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「怖い本」の話

2018.07.09 (Mon)
「読むと死ぬ本」――それは決してショッキングな本の比喩的呼称などではない。
文字通り、読んだだけであなたの心臓が物理的に止まってしまうかもしれない
恐ろしい本が現実に存在するのだ。デンマークの大学図書館に収蔵されている
恐怖の古書3冊について、科学メディア「Science Alert」が報じた。

先日、南デンマーク大学の図書館が保管する16~17世紀の極めて貴重な
書籍3冊について、ある興味深い発見がなされた。
なんと、その表紙に非常に高濃度のヒ素が含まれており、
取り扱いに気をつけなければ健康を害する恐れがあるという。
そう、これがまさに「読むと死ぬ本」である。
(Rakuten News)



今回はこのお題でいきたいと思います。これ、別に内容が怖いから、
あるいは呪いがかけられているから読めば死ぬということではなく、
本の表紙から、強い毒性を持つヒ素化合物が大量に検出されたということですね。
19世紀当時、緑色の顔料としてふつうに使われていたようです。

ヒ素を含んだ緑色の顔料は「パリ・グリーン」や「エメラルド・グリーン」の名で
広まっていて、顔料は印刷物だけではなく、ドレスや部屋の壁紙にまで
使われていたようです。ですから、長年の間に毒素が蓄積し、
中毒症状を起こして亡くなった人も、相当数にのぼったのではないかと思われます。

ヒ素からつくられたグリーン


ヒ素の毒性は、西洋でも日本でも古くから知られていました。
日本だと「石見銀山ねずみ捕り」の名前で、殺鼠剤として売られていましたし、
現代に起きた「ヒ素カレー事件」も記憶に新しいところです。
ヨーロッパでも、さまざまな毒殺事件に用いられ、歴史に影響を与えています。

さて、本項は毒の話ではなく、怖い本に関する内容です。
フィクションの中のものも含めて、あれこれ見ていきたいと思います。
まず、「人皮装丁本」。文字どおり、人間の皮を使って装丁された本です。
こんなのフィクションの中だけのものじゃないかと思われるかもしれませんが、
そうではなく、ヨーロッパでは17世紀にはその技術が確立し、
専門の装丁職人もいたんですね。

「人皮装丁本」


米マサチューセッツ州にあるハーバード大学の図書館で、1500万冊以上ある
蔵書について、表紙の材質が不明なものにDNA鑑定を行なったところ、
3冊の本の装丁に、99.9%の確率で、
人間の皮膚が用いられていることが判明したということです。

では、どんな場合にそれが作られたかというと、解剖された死体の皮膚で
作られた解剖学のテキスト、遺言によって作られ子孫に配られたもの、
有罪判決を受けた殺人者の皮膚を裁判記録の写しを綴じるためのもの、
などが現代にまで伝わっているようです。これもなかなか怖い話ですね。
自分ならこんな遺産はいりません。

あと、第二次世界大戦時に、ドイツナチスがユダヤ人の皮膚を用いて
さまざまな製品を作ったなどと言われていますが、これはデマのようです。
人間の皮で作ったとされるランプシェードが、戦後アメリカ軍の手で分析されましたが、
羊の皮だったことが判明しています。また、人間の脂肪で石鹸を作ったなんて
話もありますが、証拠はなく、やはりデマのようですね。

映画 『薔薇の名前』 禁書をめぐっての連続殺人


さて、怖い本の2番めは「魔導書」です。神秘的な魔術の実践法や、
召喚の呪文が書かれていて、それを手に入れると悪魔を呼び出すことができる・・・
じつは、この手の本はヨーロッパにはたくさんあります。
その多くが、中世や近世に作られたものです。

では、それらの本は本物なんでしょうか?ここは難しいところで、
すべての本について確かめるのは不可能ですが、多くはニセモノです。
何のためにニセモノが作られたのかというと、
これは王侯貴族の間で錬金術が信じられていた時代、
そういった人々を騙して売りつける目的のものが多いんですね。

これらの本には共通点があって、そこに書かれている内容が、
簡単には実行できないものであることです。例えば、ある魔術薬を作るには、
絞首刑にされた罪人の手首、魚の涙、女のヒゲが必要だなどと書かれていても、
そんなものが簡単に手に入るはずがないですよね。

本の内容を実行しようと思ってもできないので、インチキがバレずに済むわけです。
あと、魔導書に中には古代言語などの解読しにくい文字で書かれたり、
まったく未知の言語で書かれてたりするものもあり、当ブログで前にご紹介した
『ヴォイニッチ手稿』などもその一つです。「ヴォイニッチ手稿」は、
600ドゥカートという高額で売却された記録が残っています。

「ヴォイニッチ手稿」


それから、これはフィクションの話ですが、H・P・ラブクラフトが創造した、
「クトゥルー神話」の中の魔導書として、「ネクロノミコン」が有名ですよね。
狂える詩人アブドル・アルハズラットにより、730年にダマスカスにおいて書かれ、
英語に翻訳されても、それを手にした者にさまざまな怪異を引き起こします。

「ネクロノミコン」 原典はアラビア語


さて、怖い本の最後は「命を持った本」としましょう。
映画の『ハリー・ポッター』のシリーズには、「怪物的な怪物の本」というのが
出てきていて、たしか内容は「魔法生物学」のテキストだったはずです。
ガチガチ歯を鳴らして走り回る姿が印象的でした。

「怪物的な怪物の本」
ダウンロード

あと、本に化けた悪魔なんて話もありますね。その本には未来のことが
書かれてあり、金もうけができたり、災難から逃れられたりする。
そのかわり読むためには何か生贄を捧げなくてはならない。最初は小さな犠牲から
始まるが、やがては精神が本の悪魔に支配され、
ついには家族までを生贄にしてしまう・・・

さてさて、読書は楽しいですし、有益でもあります。ただしまあ、何でもそうですが、
あまりのめり込んでしまうと、怖いことが起きるかもしれない。
ヨーロッパのほうでは、本の収集家同士の殺人事件が起きたりもしているんです。
ということで、何事もほどほどに。では、今回はこのへんで。

関連記事 『ヴォイニッチ手稿って何?1』





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