから、
 そこらへんのことは出てこないけどね」 「準備? 例えばどんな?」
「5年かけて支度をしたこともある。どうだ聞きたいか?」
「あ、ぜひお願いします」ということで、お聞きしたのは・・・

「今から7年前だな。Gさんという、建設会社に勤めてる
 30代の男性がいてね。前の年に結婚して、子どもが生まれたばかりだった」
「はい」 「男の子でね。低体重児だったんで、しばらく病院で体重が増えるのを
 待ってから家に連れてきた」 「はい」 「気温の高い6月の午後でね。
 Gさんは親と同居して一軒家に住んでたんだが、
 奥さんは赤ちゃんのそばにいて、縁側の戸を開け放してた」
「はい」 「そしたら、縁側の外は庭ともいえない草地だったんだが、
 その緑が急に太くなったように思えた」 「はい?」
「え? と思っ奥さんが目をこらして見ると、緑色をした太い蛇のようなものが
 立ち上がってた」 「どういうことですか?」
「俺も自分の目で見たわけじゃないから、よくはわからんが、

 奥さんの話だと、大人の大腿くらいある、頭の丸い、両方の目のギラギラした
 ものがいたんだそうだ。しっぽのほうは見えなかったから、
 確実とは言えないが、全体の印象としては蛇だったそうだ」「で?」
「驚きのあまり動けないでいると、その蛇はぱかりと口を開き、
 あと5年、5年で赤んぼうの命を取る、って言ったそうだ」
「うわ、昔話みたいですね。それで?」 「奥さんがベビーベッドの赤ちゃんの
 体を抱きかかえて守ろうと目を離した隙に、そのものの姿はかき消えていたそうだよ」
「うーん、で?」 「奥さんは、仕事から戻ったGさんにそのことを話したが、
 Gさんは、あんまりその手のことは信じない人だったんだな」
「まあ、普通は信じないですよね」「だが、同居してたGさんの両親は信心深い人たちで、
 つてをたどって、俺のところに話がきたわけだ」 「ははあ、で、どうしました?」

「いつもどおりの手順だよ。奥さんからそのときのことを詳しく聞いて、
 俺は嘘は言ってないと思った」 「まあねえ、そんな嘘つく意味ないですよね」
「ただ、初めての出産だったから、精神的に不安定になってることもあるかと
 思って、大病院の心療内科の受診を勧めたんだ」 「で?」
「特に異常は見られなかった」 「で?」 「次に、Gさんの家に行って、
 赤ちゃんと対面したよ。やや痩せ気味ではあったが、どうということのない、
 かわいい赤ちゃんだった」 「で?」 「それから、奥さんが蛇を見たという
 縁側に立ったんだ。そしたら、どす黒いものが頭の中に浮かんできた」
「何だったんですか?」 「いや、それがわからなかった。霊視したというわけじゃない。
 向こうのほうから俺の中に流れ込んできた、邪念といっていいものが」
「うーん、で?」 「それで、奥さんが聞いたという、

 赤ちゃんの命を5年後に取るというのは、本当に起きるんじゃないかと思ったわけ」
「その蛇は、妖怪かなんかなわけですか?」 「いや・・・それで、申しわけないが、
 知り合いの興信所に頼んで、Gさん一家について調べてもらったんだ」
「はああ」 「この手のことには、話しにくい家の秘密が隠されてる場合が
 多いからね」 「で?」 「そしたら、奥さんのほうは特には何もなかったが、
 Gさん、バツイチだったんだな」 「ははあ」 「どうやら若い頃は、
 やんちゃな暮らしをしてて、まだ10代で最初の結婚をした。
 で、2年で離婚してしまった」 「で?」 「その、最初の奥さんとの間に、
 女の子がいて、もし生きてるなら、その時点で12歳になってるはずだった」
「はず、というのは?」 「それが、離婚して2年目までは、Gさんは養育費を
 払ってたんだが、そこから前の奥さんの行方がわからないんだ。
 
