FC2ブログ

画像診断ミスについて

2018.06.15 (Fri)
千葉大医学部付属病院(千葉市中央区)で、コンピューター断層撮影法(CT)
検査結果の見落としがあり、がん患者2人が死亡した問題で、
厚生労働省は14日、文書で、全国の医療機関に見落とし防止策を
徹底するよう求めた。同様の注意喚起は昨年11月と今年5月、
厚労省と日本医療機能評価機構が出していた。
(読売新聞)



この間、「光免疫療法」について書きましたので、今回も医療関連の
ニュースをとりあげます。CTの画像診断について院内調査をしたら、
9人の患者に画像診断を巡るミスが見つかったということです。
ミスは3つのケースに分かれているようです。

① 担当医が、放射線診断専門医から届いた画像診断報告書をちゃんと
 確認しなかった患者が5人。そのうち2人が癌で死亡。
② 担当医が、CTは撮ったのに画像診断は依頼しなかった患者2人。
③ 担当医は依頼したが、放射線医が報告書を作成しなかった。
 作成が遅かった。それぞれ患者1人ずつ。

うーん、これ、自分の感想としては、氷山の一角なんだろうなあ、
ということです。こんなの、おそらく全国の大学病院や総合病院でたくさん
あるはずです。他の病院はどうして正直に出さないんでしょうね。
で、こういうことが起きる原因もいろいろ想像できます。

一つは、医局制度によるところが大きいでしょう。医局というのは、
大学の教授を中心とした診療科ごとのまとまりです。
自分は一昨年、術死率10%を超える手術を受けるために、某巨大病院に
長期入院してたんですが、例えばの話、呼吸器内科と消化器外科で、
仲が悪いとまでは言いませんが、やはり連携がうまくいってないな、
というような場面をしばしば見ました。

ま、医師からすれば、自分の診療科が中心になるのは、
今の制度ではしかたのないことですし、心臓をみる目的でCT検査を依頼して、
腎臓に怪しい影があると書かれていても、それを見過ごしてしまうというのは、
十分起こりえると思います。あと、医師の超多忙も、
その手のミスに拍車をかけていると思うんですね。

前日、当直で、その徹夜明けに手術なんて話も聞きますし、
あんな多忙では、そりゃミスも起きると思います。みなさんの仕事だって、
小さな連絡ミスなどは毎日のようにあるでしょう。
ただ、医師の場合、一つのミスが人の死に直結する。

『白い巨塔』の昔から、医局制度については批判があり、
改革していこうとする機運も一時期 高まったんですが、
まだまだ、旧態依然のところも多いんですよね。
で、部外者である自分が言うのもなんなんですが、この手のミスを防ぐには、
患者一人ひとりを中心とした、診療科横断的なシステムが必要だと思うんです。

自分が入院していたとき、まわりは高齢者ばかりでした。
人間、年をとればとるほど、あっちにもこっちにもガタがくるんですよね。
例えば、胃癌で受診した患者が、癌で命を取られる前に、
糖尿病や心臓病で亡くなるなんてことも、今後ますます増えてくると思われます。

あと、重複癌のこともあります。癌は細胞の老化という面が大きいので、
転移ではなく、別々の臓器に別個の癌ができるケースが、高齢化にともなって
すごく増えてきてるんです。どっちの癌から最初に手をつければいいのか、
医師も迷ってしまうことがあるそうです。ですから、一人の患者の複数の病気に、
もっと柔軟に対応できるシステムの構築が必要だと考えます。

さて、画像診断についても難しい面があって、医療は手作業ですから、
CTを撮ったとして、その診断は人の目を通じて行わなければなりません。
でも、人の目には限界がありますし、機械にも限界があります。
医療機器は、一昔前からすれば格段の進歩を遂げていますが、それでも、
癌であれば、数mmレベルの大きさのものは見つけることが難しい。

で、ある月に撮ったCTで2cmの癌が見つかった。
そこで、3ヶ月前のCT画像を出して比べてみたら、同じ場所に、
そう言われれば癌かもしれないと疑うことのできる、
ごくごく小さい影があった。じゃあ、そういう場合、
どこまでが見落としということになるんでしょうか。

こういう話をすると、将来的にはAI(人工知能)が画像診断するようになる、
という人が多いですね。たしかに、そうなっていくでしょう。
現状でも、AIが人間の能力を上回っているというのが、
研究者や医療関係者の間でコンセンサスになっています。

でも、これも難しい面があるんです。医療の不確実性という言葉があります。
ある患者に効果があった治療が、同じ病気の患者には効かなかったなんて、
いくらでもあることですし、体格はもちろん、臓器の形なども
人間一人ひとり違いがあります。ですから、AIがいくら進歩しても、
やはり見落としはなくならないと思うんですね。

では、AIが見落としをしたら、誰の責任になるんでしょうか。
そのAIを使っている病院の責任なのか、それともAIの製造メーカーの責任なのか。
自動車の自動運転でも、もし事故が起きた場合、誰の責任になるのかが、
一つの焦点になっていますが、それと同じようなことが起きそうです。
ですから、AIが画像診断したとしても、最終的には人間が責任者として、
もう一度確認する必要が出てくるでしょう。

さてさて、最後に、病気になって医療を受けるのは自分自身だということです。
この手のミスから自己防衛する必要があります。
なんでも医者まかせにしておける時代じゃないと思いますね。
診療情報を開示してもらって、画像を持ってセカンド・オピニオンを受けに行くとか、
患者側も知識を蓄える必要があります。診断医をたくさん抱えて、画像診断だけを
専門にやる医療機関があってもいいのかもしれません。

前にも書きましたが、日本人の2人に一人が癌になり、
3人に一人が癌で亡くなる時代になりました。義務教育で、性教育や薬物乱用
に対する教育の他に、癌教育なんかも必要になってきてるんじゃないかと思います。
基本は、自分の身は自分で守る。では、今回はこのへんで。







関連記事
スポンサーサイト

トラックバックURL
http://scoby.blog.fc2.com/tb.php/1504-a622aaab
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する