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宮沢賢治ベスト

2018.06.25 (Mon)
このところ、エドガー・アラン・ポー、筒井康隆とベストを書いてきて、
迷ったんですが、今回は宮沢賢治でいくことにしました。
なんで迷ったかというと、宮沢賢治には熱烈なフアンというか、
信者に近い方がいて、何を書いても怒られる可能性が高いんですよね。



さて、宮沢賢治は、知らない人のいない日本の国民的な童話作家・詩人。
その他にも、熱心な仏教者、農村改革者、教育者、肥料技師など
多面的な活動に短い人生を費やしました。その生涯については、
自分などが書くまでもなく、詳細な研究が多数出ていますね。



では、さっそく選んでみます。ベスト1は『銀河鉄道の夜』 『風の又三郎』
これは順不同です。なんで2つをいっしょに出したかというと、
上でも書いたように、どっちをベスト1に選んでも、
苦情が来るんじゃないかという気がするからです(笑)。

この2つとも、賢治が書いた中では長い作品です。賢治は一般的には、
短編作家としてのイメージがあるかと思いますが、両作とも緊密な構成で、
破綻がありません。おそらく、賢治本人が長編を書く気になれば、
かなり優れたものができたんだと思いますが、
本人は創作活動を人生の中心には置いてなかったので、
これはいたしかたのないところです。

ベスト2、『水仙月の四日』お使いに出た子どもが、猛吹雪の中を
カリメラ(砂糖菓子)のことを考えながら歩いている。
そこに、降雪をつかさどる、雪婆んご、雪童子(わらす)らの精霊? が現れて・・・
白一色の中で見え隠れする、子どもがかぶった赤ゲット(毛布)。
日本のファンタジーの中でも屈指の作品だと思います。



ベスト3、『なめとこ山の熊』ご存知のように、賢治は菜食主義者でした。
肉食における人間のエゴを批判する作品には、『ビジテリアン大祭』や
『フランドン農学校の豚』などがありますが、
熊を殺すことでしかしか生きることができない、
不器用で無学な主人公の老猟師、小十郎に対する賢治の眼は暖かです。

小十郎が熊を殺すことは自然の営みの一部なんですね。だから許容される。
そして、熊たちが小十郎に対して神のような畏敬を抱くのと同様に、
小十郎も熊に神性を感じて、思わず拝んだりもしています。
ちなみに豆知識として、「なめとこ山」はずっと賢治が創作した
架空の山だと思われてたんですが、近年、小岩井農場近くの
実在する山であることが判明しています。



ベスト4、『猫の事務所』このお話、いいですねえ。自分は大好きで、
劇として上演したいくらいに思ってます。皆に馬鹿にされている
竈猫(かまねこ 温かい竈の中で寝ている煤だらけの猫)が、身分不相応にも、
お固い猫の事務所の書記官として勤務することになったが・・・

この作品には2つの皮肉が込められています。
一つは、手続きが煩雑で非効率的な、お役所仕事に対するもの。
もう一つは、どうしても自分より弱いものを見つけて、
イジメをせずにはおれない人間性に対してのものです。結末では、
醜い様子を獅子に見とがめられ、事務所はひと声で解散させられてしまいます。

ベスト5、『注文の多い料理店』ホラーと言うほど怖くはない、
洒落たアイデア・ストーリーですが、その中に、遊戯として狩猟を楽しむ
ハンターへの批判が込められた作品。自然の中に侵入してくる
あまりありがたくない文明、という形で読むことができるかもしれません。

HDSEU (1)

ベスト6、『セロ弾きのゴーシュ』筋はご紹介するまでもないでしょう。
これは、下手くそなセロ演奏者ゴーシュの成長の物語ですね。
猫をいじめるひねくれ者であったゴーシュが、
さまざまな動物とのふれあいの中で心が養われるとともに、
その奏でる音楽も美しいものに変わってゆく。

ベスト7、『やまなし』影絵として上映されることを念頭に書かれた?
散文詩的な作品です。作中に出てくる「クラムボン」とは何かについて、
ずっと妙な議論が続けられてきていますが、いまだによくわかっていません。
自分は「クラブ 蟹」と「シャボン 泡」を合わせたものかと思ったりしてます。

ベスト8、『毒もみのすきな署長さん』これはブラックユーモアでしょうか?
毒もみというのは、川に毒液を流して魚を根こそぎ獲ってしまうことで、
法律で禁止されていますが、それを取り締まるはずの警察署長が
自ら毒もみをやっている・・・単なる批判でもないし、
どういう意図で書かれたかよくわからない、すごく奇妙な話です。

ベスト9、『シグナルとシグナレス』風の強い夜に、軽便鉄道の男女の信号機が
恋を語るお話。宮沢賢治は生涯独身で、恋愛がテーマとなっている作品は、
詩ではありますが、童話ではこれくらいなんじゃないかな。
それとも自分が覚えてないのか、他にまだありましたっけ?



ベスト10、さてさて、なんとか10作目まできました。
しかし選ぶのはほんとうに難儀ですね。最後は『祭りの晩』にします。
山男が出てくる話で、賢治には民話採集者としての顔もあり、
『遠野物語』の元話を語った佐々木喜善とも交流がありました。

これ系の作品は『ざしき童子のはなし』などがありますし、
『狼森と笊森、盗森』も、もともとは地域に伝わる民話なんでしょう。
ということで、異論ありまくりだと思いますが、あくまでbigbossmanが好きな
作品ということで。では、今回はこのへんで。

関連記事 『宮沢賢治と相対性理論』




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