 噂では、新しい男ができて、子どもとその男とともに東南アジアの某国に
 行ったらしい。消息不明なんだよ」 「で?」
「俺が自費で人を頼んで、某国まで調べに行ってもらったんものの、
 足取りが消えてた」 「うーん、前の奥さんが、
 Gさんを呪ってるってことなんですかね?」 「わからんかった。
 離婚から12年もたってるんだし、俺の霊視でも、ただ真っ黒いものしか
 見えなかったからな」 「で?」 「準備をしたんだよ。5年後に何が起きても
 いいように」 「どんな?」 「その赤んぼうの名前が照男だった」
「古風ですね」 「で、田舎の一軒家だったのをいいことに、
 生き物をたくさん飼ってもたっらんだ」 「?? どういうことです」
「犬を2匹、猫を2匹、それから念のために亀なんかも。

 どれもその年に産まれた仔だ」 「なんでそんなことを?」
「その一匹一匹の名前を、照男にしてもらった」 「う」
「わかるよな、目くらましだよ。5年後といえば、まだ小学校入学前だ。
 だから、幼稚園にも保育園にも行かせないで、その犬猫と混じって育てて
 もらったんだ」 「・・・しかし、よくGさんがそんなことを承知しましたね」
「まあな。田舎の古い家だからできたんだろう。あと、Gさんも生き物好きだったし。
 で、犬も猫も、赤んぼうも、どれもみな照男なんだが、わけへだてせず、
 できるだけ名前を呼んで育ててもらうようにした」 
「うーん、ギャグみたいな感じもありますね」 「でな、人間の照男のほうは、
 大きな病気もせず、犬猫アレルギーもなく、
 もうすぐ5歳の誕生日を迎える6月になった」 「で?」

「ある朝、照男の一人が死んだ」 「どの?」 「猫の照男だった。
 ああ、もちろんG家で飼ってる動物は、すべて雄だよ」 「で?」
「朝、すべての照男に同じ時間に食事を与えるんだが、その猫だけ姿が
 見えなかった。探したら、5年前に緑の蛇が立っていた縁側の下で、
 血を吐いて死んでたんだ」 「で?」 「それを聞いて、すぐG家に行った。
 猫の死骸を見せてもらったが、ボキボキに肋骨が折れてたな」
「蛇が巻きついた?」 「わからん。だが、最初が人間でなくてほっとした」
「で?」 「とりあえず結界を張った。その縁側を中心にして、
 家のまわりぐるっと。ただ・・・霊視すると、渦巻いてるすごい力を
 感じてね。結界程度では防げないだろうと思った」 「で?」
「だから、かわいそうだったが、結界に穴を開けて、縁側下に犬の照男をつないどいた」

「で?」 「夜中にキャンと一声鳴くのが聞こえ、行ってみたら死んでたよ。
 猫のときと同じ。同様のことをして、もう一匹の犬も死んだ」
「で?」 「時間稼ぎなんだよ。その間に、俺はある神社に行って、
 そこから大きな力をもらってきたんだ」 「で?」
「人間の照男の誕生日まで、あと2日になったとき、縁側に亀の水槽を持ち出した」
「亀?」 「言っただろう。念のために亀にも照男って名前をつけて飼ってもらったって」
「ああ、で?」 「その亀に、もらってきた力を移したんだ」
「どうなりました?」 「その日の夜のことだ。俺は隠れて、薄明かりの中で
 水槽を見てたんだ」 「で?」 「夜中の2時過ぎに水が揺れた。
 そして、どっと水槽が倒れた。何か目に見えない大きなものが、
 亀を口に咥えるようにして、のたうってるように見えた」 「で?」

「Gさんの家族も音を聞いて駆けつけてきた。俺がご祈祷をすると、
 だんだんに光る鱗が見えてきた。たしかに緑の蛇で、その口の中に亀がいる。
 ご祈祷に力を込めると、ぬるぬるした蛇の頭が、亀の照男を吐き出し、
 女の顔に変わった。頭から半分髪が抜けた不気味な姿だったよ」 「それは・・・」
「俺はGさんの様子を見たが、Gさんは目をつぶってたな」 「で?」
「蛇の女は、暴れるだけ暴れて、じゅっと煙を出して消えた」
「派手な展開ですねえ。マンガみたいだ」 
「そういう話を聞きたかったんじゃないのか」 
「ええ、まあ」 「それで呪いは消えたみたいだった。照男の5歳の誕生日がきて、
 今にいたるまで元気に育ってるよ、あと、生き残った亀と猫も」
「亀も無事だったんですか。それはよかったです」 「・・・まあね」
 
蛇女の脅威3 





 
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