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ポーのベスト

2018.06.17 (Sun)
今回はこのお題でいきます。自分が好きなポーの作品を並べてみますね。
もちろんこれには異論があるかと思います。
さて、ポーは19世紀初頭に生まれたアメリカの詩人。小説家で、
優れた恐怖小説の短編をたくさん書き残しています。

他には、ナンセンス小説、それと推理小説の元になったといわれる作品群、
あと、冒険小説もあります。ポーというと、
恐怖小説を中心に論評されることが多いんですが、
じつは、かなり幅広いジャンルにまたがる話を書いてるんですよね。

エドガー・アラン・ポー


生前は、作品はそれなりに売れていましたが、アルコール中毒気味で、
つねに飲酒上のトラブルを起こして職を転々とし、
貧困のうちに、40歳で謎めいた死を遂げます。作品群が評価されたのは、
まずヨーロッパにおいてであり、本国アメリカでその名が知られる
ようになったのは、死後100年以上たってからのことです。

ベスト1、いろいろ迷いましたが、第一位にはゴシック恐怖小説の
『アッシャー家の崩壊』をあげたいと思います。
旧友アッシャーが妹と二人で住む屋敷に招かれた語り手が、
その館でさまざまな恐怖を体験するという筋立てで、
現代の「館もの」と呼ばれる怪奇小説の元祖的な作品です。

『アッシャー家の崩壊』
bb (2)

ポーの作品には、2つの大きなモチーフがあるとよく言われます。
一つは「早すぎた埋葬」、生きながら埋葬された人物、
あるいは埋葬後によみがえった人物をあつかった内容です。
もう一つは「美女再生」、若く美しいまま亡くなった女性が、さまざまな形をとって
この世に戻ってくる話。『アッシャー家の崩壊』には、この2つともが含まれています。

ベスト2、『メエルシュトレエムに呑まれて』科学恐怖小説と言えばいいでしょうか。
ノルウエーの沖にとつじょ現れる巨大な大渦、その名前が「メエルシュトレエム」です。
兄とともにその中に船から投げ出された主人公は、渦に翻弄されながらも、
冷静に渦の性質を観察し、その結果、兄は飲み込まれて死亡し自分は助かる。

『メエルシュトレエムに呑まれて』


これをSFの元祖という人もいますが、現在、一般的に考えられるSFとはだいぶ違います。
主人公は、科学的な知識によって助かるわけですが、
自分がはじめて読んだとき、ははあ、こういう内容も小説になるんだなあ、
と感心したのを覚えています。死の恐怖が迫ってきて、かなり恐い作品でもあります。

ベスト3、『赤死病の仮面』これは現実感の薄い、寓話あるいは散文詩のような作品です。
ある国で「赤死病」という疫病が広まり、人々は体中から血を流して死んでゆく。
感染を怖れた王は、貴族たちとともに城に立てこもり、出入り口を封鎖する。
その中で、王たちは享楽的な生活にふけり、
ある日、仮面舞踏会を開くことを思いつくが・・・

『赤死病の仮面』
ll (1)

この設定、どっかで見たことがあるような気がしませんか。
感染者から逃れるために、ある場所に複数人で立てこもるという筋は、
『ドーン・オブ・ザ・デッド』など、現代の映画のゾンビもので定番ですよね。
ちなみに、奇妙な味のショートショートの名手、阿刀田高氏のポーのベストが、
この『赤死病の仮面』と著書に書かれていました。

ベスト4、『モルグ街の殺人』、アマチュア探偵、オーギュスト・デュパンが登場する
推理小説の元祖と言われる作品です。パリのモルグ街のアパートメントの4階で、
二人暮らしの母娘が惨殺された事件を、デュパンと語り手である「私」が、
独自の捜査をして解いていく話で、ポーの理知的な面がよく表れています。

『モルグ街の殺人』
ll (2)

この、私とデュパンのコンビが、後のシャーロック・ホームズとワトソンの
組み合わせに大きな影響を与えたのは有名な話で、デュパンは、
史上はじめて登場した名探偵なんですね。結末は、犯人が人間ではないので、
現代の感覚からすればアンフェアと言われそうですが、
ポーが重点を置いているのは、謎を解く過程です。

ベスト5、『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』
短編作家であったポーの、唯一の長編と言われますが、実際の長さは中編くらいです。
主人公のピムは、密航した捕鯨船で船員の反乱が起こり、さらに嵐に遭遇して漂流、
生き残ったピムらは南極探検に向かうジェイン号に救助されるが・・・

『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』
bb (1)

これ海洋冒険小説ですね。当時、未知の世界であった南極に向かうにつれ、
都市伝説の「ニンゲン」のような、得体のしれない不可思議な白いものに
対する恐怖が高まっていきます。後の、H・P・ラブクラフトの作品のような趣もあります。
そして、謎の正体がはっきりしないまま、話は唐突に終わってしまうんです。

ベスト6、『黒猫』スタンダードなゴシック恐怖小説です。
西洋では不吉とされた黒猫を中心に、恐怖を高める小道具が全編にちりばめられ、
主人公の精神が崩壊していく様子が描かれます。
ひじょうに構成の巧みな話でもあります。

ベスト7、『振子と陥穽』ポーが描くところの恐怖は
心理的なものが多いんですが、これはリアルで感覚的な恐怖が出てくる作品で、
トレドでの異端審問にかけられた主人公は、地下の部屋に閉じ込められ、
落とし穴や、先端に鎌がついた巨大な振り子に襲われますが、
知恵をしぼって逃げのびる・・・映画の『ソウ』のシリーズのようでもあります。

さてさて、ベスト10までいきませんでしたが、長くなったのでここらで
終わりにします。こうしてみると、ポーの作品には、現代の恐怖小説や映画に見られる
要素がたくさん含まれていることがわかります。また、詩的な部分と知的な部分が
ほどよく入り混じっていて、そこが魅力の一つではないかと自分は考えています。
では、今回はこのへんで。





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