視覚の話

2018.06.23 (Sat)
視力に関し、人間は必ずしも生物の中で最も優れているわけではないが、
猫よりはおよそ7倍、ねずみや金魚よりは12倍程度はっきり目が見え、
蚊と比較した場合は何百倍も正確に目で捉えることができると判明しているという。
生き物の種類やシチュエーションにより、
目に見えるものがかなり異なるというから面白い。

専門誌「Trends in Ecology&Evolution」に発表された今回の研究では、
それぞれの種の目を解剖したデータから視力と視界のクリアさを推定している。
その結果、人間と比較するとほとんどの種は視力が人間よりも弱く、
視界が限られているという事実がわかったのである。
(グノシー)

今回はこのお題でいきます。怪談では、ペットの犬や猫が、
何もいないところに向かって吠えたり、とびかかったりするという話があります。
この場合、犬猫は人間には見えない何者かが見えている、
あるいは、その気配を感じ取っているということになります。

さて、上記引用の研究は、人間とその他の生物の視力と
視野の遠さ(どうも視界の広さということではないようです)を、
解剖学的に調査したもので、その結果、人間はすべての生物の中で、
どちらも高い位置にいることがわかったということです。
下のグラフをごらんください。

クリックで拡大できます


グラフの縦軸が視力、横軸が視野の遠さを現しています。
これを見ると、人間より視力が優れているのは猛禽類くらいですね。
ハヤブサ、鷹などは、かなりの高さから地上の小さな獲物を狙って
高速で舞い降りてきますので、視力が生存に直結してるんでしょう。

物体が網膜において結ぶ像の大きさを視角によって表現した、
画像中の空間周波数(視覚1度あたりの周期=c/d)を計測すると、
人間はおよそ60c/dであったのに対し、
ワシやタカなどの猛禽類は140c/dと、倍以上になるんです。

鷹の目


それから、人間より視野が遠いのは、キリン、ダチョウ、ゾウなどですが、
キリンやダチョウは首が長いせいで、ゾウは体高があります。
長い首だと、より遠くまで見通すことができます。
あと、人間よりも上にシュモクザメがきてるのが面白いですね。

次に、下の画像を見てください。人間の視力と、
ネコ、金魚、ネズミ、蝿、蚊の視力を比較したものです。
これを見ると、たしかに人間の視界はクリアですが、これはあくまで、
眼の構造から推定したもので、視覚情報が、動物の脳の中でどのように
処理されているのかはわかっていません。



さて、では、どうして人間は眼がいいのか? この理由はよくわかりませんが、
自分としては、人間がサルから進化し、木から下りて直立歩行するように
なったことに原因の一つがあるんじゃないかと思います。
直立歩行すると、眼のある位置が高くなりますよね。

眼が高い位置にあれば遠くまで見通せるので、焦点距離が自然に長くなる。
現代でも、アフリカのサバンナに暮らすマサイ族の視力が高いのは有名ですよね。
あるTV番組の計測では、視力10、0を超えるような人が
ごろごろいるんだそうです。これは、視野を遮るもののない広い空間で
暮らすことによって得られたものでしょう。

それと、サルとして樹上で暮らしているうちは、木の葉や枝に遮られて、
遠くを見る必要はあまりなかったんじゃないかと思うんです。
眼の前にある果実や木の実を見つけられればよかった。それが、
平地で生活するようになって、高い視力と長い視野を進化の上で獲得していった。

ショーヴェ洞窟の古代人の壁画 残像現象を利用しているとも言われる


また、他の動物は鼻先がとがっているのに対して、
人間の顔は平べったく、目が横に並んでついています。これによって、
立体視をすることができるんですね。2つの目で同時に一つのものを
見ることができる動物は、人間以外に多くはありません。

さて、では人間の眼がいいことで、どんな利点があったのか。
これは、一つには文字が使えるようになったことじゃないかと思います。
ぼんやりした視力では、文字を読むことも書くこともできません。
もし文字がなかったら、ある人が新しいことを考え出したとしても、
その発見はなかなか大きく広まってはいかないでしょう。

古代エジプトのヒエログリフ


ところが、文字があることによって、
過去の出来事を記録することが可能になりました。
つまり、知識を集積して次代に伝えることができるんですね。
それで、人間の社会は加速度的に発達していったと思うんです。

では、人間に比べて、他の動物は劣ったものなのか?
そう考えるのは思い上がりのような気がします。例えば、昆虫の中には、
複眼を使って、人間には見えない紫外線を見ることができるものもいます。
下図は、蝶の視覚を想定した紫外線写真です。



また、犬や猫の視力が人間に比べて弱いのは、
眼の前にいる獲物をつかまえるために、焦点距離をあえて短くしている
ためだと考えられます。さらに、暗い洞窟で暮らすコウモリなどは、
視覚を捨てたかわりに、超音波をとらえることができる能力を獲得しました。

ということで、動物はそれぞれ、その生活の形態に沿った能力を
進化させてきたわけで、どちらが優れているということはできないでしょう。
「霊長類」という言葉がありますが、人間が必ずしも
霊の長であるということはないように思いますね。

さてさて、最初の話に戻って、犬猫は霊の存在を感じ取れるのか?
これは、視覚以外にそういった能力を持っている可能性は否定できません。
あんがい、犬や猫は、「人間にはこんなのもわからないのか」
と考えているかもしれませんね。では、今回はこのへんで。





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